ゴルフスイング
飛太郎
スイングに良いのはカカト体重?つま先体重?どっち?
こんにちは、飛太郎です。
ゴルフスイングでは「体重配分が重要」だとよく耳にします。
つま先体重・カカト体重っていう、アレですね。
スイングを人体生理学的に紐解けば、確かに適正な配分というものが存在することには納得がいきます。
しかしすべての人に同じ配分が当てはまるのか、と言えば決してそうではありませんよね。
今回はトレーナー的見地からそれぞれのメリットを、そして文末で体重配分にまつわるちょっと面白いお話をご紹介します。
つま先寄りの体重配分、そのメリットは?
さてまずは「つま先体重」のメリットについて、飛太郎的考察をします。
以前の記事でも軽く触れましたが、身内のプロゴルファーの方は「つま先6、カカト4」くらいの体重配分でスイングすると言います。
そうすることで得られると僕が考えるものは、以下の通りです。
1.前傾角度を維持しやすい。
2.高いトップポジションが取りやすい。
3.身体の前方に荷重が寄るため、いわゆる「身体が開くスイング」になりにくい。
4.大腿四頭筋(前太もも)及び、前脛骨筋(ぜんけいこつきん……前スネの部分)にテンションが掛かるため、足のバラつきが起きにくく膝も割れにくい。
大きくこの4つのメリットが働くことで、ショットの方向性が崩れにくいスイングを形成しやすくなります。
正しく修得できれば、なるほど、確かにプロゴルファーの彼が言うだけあって、方向性・再現性・安定性に優れた構えと言えるでしょう。
ただ4つ目のメリットで触れましたが、大腿四頭筋や前脛骨筋など、下半身前方にある筋肉群を要します。
つまり、身体の負担はある程度大きくなる、どちらかと言えばアスリート仕様の構えと呼べますね。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん……背骨周辺の筋肉)や大殿筋(だいでんきん……お尻の筋肉)も動員させる必要があるため、僕のように腰に故障個所を抱えている方にとっては、結構キツイ構えとも言えます(汗)。
肉体的負担が大きいという点をデメリットと呼ぶなら、デメリットになるでしょうか。
逆を言えば、ゴルフスイングにおける下半身強化のわかりやすい指標ともなり得るので、前傾角度やトップポジションでお悩みの方は一度この「つま先体重」を試し、下半身のエクササイズを取り入れてみると良いかも知れません。
ただし、このつま先体重というものは、実は我々日本人のDNAには少々馴染みの浅い構えなんです。
それはまた文末にてご紹介しますね。
カカト寄りの体重配分、そのメリットは?
では次に、カカト寄りに体重配分した場合のメリットについてです。
これはあくまでも僕の主観ですので、参考程度にお考えいただければ幸いです。
ただ、腰と背中というゴルフにおいて主軸とも呼べる部位に厄介な故障を抱えてしまってから、僕はつい最近までこの「カカト寄り」にシフトしていた経緯があります。
結果、驚くほど楽にスイングできるようになり、飛距離も僕の場合は大幅に増しています。
その要因は、以下に示すメリットによるものだととらえています。
1.つま先配分に比べて前傾姿勢は浅くなる(上体が起きる)ものの、脊柱起立筋や大腿四頭筋、前脛骨筋、大殿筋など筋肉のテンションが軽減される。
2.カカト寄りに荷重が寄ることで、自然な形で重心を安定させることができる。
3.ウエイトシフトを行う際の股関節への負荷も軽減できるため、ストレスなく上体を振ることに専念できる。
4.重心が安定することで、インパクトに体重を載せやすい。
など、とにかく身体的負荷の軽減が最大の恩恵・メリットと考えられます。
ただし!!
つま先寄り体重に比べて注意すべき点がいくつかあります。
先ほど触れましたように、まず前傾姿勢が浅くなること。
これは人体の構造上、当然のことと言えます。
前傾を深く保つためには、お尻を後方へやや突き出すような感じ、まさにスクワットの姿勢に近い身体の使い方をする必要があります。
その上でカカト寄りに体重を配分すると、よほどの筋力がない限りは後方へよろめいてしまう、不安定な状態となります。
ですので必然的に、前傾を深くするためにはつま先寄りに体重を配分してあげる必要性があるんですね。
次に、前傾が浅くなるということは「フトコロ」が狭くなるということ。
その狭さゆえの窮屈な振り抜き感に慣れるまでは、それ相応の練習と時間を要します。
また、前傾が浅くなることで従来よりもトップポジションも低くなったと錯覚しがちです。
が、トータルで見た時、地面からトップまでの高さはさほど変わらないことをぜひ覚えておいてください。
もしその錯覚に苛(さいな)まれると、腕で高くトップを作ろうとしてしまうため手打ちになり、せっかく後方へ配した体重の力を上手く活用できなくなります。
また、身体の後方へ体重を配するということは、必然的にスイングで身体が左へと開きやすくなるということ!
肉体的負荷は軽減されますが、これらの点に注意して、上手く使いこなしてあげなければ弾道はしばらくの間、不安定なものになるかも知れません。
僕の場合は、このカカト体重がバチっとハマりましたが、それは元々のスイングの性質によるものだと思います。
飛距離にお悩みの方、身体に故障をお持ちの方、加齢から身体の可動域減退にお悩みの方……。
つま先寄りかカカト寄りか、ほんの少し変えてあげることで、あなたのスイングをずいぶんと楽にしてくれますよ!
ぜひいろいろ試してみてくださいね。
日本人のDNAは「どっち寄り」?
さて最後に、僕ら日本人のDNAにまつわるちょっと興味深いお話をご紹介します。
一般的に、欧米人と日本人の違いは「骨格」と言われたりしますが、それだけではありません。
僕が言い始めたことじゃありませんが(笑)、日本人と欧米人の大きな違いは、一説には古くからの生活様式にあるとされています。
要は、我々日本人の多くは農耕民族であり、欧米人のルーツは狩猟民族だったことから、主に使用されてきた「筋肉」に違いがあるのだとか。
その生活様式がDNAとして、今日まで受け継がれているという説があります。
農耕と狩猟を比較した場合、行われる筋収縮運動は等尺性収縮か短縮性収縮か、あるいは使用される筋肉群は遅筋か速筋か、といった具合にあらゆる所に違いが生まれます。
トレーナーの間では結構有名なお話ですが、そういった長年の生活様式の違いから、我々日本人にはどちらかといえば「カカト体重」が身体に合っているのだとか。
もちろん純粋に体格のみを論ずる場合、近年では日本人の平均身長も伸びてきていることからも読み取れるように、欧米人と比較しても遜色のない方も増えてきているようです。
しかしなかなか長年根差してきたもの、いわばDNAレベルに刻まれた「文化・習慣」というものは、激変とまではいかないのも事実。
どちらが優れているというお話では決してなく、それぞれに合ったそれぞれのスタイルがあるということ。
そして、同じ日本人同士であってもやはり骨格や稼働を得意とする筋肉部位に違いはありますから、ぜひご自身に合った「配分」をつかみ取ってみてください。
どちらにも特徴があり、どちらにもメリット・デメリットはあります。
それらをどうぞご自身の「武器」となるよう、身体の声を聞いてカスタマイズしていただければと思います。
それではまた! 飛太郎でした。