「タイガー・プルーフ」の再現はあるのか?~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#190

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今週はマスターズ・ウィーク(ちなみに、日本ツアーも今週はマスターズ=三井住友VISA太平洋マスターズ)。

今年は開幕前から話題が豊富。なかでも注目(警戒?)されているのが、全米オープンを圧倒的な飛距離とパワーで制したブライソン・デシャンボーです。

その異次元の飛距離を大会前週に一緒に練習ラウンドを行ったサンディ・ライル(88年大会のチャンピオン)がメディアに明かしています。

彼が語ったデシャンボーの第2打アプローチの使用クラブは以下の通りです。

・1番パー4(445ヤード):サンドウェッジ
・2番パー5(575ヤード):8番アイアン
・3番パー4(350ヤード):1打目3番ウッドでグリーンオーバー
・8番パー5(570ヤード):7番アイアン
・9番パー4(460ヤード):サンドウェッジ
・10番パー4(495ヤード):ピッチングウェッジ
・11番パー4(505ヤード):9番アイアン
・13番パー5(510ヤード):7番アイアン ※1打目は3番ウッド
・15番パー5(530ヤード):9番アイアン
・17番パー4(440ヤード):サンドウェッジ

唖然呆然の飛距離ですが、彼が今年、その威力でマスターズを制した時、オーガスタナショナルGCは来年以降、かつて「タイガー・プルーフ」と呼ばれたような対策を講じてくるかもしれません。

タイガーがオーガスタナショナルGCを変容させた

タイガーがオーガスタナショナルGCを変容させた

getty

1997年、タイガー・ウッズは現在のデシャンボーと同様、他を圧倒する飛距離を武器にマスターズを初制覇します。

「タイガーは2位に12打差という前代未聞の勝利を挙げました。そして、平均323ヤードという群を抜く飛距離は、(オーガスタナショナルGCに)このような事態を二度と起こさせないために何ができるか、という議論に直面させたのです」と始まるGOLF.com の記事(下記リンク先)によれば、323ヤードという平均飛距離は、大会時点の米ツアーの平均飛距離トップだったジョン・デイリーの記録を約20ヤードも上回っていたそうです。

まさに現在のデシャンボー状態です。

すると、オーガスタナショナルGCはタイガーの威力に抵抗するように、翌98年にはそれまでなかったラフ(と言ってもいわゆるセミラフ=ファーストカット)を出現させ、99年からはコースの延伸を始めます。

その変遷は以下の通り。

1999年:6985ヤード ←6925ヤードから延伸
2002年:7270ヤード (前年、タイガーが16アンダーで2度目の優勝)
2003年:7290ヤード (前年、タイガーが12アンダーで3度目の優勝)
2006年:7445ヤード (前年、タイガーが12アンダーで4度目の優勝)
2009年:7435ヤード
2019年:7475ヤード
※この年、タイガーが13アンダーで優勝しましたが、2020年にコースの延伸はありませんでした。

「ブライソン・プルーフ」はあるのか?

「ブライソン・プルーフ」はあるのか?

getty

こうしたオーガスタナショナルGCの対応をメディアは「タイガー・プルーフ」と呼びました。「ウォーター・プルーフ(耐水性、防水加工)」の“プルーフ(proof)”で、つまりは「タイガー対策」ということ。

ただし、オーガスタナショナルGC側はタイガー個人ではなく、時代の変化に応じた対応と語っています。

一方、1997年当時のタイガーのコーチ=ブッチ・ハーモンは、上記のデシャンボーの飛距離(第2打の使用クラブ)を知ると、「当時のことが思い出される」として、タイガーとデシャンボーに関するコラムを記しました(下記リンク先)。

それによれば、今年のデシャンボーは当時のタイガーが置かれた状況に似ているとしたうえで、

「今回、オーガスタナショナルGCが、早速“ブライソン・プルーフ”を設定してくることはないでしょうけど、今年彼がかつてのタイガーのような“制御不能”な存在になれば(97年は当時大会記録の18アンダーで圧勝)、来年はどんな対策を講じるのかわかりません」

と、デシャンボーのゴルフがコースの改修・改造を促す可能性に言及しています。

カギはパッティング

ただし、ハーモンは続けて、

「とは言っても、オーガスタナショナルGCには2つのティーを除いて(うちひとつは13番パー5。ティー後方に広い空き地を確保してある)、大きく改造できる余地はあまりないでしょう。となると、私たちはデシャンボーのゴルフを新しいノーマルとして受け入れなければならないのでしょうか? 今週、彼は何らかの答えを示すことでしょう」

と述べています。

果たして、デシャンボーは全米オープン同様、コースを完全に凌駕するのでしょうか? それとも、オーガスタナショナルGCのタフな設定の前に立ち尽くす?

ハーモンは、そのカギはパッティングで、3パットが一度もなければデシャンボーに優勝のチャンスがあると見ています。

ところが、いつものツアートーナメントならグリーンブック(グリーン面の傾斜や芝目を詳細に記したヤーデージブック)に“首っ引き”になり、時にスロープレーを指摘されるデシャンボーも、オーガスタナショナルGCではその使用は禁止。

しかも、彼は今年で4回目のマスターズ。まだ経験は多くありません。

グリーン上は、タフな戦いを強いられそうです。
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こせきよういち

かれこれ30年もフリーランスのライター稼業をやっています。活動のフィールドはゴルフ雑誌がメインですが、ゴーストライターとして単行本を執筆したり、某出版社の運営を手伝ったり、テレビ・ラジオのスポーツ番組の構成を手掛けたり……。昨年(2016年)はトランプ大統領をテーマにした単行本の一部執筆もしました(笑)。でも、目下一番忙しいのは、日々SNSにアップしているゴルフ関連の話題を収集する作業かな。ゴルフ界、スポーツ界がもっと元気になれるように、との視点から有益な、あるいは面白い情報を集め、発信しています。 Twitter: https://twitter.com/kohe46

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