ゴルフクラブ
ロマン派ゴルフ作家の篠原
新・貧打爆裂レポート『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』
今回の貧打爆裂レポートは、2020年3月6日に発売されたタイトリスト『VOKEY DESIGN(ボーケイ・デザイン)SM8 ウェッジ』です。
いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。新しいボーケイのウェッジの秘密に迫ります! 動画も含めての試打レポートです。
原点に戻って、王道のウェッジになったSM8!
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、タイトリストが2020年3月6日に発売したクラブです。
『VOKEY ウェッジ』といえば、米ツアーのプロの使用率1位を長い間維持している憧れのウェッジです。
そして、憧れに相応しく、ウェッジとしてはかなり高額な価格帯になります。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、ロフトは46度~62度まで、2度刻みで9種類あり、ソールの種類も使用する状況に合わせるようにようにロフトと6種類が組み合わせられるようになっています。
今回は、使い慣れたロフトということで、50度と56度をテストしました。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、重心設計を見直して、すべての番手が同じ感覚で、ロフト通りの弾道になるように改良されました。使い勝手についてはソールのグラインドで対応するようになっているということです。
【試打クラブスペック】
ヘッド 軟鉄鋳造
シャフト N.S.PRO 950GH neo(S)
ロフト他 50度8F、50度12F、56度8M、56度12D
価格(税別)2万4000円
僕は、過去に『VOKEY ウェッジ』を自分のバッグに入れたことがありません。
理由は、構えたときに「行けそう!」という感じがしなかったからです。
ウェッジは感性で使うクラブですので、直感を信じるべきだと考えています。どんなに優れていても、合わないものに、自分を合わせても、望むような結果は出ないのです。
そういう事情なので、過去の『VOKEY ウェッジ』との比較はできません。純粋にウェッジとしての性能について、いろいろとチェックすることにしました。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、今までの『VOKEY ウェッジ』とは違うものだという説明でしたが、構えただけで、それは少しわかります。
今回10本近い本数の『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』を貸していただいたのですが、どれも構えるといい感じなのです。あれ? と思うほど、いわゆるクラシカルで、オーソドックスなのです。
これは意外でした。
僕は好感触でしたが、『VOKEY ウェッジ』独特のクセみたいな部分に魅力を感じていたゴルファーには、少し物足りないかもしれません。
大改革したという『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、面白そうだと、期待しながらコースに持ち込みました。
使い手を裸にするVOKEY DESIGN SM8 ウェッジ!
動画を見てください。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』をコースで打ってみました。
打音は、控えめな音量で、高音質、金属系の音質です。真芯に当たったときの抜け感もいいですが、少しずらしたときもいい打音がします。
打音も、打ち応えも、オーソドックスです。一切、奇をてらわないところは、王道のウェッジの余裕を感じさせます。
50度は基本的には、フルショットからハーフショットぐらいで使うウェッジです。実に気持ち良く使えるウェッジでした。
50度の場合は、8度のバウンスが使いやすいです。面白いのは、他のメーカーのウェッジよりも、8度のバウンスが効くことです。跳ね感を感じます。
12度のほうは、打ち込みたくなります。戻り過ぎだと思うほどスピンがかかってしまうことがありました。
スピンをかけたいゴルファーには、12度のほうをオススメします。普通に使用するのであれば、オールマイティーである8度がオススメです。
いずれも、シャフトの性能もあって少し飛ぶ感じもしました。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』の56度は、基本的には寄せで使います。
8度はどうなのかと思っていましたが、8度でも十分いいのです。バウンスの跳ね感をしっかりと感じますし、開いて使っても、打ち込むタイプであれば、むしろ使いやすいだろうと推測しました。
12度はソールを滑らせるタイプのゴルファーにオススメです。打ち込んでも良し、ソールを滑らせても良し、ゴルファーの技量に応えようとしてくれます。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、やや面長なフェースです。ボーケイのウェッジは、いわゆるクラシックな形状からするとヘッドが長いのが特徴で、それが合わないと感じる人もいます。
良くできていると感心したのは、重心の位置をすべての番手で同じように整えた効果で、フェースを開いたときに、芯を外して「すかす」という領域が狭くなって、芯に当てつつ距離感を出すという使い方がしやすくなったのです。
フェースを開いて寄せをするゴルファーには、オススメです。
今回、バウンスを2種類打ち比べることになったのは、ボーケイ担当スタッフの「わかる人にはわかる部分を、体感してほしい」という挑発に乗ったからですが、乗って良かったと思いました。
自分の中で、こうなるはずだという予想の半分はハズレだったのです。
バウンスには用途によって、最適な角度が存在します。ソールを勉強したり、こだわりのあるゴルファーは、それを熟知しています。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』にはいろいろなバウンスがありますが、実は、その最適な角度で機能することを前提にチューニングされているのです。
例えば、12度が最適な場合には、8度や10度ではバウンスの効きを良くするように削ってあり、14度のほうは逆に効きが悪くなるようなソール形状にしてあるのです。
つまり、どのバウンスでも、12度という最適な効果が出るように工夫されていることに感心しました。
ちなみに、ボーケイウェッジのバウンスはソールの中央を計測するそうです。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、安心してロフトで選べるようになっているのも、大きなプラスポイントです。以前の『VOKEY ウェッジ』は、ロフト通りに距離が出なかったりするものもあったからです。
『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は、人工芝のマットでは機能を制限されているような感じになります。
芝生の上で打って、自分に合った1本を探すのは、なかなか難しいと思います。それでも、今までは嫌いだと手に取らなかったゴルファーにも、『VOKEY DESIGN SM8 ウェッジ』は打ってみてほしいです。