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ロマン派ゴルフ作家の篠原

新・貧打爆裂レポート『ゼクシオ クロス アイアン #0』

今回の貧打爆裂レポートは、2020年12月19日に発売されたダンロップ『ゼクシオ クロス アイアン #0』です。

いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。ゼクシオが作った0番アイアンの秘密に迫ります! 動画も含めてのレポートです。

『ゼクシオ クロス』の0番アイアンに期待最高潮!

『ゼクシオ クロス アイアン #0』は、ダンロップが2020年12月19日に発売したクラブです。

ぶっ飛び系の『ゼクシオ クロス アイアン』が二代目になり、そのテクノロジーとコンセプトの延長線上で提案されるのが『ゼクシオ クロス アイアン #0』です。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』のコピーは、“飛距離と直進性を追求した攻めるアイアン。新次元の飛距離で飛び系アイアンの可能性を広げる「#0」”です。

【試打クラブスペック】
ヘッド SUS630ステンレス+高比重タングステンニッケルウエイト
フェース 6-4チタン
シャフト ゼクシオ クロス MH2000 カーボン(S)
ロフト #0/17度
ライ角 61度
長さ 39.25インチ
価格(税別) 3万8000円

『ゼクシオ クロス アイアン #0』のテクノロジーは、最先端というより、現在までダンロップが蓄積してきて、実績もあるテクノロジーをブラッシュアップして作られた、という感じがします。

「チタンカップフェース」ですが、素材は昔からある「6-4チタン」です。ただ、その形状は、フェースの裏の上下に深い溝を施すことで高反発での初速を増加し、高反発エリアを広げていることを想像させます。

ネックとヘッド周辺部は、トウ側に25グラムのタングステンウエイトが装着されていて、ソールの厚み部分以外は、最小限の骨組みしかありません。

低くて、深い重心になっていることも明確です。

『ゼクシオ』というブランドには、日本一の分野がいくつもあります。

21世紀と共にゴルフシーンを歩んできたゼクシオは、王道を進んでいるイメージがあります。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』のような冒険的なクラブを出すイメージがないので、これは相当に自信があるのではないかと、最初に考えました。

巨大になったブランドでは、成功は最低条件になってしまいます。

いろいろと挑戦するのではなく、失敗しても良いという余裕がある選択肢はないからです。

17度は、ウッドであれば4~5番ウッド相当で、アイアンなら2番アイアン相当になります。

飛びそうですが、同じ分だけ難しいのだろうな、と感じるゴルファーもいると思います。でも、このクラブは、スリクソンではなく、ゼクシオであることを忘れてはなりません。

多くのゴルファーが扱えるからゼクシオなのです。

やさしく、ぶっ飛ばせる『ゼクシオ クロス アイアン #0』は、今までのフェアウェイウッドやユーティリティで結果を出せなかったゴルファーを助けてくれるクラブだと期待せずにはいられないのです。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』は真剣に打つと機能する!

動画を見てください。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』は、奇妙な形をしています。

アイアンの流れを汲んでいるとも言えますが、ユーティリティのクラウンがなくなってしまったというのが、一番近いような気がします。

個人的には、こういう形状のクラブに違和感がないので、アドレスした時に、単純に「いいね」と思いました。ソールの形状もありますが、ワイドソールで時々ある「かぶってしまう」ことはありません。

純正のSシャフトは、かなりしっかりしています。これは意外であるのと同時に、一つの仮説を導く鍵になりました。

硬いシャフトが得意か好きだという以外は、シャフトのフレックスを選ぶ時に冷静な判断が必要です。

改めて、『ゼクシオ クロス アイアン #0』をアドレスしてみると、しっくりきます。

打ってみて、ビックリしました。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』はやさしいのです。やさしいという場合、いくつかの種類があります。

スライスをしないクラブがやさしい。球が上がるクラブがやさしい。この2点をやさしさのポイントだと考えているゴルファーには、『ゼクシオ クロス アイアン #0』は向いていません。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』のやさしさは、直進性能の高さと、ミスヒットしても飛距離や方向性といった結果があまり悪くならないという2点に集約されます。

とらえる動きが最小限なので、ガンガン振っていけます。クラブのせいで左に引っかけることはありません。

打音はアイアンの音質です。音量はちょうど良く、残響がきれいなので、美しい打音になっています。

芯に当たった時は、強いボールが出ます。棒球系のストレートボールです。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』は曲がらないクラブですが、フェード、ドロー、どちらも軽くかけるのは可能です。同じぐらいのさじ加減で曲げられる敏感さは、使いこなせるゴルファーにとって快感になるはずです。

ヘッドスピード40m/秒の僕が、軽く振っても185ヤード。しっかりと当たった時は、190ヤードキャリーして、200ヤードを越える距離が打てます。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』の飛距離性能はピカイチです。飛びを楽しめます。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』は、しっかりと打てるゴルファーで、フェアウェイウッドが苦手だったり、自分に合うユーティリティに出会えていないケースにオススメします。

残念ですが、非力なゴルファーが飛距離を出すためであれば、他に変わるクラブがあると思います。『ゼクシオ クロス アイアン #0』は、ある程度打てる人のためのクラブです。

純正シャフトのSフレックスがハードなのも、ハードヒッターでも耐えられるような考慮なのだと思います。

試打ラウンドで同伴者に打ってもらいましたが、僕よりヘッドスピードが速い人でしたが、240ヤードを打っていました。それも、何発もです。

フェアウェイウッドでも相当に当たらないと、そこまでは打てないと思われますので、これは武器になると、目を輝かせていました。

ゼクシオは高額なクラブだというイメージがありますが、『ゼクシオ クロス アイアン #0』は比較的安いという印象です。

ウッドが苦手なゴルファーは、『ゼクシオ クロス アイアン #0』に救われると思います。オススメです。

さて、過去のゴルフ用具史の中で、昭和の時代から0番アイアンという発想で作られたクラブは存在しました。

僕はそれらをバッグに入れていたこともあるので、実は大好きです。『ゼクシオ クロス アイアン #0』は、そういう中でも、特別に良い出来だと感心しました。

この手の長距離砲的なクラブを扱うコツがありますので、最後にそれを書きます。

ハンドダウンに構えないことがコツなのです。ついつい知らぬ間に、ハンドダウンになりがちなのですけれど、意識してハンドアップ気味にして、大きくゆったり打つことで、機能をフルに発揮するようになるはずです。

『ゼクシオ クロス アイアン #0』は、合う人と、合わない人がハッキリするクラブです。もしかしたら合うかもしれない人は、打ってみないと後悔することになるので、ご注意ください。