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パターは適当に打て!?パットの名手が教える極意

最近はヘッドの形状の大きいネオマレット系と呼ばれるパターが流行りですが、その正反対なモデルといえば、ただ真っすぐなブレードだけのキャッシュインタイプがあります。

ヘッドが大きなパターのほうが慣性モーメントも大きく、ストロークに安定感が増す気がしますが、だからといって誰も彼もがネオマレットにしているわけではありません。

重過ぎるヘッドがテークバックの邪魔をすることもあります。

パターを次々と替えているプロも少なくありません。果たして、いま使っているパターは、あなたにとってベストなパターですか?

マキロイはマレットで勝ち、マレットでスランプ入り

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2016年9月、ツアー・チャンピオンシップを勝ったマキロイの手にあったのは、スコッティ・キャメロンのM1プロトタイプ、マレット型でした。

それまでナイキのピン型を使用していた彼は、マレットに替えて、この月に2勝を挙げることができたのです。

しかしその後はケガの影響もあり、勝利から遠ざかることになります。

彼はパターも替えていました。オデッセイやテーラーメイドのマレットで戦い、一時はあの真っ赤なネオマレット『スパイダー』もテストしていました。

しかし、彼は勝てませんでした。

マレット型はメカニカルなパッティングを強いられる

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私もマレット型のパターが好きで使っています。安定したパッティングができるのは、あのどっしりとしたカタチのおかげだ、と思い込んでしまうことにあります。

ところが、その安定感が強迫観念に変わると、とてもつらいパッティングを強いられます。

真っすぐに構えなければならない、真っすぐにテークバックしなければならない、真っすぐに打ち出さなければならないと、どこまでも『真っすぐ』がつきまとうのです。

機械的にパッティングしなければならない気がして、カラダの動きもぎこちなくなります。ちゃんと目標に向いているのか、ふと不安に襲われてしまうのです。

マキロイが同じ感覚に陥っているかどうかはわかりませんが、パターで悩んでいることを窺わせる発言は聞こえてきます。

パットの名手に多いL字型やピン型パター

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パッティングが上手い選手といえばタイガー・ウッズが思い浮かびます。

アマチュアの頃にピン・アンサー2を使用していたタイガーに、スコッティ・キャメロンがそれに似せて削り出したニューポート2で、勝利をたぐり寄せる華麗なパッティングを幾度となく決めてきました。

例えばブラッド・ファクソンはトウ寄りのバランスが強いピン型のパターを愛用していました。

ファクソンはPGAツアーで『327ホール連続で3パットなし』という記録を持つほどのパットの名手です。

日本では青木功のパターが有名です。

マレット型とその打ち方からはほど遠い、キャッシュイン型のパターをタップ式で打つ『感性のパッティング』は、あのジャック・ニクラウスが最高の技術と褒め称えたと言います。

マキロイ復活勝利をもたらしたパターとは?

さて、2016年秋以降勝てずにいたマキロイが、2018年3月のアーノルド・パーマー招待で、ついに大逆転勝利を収めました。

最終日のスコアは64、パットが入りまくる快進撃は、観ていて爽快でした。

そして、マキロイが手にしていたパターは、マレットではありませんでした。テーラーメイドのTPコレクション ブラック カッパー SOTO(ソト)、ショートスラントネックのピン型です。

マレットではないこのピン型パターに戻せた理由が、どうやら前出のブラッド・ファクソンによるアドバイスだったようです。

「考え過ぎずに自分の本能を信じて適当にパッティングしたらいい」

映像を観るとわかりますが、この試合でマキロイは、ややオープンスタンスに構えてパッティングしています。

パターをブレードタイプに戻して、『真っすぐ』立つことなく、感性で、本能で、カップへと打ち出している、ということのようです。

流行りを追わずに自分の感性と向き合ってパターを選ぶ

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ショートゲームが得意なジョーダン・スピースは、15歳のときから愛用しているというスコッティ・キャメロンの009を使用しています。

2017年にたった1週間だけネオマレット型を使用したものの、すぐさま元に戻しています。

そのスピースは、パットについてこんなことを言っています。

「カップを見ながら打つと、意識がその方向に集中する。ボールの打ち方など、技術的なことを考えないで済む」

技術的なことを考えないで打つ、ファクソンのいう「適当に打て」というのと似ていますね。

パターヘッドやボールを凝視するような、神経質なストロークはよくないのかもしれません。

マジックでボールに描いた直線と、パターのサイトラインの向きを合わせて、真っすぐ引いて真っすぐ打ち出す、そんなところに意識が向いてしまうと、体はスムーズさを欠いてしまいます。

もし今、マレット系のパターで36パットを切れないことが続いているなら、パターの性能に頼るパッティングから、一度離れてみるのもいいかもしれませんね。