ゴルフクラブ
Nick Jagger
フレックスだけでシャフトを選んでいませんか?振動数・トルク・キックポイントとは?
ゴルクラブを購入する時、ほとんどの人がクラブの総重量やロフト角、シャフトの硬さ(フレックス)はチェックすると思いますが、そのシャフトが本当に自分のスイングに合っているものでなければ、クラブの機能は生きてきません。
自分に合ったシャフトを見つけることが、自分に合ったクラブを見つけることにつながるのです。
自分に合ったシャフトならば、自分のタイミングでクラブを振った時に、ヘッドが先行してしまったり、遅れてしまうようなことがなく、きちんとヘッドがインパクトのタイミングに戻ってきます。
シャフト選びでも、やはり実際に振ってみての「振りやすさ」、「球筋」といった感覚が重要になります。
さらには、自分に合った振動数、自分に合ったトルク(シャフトのねじれ)、自分に合ったキックポイント(シャフトのたわみ方)などのスペックも目安として必要になってきます。
スペックと自分の感覚というふたつの要素を合わせて考えることが、間違いのないシャフト選びにつながるのです。
メーカーによって異なるフレックス
まずは、フレックスについて解説しましょう。
新しいクラブを購入するにあたっては、まずはシャフトのフレックスを決めます。
その際に、今まで自分が使っていたエースクラブと同じくらいの振動数のクラブを選ぶことがポイントです。
振動数とは、クラブのグリップ部を固定してシャフトを振動させ、1分間に何回振動するかというもので、単位はcpm(cycles per minute・回転/分)です。
硬いシャフトであれば振動数は多くなり、柔らかいシャフトであれば少なくなります。
シャフトにはRとかSといったフレックス表示がありますが、計測法が各メーカーはおろか、同じメーカーでも違うブランドでもまちまちであるために、当てにはなりません。
「自分はSシャフト」と決めつけて、同じS表示でもメーカーやブランドの違うシャフトを購入したら、まったく合わなかったというケースも多いのです。
個人的には、ユーザーのことを考えるなら、シャフトフレックスの計測法の統一基準を設けるのは当然だと思うのですが……。
ともかく、ユーザーとして従来のフレックス表示ではなく、振動数で自分に合うシャフトフレックスをつかむといいでしょう。
シャフトには、硬度によって固有の振動数があり、同じ振動数ならば、メーカーで表示が違っても同じフレックスといえます。
シャフトの振動数を測る時に誤解しやすいという専門家もいますが、あくまでグリップとヘッドが付いた状態で測ったもので判断することです。
シャフトのみの振動数を知っても、ユーザーにとっては意味がないからです。
ヘッドスピードの速い人はトルクの少ないシャフトを選ぶ
以前は、シャフトのトルクに関心を持つゴルファーはいませんでした。
それもそのはず、スチールシャフトが全盛の頃には、素材の単一性、安定性という特徴があり、そのため、トルク設計の自由度がなかったからです。
しかし、高い設計自由度を持つグラファイト(カーボン)がシャフトの素材として登場すると、トルクの操作も簡単に行えるようになったのです。
そもそもトルクというのは、シャフトに生じる「ねじれ」のことをいいます。
フレックスが、シャフトのたわみを意味する縦方向の柔らかさを表すのに対し、トルクは、シャフトの横方向に対する柔らかさを表しています。単位は「度」です。
例えるなら、水に濡れた雑巾を絞るような動きを表すのが、トルクなのです。
スチールシャフトのトルクは、ウッドにおいては通常2.5~2.8しかなく、アイアンでもやはり、1.2~1.8というものでした。
いずれも1度以内の幅しかありません。
それに対して、現在のアベレージゴルファー向けのクラブに装着されているカーボンシャフトは、ウッド、アイアンとも5度前後のトルクがついているのです。
ちなみに、この数字は、大きくなるほどねじれも大きくなっています。
トルクの動きは、スイング中のシャフトに生じたねじれを、インパクト時に復元させることによってヘッドをターンさせ、手の返しをもたらし、タイミングよくボールをつかまえるようにするというもです。
このねじれが多くなると、復元するにも、当然時間がかかってきます。
このようなクラブをヘッドスピードの速い人が打てば、ねじれが復元される前にインパクトを迎えてしまうことになり、ボールをつかまえていくことはできません。
つまり、ヘッドスピードの速い人やヘッドの返しが強い人は、トルクの少ないシャフトをつかうことです。
逆に、ヘッドスピードの遅い人や女性ゴルファーは、トルクの多いシャフトを使用すると、ヘッドスピードが増し、ボールをつかまえやすくする効果があります。
アベレージゴルファーには先調子のシャフトがいい?
フレックスはシャフト全体のたわみの柔らかさを表すものですが、同じシャフトのたわみを表すにしても、シャフトが湾曲した頂点の位置を表すのがキックポイントです。
欧米では「ベンディングポイント」と呼ばれており、ボールの弾道に影響を与えるものです。
通常、湾曲の頂点がグリップ側に近いものを「手元調子」、クラブヘッドに近いものを「先調子」、その中間にあるものを「中調子」と呼んでいます。
一般的に、先調子のものほどボールは上がりやすく、手元調子になると、低弾道のボールが出ます。
各メーカーから発売されているクラブは、対象ゴルファーによってキックポイントに差を設けています。
アベレージクラスや非力な人向けには、先調子や超先調子というようなシャフトを装着し、ボールを上げて、キャリーでボールを飛ばすようになっています。
逆に、上級者向けに作られているクラブには、吹き上がりを抑えて、アゲインストの風にも強いボールが出るように、手元調子のシャフトが装着されています。
先調子のシャフトは、インパクトにおけるシャフトのしなりがヘッド寄りにくるために、ダイナミックロフト(インパクト時のロフト)が大きくなり、ボールが上がりやすくなっています。
それが、ボールが上がらずに悩んでいる人には、先調子がいいと言われる理由です。
このように、キックポイントの性質を知ることができれば、自分のゴルフスタイルに合ったシャフト選びをする上での助けになってくるわけです。
多くの人がクラブを選ぶ際、クラブの総重量とシャフトのフレックスは気にすると思いますが、ここに書いたように、振動数やトルク、キックポイントにも注意して選ぶようにすると、より自分に合ったクラブを見つけられると思います。
ちなみに、総重量やトルク、キックポイントはカタログなどに記載がありますが、振動数に関しては、ほとんどの場合記載されていません。
なので、振動数を知りたい場合は、工房を併設しているショップなどへ行って、「このクラブの振動数を計測してください」などとお願いするようにするといいでしょう。
その際、自身のクラブの振動数も一緒に測ってもらうと、自分が振りやすい振動数がどのくらいなのか把握できるかもしれません。
今後のクラブ選びの参考にしてください。
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