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ゴルフクラブ

Quattro

クラブセッティングの流れを良くする3つのルール

今回の記事はクラブセッティングの考え方についてです。

今一度クラブセット全体の流れを考え直してみましょう。

クラブセッティングは“流れ”が大事!

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みなさんこんにちは。ライターのQuattroです。

各メーカーの新作クラブが出揃い、ギア好きの皆さんは買い替えを検討している頃でしょうか。

しかしその買い替え、もしかしたら不調を招く一因になってしまうかもしれません。

なぜなら!! クラブセッティングはドライバーからウェッジまでの“流れ”が非常に大切だからです。

特にアマチュアゴルファーの限られた予算の中で、「今回はドライバーを買おう」とか「あのフェアウェイウッドが話題だから買ってみよう」というように、単発でクラブを足したり変えたりしていると、この傾向はさらに顕著になります。

本稿では、クラブセッティングの流れを崩さない3つのルールをご紹介していきたいと思います。

“振り感”を揃えることがセッティングの流れを整える

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そもそもですが、クラブセッティングの“流れ”とは何を指すのでしょうか。

ここでいう“流れ”とはメーカーやブランド・シリーズを統一することではありません。

私は「流れを揃える=“振り感”を揃える」ことだと思っています。

ゴルフは18ホール回る中で、パターは別物と考えると13本のクラブをシチュエーションによって使い分ける競技です。

1本1本のクラブに合わせながらスイングできるなら話は別ですが、すべてのクラブでなるべく同じスイングができたほうがゲームがシンプルになります。

ドライバーからウェッジまで、同じスイングで違和感なく振れるようなセッティングにすることが、無駄なミスを排除し、スコアアップにもつながるというわけです。

そして、“振り感”を揃えていくためには気を付けなければならない3つのルールが存在します。

では、その3つのルールについて以下詳しく解説していきましょう。

ルール1:総重量のフローを整える

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まずは総重量についてです。これは「クラブが短くなるにつれて総重量が重くなっていかなければならない」というルールです。

ゴルフクラブというのは基本的にロフトが立てば立つほどクラブレングスが長くなっていきます。ロフトが立っている(球が上がりづらい)クラブほど、長さによる遠心力でヘッドスピードを上げて、球を上げやすくしているというわけです。

ここで大事なのが総重量のフロー。

上述したようにクラブは長くなればなるほど、遠心力が発生します。遠心力が大きくなれば、振り手であるゴルファーにとってはそれは「重さ」として感じ取られます。

つまり、同じ重さで違う長さのクラブが2本あった場合、長いほうが振った時に重く感じられるという理屈ですね。

この長さごとに生じる遠心力(によって生じる体感の重さ)の差を埋めるため、ゴルフクラブは短い番手ほど重く(長い番手ほど軽く)して、体感的にはすべてのクラブがなるべく同じ重さに感じるようにしていくことが振り感の統一につながってきます。

この法則が逆転してしまう、つまり長いクラブのほうが重くなってしまっていることを「総重量の階段の逆転」と呼んだりもします。

もちろんセット売りされているアイアンセットの中や、同シリーズの3番ウッドと5番ウッドの中でこの関係が崩れていることはよっぽどのことがない限りはありません。

気を付けなければならないのは、フェアウェイウッドとドライバーの間、フェアウェイウッドとユーティリティーの間などで生じる重量の逆転。

これは多くのアマチュアゴルファーが結構やってしまっています。

昨今、ゴルフクラブというのヘッドやシャフトのバリエーションが多岐にわたっており、各番手のモデルごとの重量の振れ幅も大きいためにこのような現象が起こりやすいのだと思います。

特にフェアウェイウッドやユーティリティーなど、ドライバーとアイアンの間の距離を打つクラブにおいてこの現象は起こりやすいので、購入の際はぜひ注意していただきたいですね。

もちろん重量フローを揃えるだけで振り感が揃うわけではないですが、このルールを無視しては何も始まらない大前提ですので、ぜひ自分のクラブの重量(と長さ)をチェックしてみましょう。

