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ゴルフコース・練習場

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パナソニックレディース開催「浜野ゴルフクラブ」前編〈施設・コース①〉“コース紹介・新シリーズ”第10回

今年のゴールデンウイークに、浜野ゴルフクラブで令和改元後初のゴルフトーナメントとして、「第1回パナソニックオープンレディーストーナメント」が開催されました。

このコースは、有名設計家「井上誠一」の遺作となったコースで、会心の作とも言われています。

今回、久しぶりに同コースをラウンドする機会が訪れましたので、2回に分けて女子トーナメントの状況を交えながら、ご紹介していきます!

その前編は「施設・コース①」です。

コースの誕生は比較的新しい!〜苦悩とゴルファーの熱意が勝った!

浜野ゴルフクラブは、千葉県市原市にあります。東京都心から車で約50分ほどの距離で、比較的至近なコースです!

設計は、名設計家の「井上誠一」で、このコースが遺作と言われています。

コース開場は、1984(昭和59)年です。ゴルフ場の計画は昭和36年ころから始まりましたが、資金難などで中断して、その後ゴルフ場運営会社であった日東興業の看板コースとして、ハイレベルなゴルフ場を目指してオープンしました。

しかし、1997(平成9)年の日東興業の倒産により投資会社に経営権が移りましたが、訴訟合戦が繰り返されました。

最終的に会員有志により結成された会による更生計画案が認可されて、2006(平成18)年4月に完全株主制によるゴルフ場として、再建の道を歩み始めました。

こうして、会員のゴルファーとしての熱意が実り、新生「浜野ゴルフクラブ」が誕生しました。

1984年の開場後には、女子プロの「富士通レディース」を連続して開催したほか、1987(昭和62)年には男子の「日本プロゴルフ選手権」も開催されました。

名匠「井上誠一」の遺作と言われる「浜野ゴルフクラブ」!

名匠「井上誠一」は、ゴルフをやる方なら、ほぼ知っていると思われるほど有名な設計家です。

1930(昭和5)年、22歳の時に来日したアリソン氏の仕事を見学して、その知識を吸収して、設計家の道を歩み始めました。

遺作となった浜野ゴルフクラブが41コース目にあたり、同氏は1981(昭和56)年、72歳で逝去しました。

落ち着いた雰囲気のクラブハウスが出迎えてくれました!

浜野ゴルフクラブのクラブハウスは、コースとの調和を考慮して、設計されています。

その基調は、水です。前庭のパッティンググリーンを囲む池は、美しさとスタート前の心地よい緊張感を演出します。

クラブハウスの内部は、近代的な美しさと合理的な空間を展開します。

2階のダイニングからは、2つのスターティングホールと、2つの最終ホールのグリーンが広々と見渡せます。

トーナメント開催コースだけに、ドライビングレンジの距離は十分!

ドライビングレンジは、280ヤード・15打席です。ボールは、ロストボールですがコースボールです。比較的きれいな球で、すべて白でした。

また、アプローチ練習場はありますが、アプローチ用のグリーンは、ピンが立ててあるという程度でした。なお、バンカーの練習場のほうがしっかりしていました。

コース概要から見ていくと……雄大にして繊細さを兼ね備えたコース!

このコースは、不出世の名匠・井上誠一が設計した、ゴルフの醍醐味を実感させてくれる、妥協を許さない18ホールです。ここには、井上誠一のコース設計の想いが詰まっています。

ベントの2グリーンで、Aグリーン……A2、Bグリーン……ペンクロスです。

距離は、いずれもレギュラーティーで、Aグリーンはアウト3201ヤード、イン3107ヤード、トータル6398ヤードです。

一方、Bグリーンはアウト3209ヤード、イン3175ヤード、トータル6384ヤードで、ほとんど距離は変わりません。

女子の「パナソニックオープンレディーストーナメント」は、Aグリーンを使用しました。

コースの詳しい紹介の前に、トーナメントの状況を振り返っておきましょう!

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記念すべき第1回大会は、最終日2打差以内に9人が並ぶ大混戦の中スタートして、トータル−12で勝みなみと全美貞が並び、プレーオフとなりました。

パー5の18番で行われたプレーオフでは、勝みなみが1ホール目でバーディーを奪い、パーの全美貞を破って、令和初の初代女王に輝きました!

1日目:69、2日目:68、3日目:67のトータル204ストロークでした。雷雨で途中中断となり、決着がついたのは日没ギリギリ18時23分でした。

初日、鈴木愛が−7で飛び出し、2日目はイ ミニョンがトップに立ちましたが、最終日に66と67で回った2人がプレーオフに残りました。

なお、ベストスコアは鈴木愛、イ ミニョン両プロの65でした。

アウトコースから、スタートしました!

アウトは、インに比べて平均的なホールが多く、プロにとってはバーディーが取れるホールも少なくありません!

しかし、ここで、ボギー以上を叩くとダメージが大きく、またバーディーを取っておくことがバックナインに備えた戦略だと感じました。

アウトは、池が絡むことはなく、比較的素直なコースになっていますが、真っすぐなホールは少なく、ややドッグレッグするホールが多くなっています。

レギュラーティーからだと、距離もやや短めで、距離のプレッシャーはほとんどありません。

しかし、グリーンはやや砲台で手前の花道からはなかなか乗りません。グリーン手前のバンカーが効いていて、短くてもプレッシャーを与えます。

フェアウェイは真っすぐではなく、蛇行しているので、ラフに入れないティーショットが要求されます!

アウトで、女子プロの平均スコアが悪かったホール!

スタートの1番381ヤードのミドルホール(パー4)、7番385ヤードのミドルホール、9番164ヤードのショートホール(パー3)が、いずれも、対パーに対して+0.0037で並んで6番目になっています。

この3ホールは、アウトコースの他のホールに比べてバーディー数が少なく、特に9番のショートホールは3日間で28個しか出ていません。

一方で、アウトコースでもロングホール(パー5)の6番、8番は、ホールアベレージがそれぞれ17番目、16番目で、大量のバーディーが出ています。

従って、このロングホールでバーディーを取り、スコアを伸ばしたプロが、好スコアでホールアウトすることができたということでしょう!

実際にラウンドした感じでは……ロングホールはフェアウェイキープできれば、パーオンはさほど難しくはないでしょう。

1番ミドル、9番ショートは、いずれも花道狙いで曲げなければ、比較的パーが取れるホールです。

ただし、7番ミドルは、左ドッグレッグで距離もあり、やや難しい印象でした。