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ロマン派ゴルフ作家の篠原

新・貧打爆裂レポート『SIM2 MAX ドライバー』『SIM2 MAX-D ドライバー』

今回の貧打爆裂レポートは、2021年2月19日発売のテーラーメイド『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』です。

いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。テーラーメイドの新しいドライバーの秘密に迫ります! 動画も含めての試打レポートです。

SIM2のMAXとMAX-Dをナメると後悔するぞ!

『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』は、テーラーメイドが2021年2月19日に発売したクラブです。

“既成概念を打ち破る、革新のSIM2 MAX ドライバー”というコピーと“既成概念を打ち破る、革新のSIM2 MAX-D ドライバー”というコピーのドライバーです。

近年、各メーカーから『MAX』というグレードのクラブが次々に市場投入されていますが、その意味やポジションは様々です。

テーラーメイドの場合、『MAX』はフラッグシップモデルにやさしさを加えたクラブという感じでしょうか。

『SIM2 ドライバー』が素晴らしい仕上がりのクラブでしたから、『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』にも期待が高まります。

【試打クラブスペック】『SIM2 MAX ドライバー』
ヘッド素材 グラファイト・コンポジット・クラウン&ソール+アルミニウムリング+ヘビーバックスチールウェイト
フェース チタン(9-1-1)製ミルドバックカップフェース
ヘッド体積 460cc
シャフト TENSEI BLUE TM50(S)
ロフト 9度(10.5度もあり、カスタム対応で12度もあり)
長さ 45.75インチ
ライ角 56度
価格(税別) 7万6000円

【試打クラブスペック】『SIM2 MAX-D ドライバー』
ヘッド素材 グラファイト・コンポジット・クラウン&ソール+アルミニウムリング+ヘビーバックスチールウェイト
フェース チタン(9-1-1)製ミルドバックカップフェース
ヘッド体積 460cc
シャフト TENSEI BLUE TM50 (S)
ロフト 9度(10.5度もあり、カスタム対応で12度もあり)
長さ 45.75インチ
ライ角 56度
価格(税別) 7万6000円

『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』でも、『SIM2 ドライバー』で採用された「フォージドアルミニウム構造」が採用されています。

軽量で高強度のアルミニウムを精密にミーリング加工した「フォージドアルミニウムリング」で、フルカーボンソール、カーボンクラウン、カップフェースをプラモデルのように結合させるテクノロジーです。

おもちゃのような単純さに不安を感じる人がいるかもしれませんが、シンプルイズベストで、非常に面白いテクノロジーです。

「イナーシャジェネレーター」は、ヘッド後方に重いウェイトを設置して寛容性アップを狙ったテクノロジーです。軽量のカーボンソールと融合したことで、ダウンスイングのスピードアップに貢献するようです。

『SIM2 MAX ドライバー』のウェイトは、約24グラムとシリーズ最大になっています。

「スプリット マス ウェイト」は、ヘッド後部のヘービーバックウェイトの対角線上のヘッド前部に配置したウェイトのことで、適切な重心位置になるようにしたテクノロジーです。

この2つのテクノロジーを調整して、『SIM2 MAX-D ドライバー』はより強いドローバイアスを持つクラブになっているそうです。

「スピードインジェクション」は、反発規制を超えたフェース面の裏側にレジンを注入することで、上限ギリギリの反発性能に調整して、飛距離性能アップに貢献します。

前モデルでは2ヶ所からレジンを注入しましたが、『SIM2 MAX ドライバー と SIM2 MAX-D ドライバー』は、1ヶ所だけで済むようになっています。

「ツイストフェース」は、前モデルから引き継がれたボールの曲がりを低減するテクノロジー。「貫通型スピードポケット」も、同様にすでに実績があるテクノロジーで、フェース下部でのミスヒット時に無駄なスピンを抑えて、ボール初速維持に貢献するそうです。

『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』は、最先端のテクノロジーを詰め込んでいますが、最も興味深いのは、ヘッドの大部分がカーボンパーツであることです。

極端な話、フェース以外は、ほぼカーボン素材で作られています。まるで、カーボンヘッドのようです。

ゴルフ用具史の中で、20世紀の終わり頃からカーボンヘッドのドライバーは、何度も何度も出現しては、その機能性の高さを証明したものの、何らかの問題があって消えていくということの繰り返しでした。

しかし、2021年春。『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』が、カーボンをメインに使用したヘッドの良さを証明し、歴史のページ記されるクラブになる可能性を感じさせました。

MAXか、MAX-Dか、SIM2ドライバーは良過ぎて選べない!