ルール2:シャフトの手元の剛性感を揃える

続いてのポイントはシャフトに関してです。

これはルール1より難易度高めです。

皆さんもシャフトに「調子」というものがあるのはご存知かと思います(いわゆる“元調子”とか“先調子”というやつですね)。

「なんやセットの中でシャフトの調子揃えればいいんか」と思ったあなた、そんな簡単な話じゃないんですね~(笑)。

シャフトの調子は、一般的にシャフトの両端から力を加えてしなりの頂点の位置で決めていることが多いです。

察しのいい方であればすでにお気付きかもしれませんが、この計測方法でいくと先端と手元が硬くて中間が柔らかいシャフトも、先端と手元が柔らかくて中間が硬いシャフトも、両方「中調子」ということになります(ちなみに後者は“ダブルキック”と呼ばれることもあります)。

両者は性格的には真逆のシャフトですので、たとえ中調子で統一したといってもこれらがセットの中で混在しては振り感は揃えられません。

そこで揃えるべきが手元の剛性感。

シャフトの手元側のしなり方というのは、テークバックからダウンスイングでの切り返しで最も負荷がかかる箇所であり、ゴルファーがスイングのタイミングの取り方に影響する非常に大きなファクターとなっています。

この部分の剛性を揃えることによって、タイミングの取り方がクラブセッティングを通して一定となり、振り感も揃ってくるというわけなんですね~。

自分が手元側が硬いほうが好きなのか柔らかいほうが好きなのかはセルフジャッジできたとしても、どのシャフトがどんな剛性分布なのかを判断するにはそれなりに情報収集や試打に時間を割かなければなりませんので、信頼できるフィッターさんに任せてしまうのも一つの手ですね。

また、シャフトに関してはもちろん先端剛性も大事なファクターなんですけど、今回の記事のテーマ的には手元側の話のほうが重要なので、先端の話はまたの機会に……。

ルール3:重心距離を揃える

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最後のルールはヘッドに関しての話です。

重心距離とは、シャフト軸線上からヘッドの重心までの距離のことを指し(フェース面上の重心点を指すこともあります)、主にヘッドの返りやすさを測る指標として用いられます(重心距離が長ければヘッドは返りにくく、短ければ返りやすい)。

これが揃っていないと、上記ふたつのルールが守られていてもドライバーだけプッシュしたり、アイアンだけチーピンしたりと、噛み合わないゴルフになってしまいます。

しかもこれだけに留まればまだマシなほうで、上記のミスを嫌がって小手先でクラブをさばき始めてしまうとスイングまで壊すことにつながります。

あくまでもクラブの流れを揃える目的は「どの番手でもなるべく一定のスイングをできるようにする」ことなので、スイングが壊れちゃったら元も子もないですよね(笑)。

まとめ

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ここまでとにかく“揃えろ、揃えろ”と言いまくってきたわけですが(笑)、ここでいう「揃える」とは、一概に「数値を揃える」ということを指してるわけではありません。

もちろんルール1の総重量に関しては実際の数値を見るべきですが、ルール2とルール3に関してはあくまでも相対的な話がメインになります。

例えばルール2に関しては、シャフトの手元剛性を示す数値として“振動数”という指標がありますが、ドライバーからウェッジまで振動数を同じにすれば振り感が揃うわけではありません(もし数値を揃えちゃったら長いクラブがめっちゃ硬く感じるはずです)。

あくまでも感覚として、剛性“感”を揃えることを意識していただきたいわけですね(長いクラブから短いクラブになるにつれて一定の割合で振動数が大きくなるようにすると、揃いやすくなります)。

ルール3に関しても同様です。まずそもそもにおいて、ヘッドサイズがまったく異なるドライバーとアイアンの重心距離の数値を同じにするのは不可能。

あくまでもセット全体で重心距離が長め、短めというような統一感を出していただければ十分かと思います。

そんな曖昧なこと言われても困るという方もいらっしゃるかとは思いますが、この曖昧さ加減こそがクラブセッティングの難しさであり、醍醐味でもあります。

自分であれこれ考えるも良し、フィッターさんに相談するも良し、自分のスイングにマッチするクラブセッティングをぜひ探求してみてください。