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プロゴルファー

こせきよういち

優勝よりもスロープレーがバズった?~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#111

先週の米ツアー競技「ジェネシス・オープン」を制したのはJ・B・ホームズ。

4打先行するジャスティン・トーマスを粘り強いプレーでとらえての逆転優勝でした。

しかし、このゲームでバズったのは、その劇的な勝利ではなく、彼のスロープレーについてでした。

ホームズはもともとプレーの遅い選手ですが、この日はラインの読みが難しいグリーンの上に、強風が吹き荒れる悪天候で、グリーン上ではいつも以上に時間をかけていたようです。

そのため、ネット上ではスロープレーのペナルティを求める声が多く聞かれることに。

規則上のリミットは40秒ですが

ファイナルラウンドのホームズには観戦するファンをイラつかせる場面が何度かありました。

なかでもスロープレーのペナルティを求める声が多かったのが、4番パー3のこのシーンです(上掲のツイッター動画)。

米ツアーでは、規則上、プレーヤーはストローク可能な状況になってから40秒以内にストロークを行わなければなりません。

ところが、このシーンは撮影開始からでもたっぷり70秒が経過しています。

時間もかけすぎですが、途中の仕切り直しがさらにイライラを募ります。

これでは悪評がバズって当然でしょう。

同組のスコットの存在が注目に拍車

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加えて、メディアが注目したのが、同じ組でプレーするアダム・スコットの存在でした。

というのも、スコットは大会前に米ゴルフメディアのインタビューに答え、次のような発言をしていたからです(下記リンク先参照)。

「先日、PGAツアーのトーナメント&競技部門のチーフ、アンディ・パツダーに進言したんだ。競技進行のスピードアップにつながるのなら、滅多に課せられることのない(スロープレーの)ペナルティを喜んで受ける、って。私はペナルティを引き受ける。あとは、あなたが執行すればこの(ペナルティ)制度は有効に機能する、って話したんだ」

スロープレーのペナルティですが、メジャー競技では2013年のマスターズでアマチュアのグァン・ティンラン、同全英オープンで松山英樹がそれぞれ課せられていますが、米ツアー競技では滅多に執行されません。

直近では2017年に、チーム戦の「チューリッヒクラシック」でミゲル・アンヘル・カルバリョとブライアン・キャンベルのペアに1罰打が課せられましたが、それは実に22年ぶりのことでした(1995年のホンダクラシック以来)。

そして、それ以降は執行されていません。

スコットは、このところのスロープレーの横行を見かねて上記発言を行ったのですが、直後に、その目の前でホームズのスロープレー。

皮肉な状況に、注目はより高まったのです。

米ツアーは今後?

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ホームズには長らく語り草になるであろうスロープレーの前科がありました。

昨年の「ファーマーズ・インシュランス・オープン」最終日のこと。

最終組でプレーするホームズは最終18番パー5の第2打、グリーンを狙った一打を放つまでにクラブを2度、3度と取り替え、なんと250秒(4分10秒)もの時間をかけたのです。

これには、ネット上はもちろん、ギャラリースタンドからもブーイングを浴びることになりました。

優勝のかかった大事な一打で、ツアー仲間には彼を擁護する選手もいましたが、SNS上には批判の声が溢れました(下記リンク先を参照)。

スロープレーはホームズだけの問題ではありませんが、1ラウンドに5時間かかることが珍しくなくなった状況にアダム・スコットはファン離れを心配したのでしょう。

ペナルティの執行を求める意見はゴルフメディア・ジャーナリストの間からも多く聞かれます。

さて、米ツアーは今後、スロープレーに厳しく対処することになるのでしょうか?

注目です。

おまけ――こんな抗議の行動も

最後に愉快な画像を一枚(上掲のツイッター画像)。

前記の「ジェネシス・オープン」と同じ週に開催された、下部ツアーのウェブドットコムツアー競技「レコム・サンコースト・クラシック」の最終日、16番パー5。

フェアウェイの真ん中で折りたたみ椅子を広げ、その上に腰掛けて前が開くのを待っているのはマット・エブリィです。

椅子は16番ティーに置いてあったものをキャディに運ばせたようです。

エブリィのこの行動も、スロープレーに対する暗黙の抗議であり、改善を要求する意思表示でしょう。

もちろんこれにも、彼を支持し、讃えるリプライが多数投稿されています。

ホームズのスロープレーと同じ日だったため、より大きな反響を呼んだようです。