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ゴルフクラブ

ロマン派ゴルフ作家の篠原

新・貧打爆裂レポート『FRONTLINE パター 2.0』

今回の貧打爆裂レポートは、2021年2月13日に発売されたクリーブランドゴルフ『FRONTLINE(フロントライン)パター 2.0』です。

いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。新しいクリーブランドのパターの秘密に迫ります! 動画も含めての試打レポートです。

『FRONTLINE パター 2.0』は伝統と感性と科学が融合している!

『FRONTLINE パター 2.0』は、クリーブランドが2021年2月13日に発売したパターです。

『FRONTLINE シリーズ』に追加ラインアップとして発売された4種類の内の1つが『FRONTLINE パター 2.0』で、『2.0』はL字型のヘッドの意味です。

『FRONTLINE パター』は、ボールの半径である「21.35ミリ」の高さにサイトラインを入れることで、視点のズレで芯に当たりにくくなる減少を抑えるという独特のテクノロジーを前面に打ち出したパターです。

初代の『FRONTLINE パター』は、見た目で感性より科学力を強調したヘッドになっていましたが、2代目になって、ヘッドをマットブラックのカラーにし、見た目はオーソドックスにしつつ、科学力の裏付けはしっかりと搭載されている形になりました。

今回の4機種は、2代目の追加モデルで、『FRONTLINE パター 2.0』は、ネオマレットのL字のパターになります。

【試打クラブスペック】
ヘッド SUS630
フェース AL6061アルミニウム ミーリング加工(ウェイト:タングステン)
シャフト オリジナルスチール シャフト(ブラック加工)
ロフト 3.0度
長さ 34インチ
ライ角 70度
グリップ ラムキン フロントラインパター スキニー グリップ
価格(税込) 2万2000円

『FRONTLINE パター 2.0』のコピーは、“前方重心設計とクリーブランド独自のアライメント、フェースミーリングが真っ直ぐで正確なパッティングをサポート。”です。整理されたコピーです。

『FRONTLINE パター 2.0』は、「高比重タングステン」がフェースのトウとヒール部分に入っています。左右の慣性モーメントを大きくするという効果で、フェースのブレを押さえます。

また、フェース部分だけに重量を集中したことで、「前方重心設計」となって、オフセンターヒットした時の方向のズレを軽減させ、狙い通りにパットができるようにサポートします。

アルミニウムのフェースは、各モデル別に、慣性モーメントに合わせて、パターンが違うミーリング加工を施されています。

これにより、ミスヒット時でも距離感が狂いにくくなっているそうです。

『FRONTLINE パター 2.0』は、テクノロジーが詰め込まれています。それだけではなく、感性に訴える部分も充実しています。

ヘッドのマットブラックに合わせるように、シャフトもブラックなのです。

『FRONTLINE パター 2.0』は、全体の重量がずしりと重く感じます。その要因の1つが、カラーがブラックで統一されていることがメンタルに影響しているように推測できます。

フェース高が通常より低いのですが、それはアドレスビューではわかりません。薄いはずのヘッドは、シンプルで美しく、不安感を抱かせません。

2021年の市場には、L字型のヘッドのパターはほとんどなく、絶滅寸前だというL字使いのゴルファーの悲鳴も聞こえます。大手のパターブランドでは、新しいラインアップにL字型が入ることはありますが、それらには、とりあえずという感じするものが多かったことは否めません。

価格も安く、数年振りに登場した本格的で新しいマレットタイプのL字型のパターである『FRONTLINE パター 2.0』に注目しました。

飛距離性能を誇れる『FRONTLINE パター 2.0』は面白い!

動画を見てください。

『FRONTLINE パター 2.0』を打って、すぐにわかったことがあります。

打音です。室内でボールを打った時には、高音質で、澄んだ響きがある打音だと好感触でしたが、天井や壁がないコースで打つと、打音が違って聞こえるのです。

動画でヘッドがアップになっているシーンでは打音が小さく少しくすんで聞こえるのに、後方から撮ったシーンや前方から撮ったシーンでは、心地良い打音なのです。

実は、この現象は、クラブではよくある話なのです。ドライバーやアイアンも、打音を良くするために、サウンドリブと呼ぶ音を響かせる機構があって、その機能で打音の向きや音量を調整しているのです。

パターでも、音の向きや音量を調整するハウツーが存在します。横向きに音を出して、上向きの音を抑えるのは、最近のトレンドです。

『FRONTLINE パター 2.0』は、柔らかさや軽い打ち応えを感じさせるために打ち手の耳に届く音を抑えているように感じました。この評価は、好き嫌いというものなので、良い悪いではないのですが、僕はまあまあ良い感じだと思いました。

素振りをしていた時に、シャフトが少し柔らかい気がしていましたが、実際にコースで使用すると、それは逆にタイミングを取りやすく、マイナスではなくプラスに感じました。

持った感じの重量感とも、よく合うのです。

『FRONTLINE パター 2.0』の最大の個性は、ボールが飛ぶことです。

打ち応えが、打音のせいで柔らかく感じますが、ボールは見事なほどきれいに弾かれて転がります。結果として、飛ぶのです。

直進性が強いボールが出ます。元々L字のパターを使用していたゴルファーであれば、タッチは合わせやすいパターです。強く打てば転がり、弱く打てば止まるという、力と距離が正比例するようなわかりやすさがあります。

『FRONTLINE パター 2.0』のマットブラックのヘッドは、集中しやすくて良いです。

ブラックのヘッドのパターはいろいろありますが、つや消しの効果を強く感じます。集中しやすいパターです。

L字のネオマレット型のパターは、座りが悪いケースが時々あります。フックフェースになっていたり、オープンフェースになっていたりするということです。

『FRONTLINE パター 2.0』は、座りが良く、狙った方向に合わせやすいです。こういう部分を、アドレスでのクセがないと表現する人もいます。

L字のパターを使ってみたいゴルファー、元々使っていて戻したいというゴルファーに『FRONTLINE パター 2.0』はオススメです。

フェースが開いたりするミスが多いゴルファーにも『FRONTLINE パター 2.0』はオススメです。

前重心ということが強調されています。難しいのでは? とビビる必要はありません。

元々、パターは基本的には前重心だったので、後方重心になり過ぎていたという揺り戻しのようなものです。しばらくの間は、前重心は各パターメーカーの合言葉のようになって、ブレードパターは前重心という説明を耳にするはずです。

『FRONTLINE パター 2.0』の場合は、バリバリに機能しています。

前重心のパターは、成分未調整という感じで、フェースの向きのコントロールがしやすいです。

フェースに集まっている左右のタングステンウェイトと軽いアルミのインサートフェースが、良い仕事をしてくれます。

L字のパターは絶滅寸前です。特に安価なパターは、ほとんどないと言えます。

『FRONTLINE パター 2.0』は、安いのです。

機能や見た目の気遣いを考えたら、この値段は冗談のように安いです。コストパフォーマンスは最高です。

実は、発売日に『FRONTLINE パター 2.0』を購入しました。

試打してみて、我慢できなくなったからです。僕はゴルフ人生の7割ぐらいをL字のパターで過ごしてきたL字使いでしたし、最もパットの練習をしていた10代の頃に技術の基礎を作ったのもL字のパターでした。

約2年半、蜘蛛使いだったのは、市場に使いたいL字のパターがなかったからです。

『FRONTLINE パター 2.0』は、個性的ではありますが、どのパターも合わないと悩んでいるゴルファーに、実はオーソドックスが唯一の正解だったという物語を感じさせてくれる可能性があるファンタジーな1本です。