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こせきよういち

「大したタマだ」by マッケンジー・ヒューズ~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#162

先週の米ツアー競技「ザ・ホンダ・クラシック」は韓国の21歳、昨シーズンの新人王=イム・ソンジェのツアー初優勝で幕を閉じました。

この大会は46歳のリー・ウエストウッドや米ツアー初優勝を狙うトミー・フリートウッドなど上位が多士済々。見どころの多いトーナメントでした。

イム・ソンジェと同じ組で回り、1打差の2位になったマッケンジー・ヒューズもそのひとり。何かとホットな話題を呼びました。

どん底のシーズン、友の死が力に

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ヒューズはカナダ出身の29歳。米ツアーは2016-17年シーズンに、下部ツアーから昇格。5試合目のRSMクラシックでさっそく優勝します。

しかし、その後は低迷が続きます。

昨シーズンのフェデックスカップもランキングは98位(125位までが翌シーズンのシード権)。何とか今季のシード権をキープしました。

今季も「ザ・ホンダ・クラシック」の前まで、出場11試合で予選通過はわずか2試合。フェデックスカップのランキングは223位という惨状でした。

ところが、友の死が彼に力を与えます。

「ザ・ホンダ・クラシック」の前週、地元(ノースカロライナ州シャーロット)の親友ダニエル・メグスさんが亡くなったのです。

ヒューズは4日間、ボールにメグスさんのイニシャルを書き入れて戦いました。

「僕はただ、天国にいるダニエルと彼の家族に伝えたかったんだ。彼らのことをいつも思っているよ、って。ダニエルは本当に素晴らしい人間で、素晴らしいゴルファーだった。今週は彼のためにプレーしたんだ」

その結果、彼は最後まで優勝争いに加わる、見事なゴルフを展開したのです。

16メートルのスーパーバーディパット

最終日、トップと4打差、8位タイのヒューズは最終組の3組前でイム・ソンジェと一緒にプレーします。

序盤から安定したプレーを続けた彼は13番ホールでこの日4つ目のバーディを奪い、トップに並びます。

ところが、舞台のPGAナショナルの「アーメンコーナー」と言われる、タフな15番・16番・17番の3ホール=別称「ベアトラップ」の真ん中、16番パー4でこの日初めてのボギー。トップから一歩後退します。

しかし、続く17番パー3で上掲のツイッター動画のスーパープレー。16メートル余りの難しいバーディパットを見事に沈め、一時はイムに並び、そして最後まで食い下がったのでした。

それにしても、このとき見せたガッツポーズは見る者も熱くさせる、気持ちのこもったいいアクションでした。

「ビッグボールズ」でイム・ソンジェを称賛

最後までイム・ソンジェに食い下がったヒューズですが、ネット上でプレー以上に評判を呼んだのが、15番パー3で見せたイム・ソンジェを称賛するアクションでした。

「ビッグ・ボールズ」と呼ばれるこのアクションは、日本語にすれば「大したタマだ」「根性が座っている」「いい度胸をしている」といった意味の、相手を讃えるアクションです。

実際、このときイム・ソンジェが放った一打はグリーン手前の池を恐れることなく、ピンを真っすぐに狙った驚きのスーパーショットでした。

そして、優勝を争う相手にも素直に敬意を表すヒューズ。

ちょっと愉快で、とても印象的なシーンでした。

マッケンジー・ヒューズは、勝ったイム・ソンジェとともに覚えておきたいプレーヤーです。