動画を見てください。

『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』で最初に感じたのは、「ツイストフェース」がちょうど良い感じで構えやすいということです。

ドローと言うと、フックフェースという傾向がありますが、ドローバイアスの『SIM2 MAX-D ドライバー』は、そのようにはチューニングされていません。右に打ち出したくなるようなぐらいストレートにアドレスできます。

『SIM2 MAX ドライバー』は、打ってみると、少しとらえる挙動はしますが、ほとんど気にならないレベルです。僕の場合、ナチュラルで打つと、ややフェードしてボールが飛びました。

ちょっと驚いたのは、左に引っかけないようにチューニングされていることです。さすが、「SIM」という名称は、ツアードライバーなのです。

高弾道で、強い棒球系の弾道が打てます。平均で230ヤード、最高に飛んだホールで240ヤードでした。

飛距離の源は、初速とミスヒットに強い平均飛距離アップだと感じました。

一発の飛びの快感と言うより、何となく終わってみると、『SIM2 MAX ドライバー』が一番飛んでいるみたい雰囲気だったのです。

ストレートボールで、高いレベルで平均飛距離のアップを望んでいるゴルファーに、『SIM2 MAX ドライバー』をオススメします。

一方、『SIM2 MAX-D ドライバー』は、ビックリしました。

今まで、“D”が付くクラブは、かなり強いドローがかかるものでした。『SIM2 MAX-D ドライバー』も、そういうクラブだと考慮して試打を始めたのですが、1発目から、右にすっぽ抜けないだけで、ストレートに飛ぼうとする意思を感じたのです。

構えた時に、安心を感じやすい工夫がいくつもあります。とらえそうにも見えるのです。

しかし、やや左目にボールが打ち出される傾向があるものの、基本的にはストレート。意識すればきれいなドローも出ますし、フェードも強いボールが打てました。

飛距離は、平均230ヤード。最も飛んだホールが最高240ヤードでした。平均飛距離が伸びるタイプで、トップレベルに飛ぶ性能を感じさせました。

右にプッシュしたボールで苦しんでいるゴルファーに『SIM2 MAX-D ドライバー』はオススメします。

また、オートマチックに同じ弾道を打ち続けたいゴルファーに『SIM2 MAX-D ドライバー』はオススメです。

『SIM2 シリーズ』のドライバーの3本は、どれも素晴らしいデキだと感心しました。

どれを選ぶか? 普通は何本打っても、即答できるのですけど、非常に難しいと思いました。それぞれの個性が、捨てがたいのです。

フェードを打ちやすい、または、フェードを打ちたくなるドライバーは、現在の市場には少ないのですが、『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』は、どちらも、想定外にフェードが飛ぶボールになるのです。

試打しながら、完全に、フェード打ちだった頃の自分を思い出して、楽しんでしまいました。そのくらいの余裕が出るほどのやさしさもあるのです。

もし、僕がドライバーに悩んでいたら、『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』は確実にバッグに入れる候補として競うドライバーになったと思います。

『SIM2 シリーズ』のドライバーは、ほぼカーボンヘッドのドライバーなのだと、改めて思いました。

過去にも記憶があるのです。カーボンでヘッドを作ると、チタンでは不可能なレベルに重心配分が最適化できるので、曲がりにくく、操作しやすいドライバーができるのです。

『SIM2 MAX ドライバー』と『SIM2 MAX-D ドライバー』は、将来的に名器だと認められる可能性があり、基準になるドライバーとなることもあり得ます。打ってみるべきクラブです。やさしさとツアードライバーの融合を知っていて損はないからです。