ゴルフクラブ
ロマン派ゴルフ作家の篠原
新・貧打爆裂レポート『TEN S パター』『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』
今回の貧打爆裂レポートは、2021年3月19日に発売のオデッセイ『TEN S パター』と2021年3月26日発売の『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』です。
いつものようにコースに持ち込んで、ラウンドしました。新しいTENタイプのパターの秘密に迫ります! 動画も含めての試打レポートです。
2-BALLと新しいTENの融合は奇跡の良いところ取りパターを生んだ!
『TEN S パター』は、オデッセイが2021年3月19日に、『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』は2021年3月26日に発売するクラブです。
いわゆる蜘蛛型とか、スパイダーモデルと言われる形状のパターは、オデッセイでは2代目となります。
ラインアップなどを比較してみても、オデッセイがこの形状に使うTEN型を一般的な通称にしても良いのではないかと思ってしまうほど、今回の新しいパターは、たくさんの種類があり、他メーカーの蜘蛛型を圧倒しています。
トピックスとしては、『2-BALL パター』と『TEN パター』が融合した『2-BALL TEN シリーズ』の誕生です。
ネックや、サイトラインの種類で、7種類があります。
今回は全部乗せという感じで、トリプルトラックがプリントされている『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』を打たせてもらうことにしました。
もう1つは、新しい『TEN S パター』です。『TEN シリーズ』は5種類が出ます。使い慣れている形状ということで、ショートスラントネックにしました。
【試打クラブスペック】 『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』
ヘッド スチールステンレス/ABS
フェース マイクロヒンジ ★ インサート
シャフト STROKE LAB シャフト
ロフト 3.0度
長さ 34インチ(33インチもあり)
ライ角 70度
グリップ TEN Pistol グリップ
価格(税別) 3万8000円
【試打クラブスペック】 『TEN S パター』
ヘッド スチールステンレス/ABS
フェース マイクロヒンジ ★ インサート
シャフト STROKE LAB シャフト
ロフト 3.0度
長さ 34インチ(33インチもあり)
ライ角 70度
グリップ TEN Pistol グリップ
価格(税別) 3万8000円
『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』のコピーは、“すべてのテクノロジーを1本に集約した、オデッセイのドリームモデルが誕生”です。
ドリームモデル、良いですね。言い得て妙です。
『TEN S パター』のコピーは、“多くのプロも愛用する人気のヘッドが進化したフォルムで新シリーズに”です。
本当に進化しました。ぱっと見でもわかるほどの大きな変化です。
ヘッドの中央の左右にポッカリと空いていたウインドウがなくなったのです。形は残っていますが、蓋をしたようになっています。
また、後方左右に飛び出るように突き出していたウィングをサイトラインに合わせるようにストレートに見えるように配置したのです。外周の凸凹が少なくなりました。
この2つは、TEN型の特徴的な形状でしたが、なくなったことで、構えやすくなり、ストロークもしやすくなったように感じたのです。驚きです。
それ以外の部分は基本的には変わりがありません。
『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』のほうは、新しくなったTEN型のパターの上部に2-BALLの形状を配置したのです。
トリプルトラックの3本線が加わることで、全部乗せの完成です。
これがオデッセイのドリームパターという洒落で終わりではないのです。実際にストロークしてみると、良い感じなのです。
テークバックしやすく、慣性モーメントの大きさが、やさしさにつながることをすぐに実感できます。
『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』は、机上の理論で終わってしまうはずの良いところ取りを見事に成功させたパターです。コースに出る前の段階で、感心してしまいました。
蜘蛛型パターの完成形を進化させ続けるオデッセイの力に感動!
動画を見てください。
『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』と『TEN S パター』を両方打って、すぐにわかったことがあります。
パターの良さは、構えで決まると言う人がいますが、共通しているのは、どちらのパターも、アドレスの安定感が良いのです。ピタッと構えられるというテストは、合格です。
『TEN S パター』は、2つのウインドウがなくなり、左右の後方がストレートになったことが、ちょっと信じられないほど影響します。テークバックがしやすくなりました。視覚的な影響なのか、物理的な影響なのかはわからないのですが、ストレートに引きやすくなったことは間違いありません。
ロングパットになると、変に飛び過ぎないような安定感があります。表現が難しいのですが、人によっては、転がらない、と感じる人もいると思いますが、飛び過ぎないやさしさがあるのです。
ロングパットになるとパンチが入ってしまうというゴルファーには、『TEN S パター』をオススメします。
裏を返すと、鈍感な部分が、ロングパットの距離感を向上させることがあるのです。
ショートパットでは弾き感が強くなります。
打音は大きくはありませんが、しっかりとした音量で、美しい高音質です。最近のやわらかいボールにタッチに合わせるには、こういう味付けというか、打音が合っているだと思われます。
『TEN S パター』は、ショートパットはしっかりとした感覚で打てて、ロングパットは包み込むような感覚で打てるパターです。
『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』は、何度も書きますが、全部乗せです。
目立つので、練習グリーンで打っていたら「それはホンモノですか?」と見知らぬ人に聞かれました。
発売前ですので、「見たことがない目立つパターだなぁ」と思われたのと、5ヤードぐらいのパットをいろいろな方向からスコンスコン入れまくっていたので、興味が湧いたのだと思います。
告白すると、個人的には『2-BALL パター』が合わなくて、好きではありません。だから、生涯でも一度も使ったことがありません。
その僕が、『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』では、すこぶる結果が出て、好感触でした。数ホールで苦手意識が消えて、パットするのが楽しくなったのです。
『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』は、『2-BALL』よりも『TEN』らしさが勝っています。
『2-BALL パター』は、オデッセイが誇る名器で、今でもファンがたくさんいます。
だからこそ、新しい『2-BALL TEN パター』には、違和感を感じてしまう人もいると想像します。
そこで打つのをやめてしまうのは、もったいないです。絶対に手に取って、打ってみてほしいのです。
良いところ取りの全部乗せというドリームを感じ取れるはずです。
打感は『TEN S パター』と同じです。ストロークが安定するのも、同じです。『TEN』の特徴は、丸々持っているのです。
芯に当ててパットをしたいと願っているゴルファーに『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』はオススメです。『2-BALL パター』のファンにもオススメです。
機能的に、ヘッドの後方が重い特徴があるので、今までの『2-BALL』が駄目だと思っていたゴルファーにも打ってほしいパターです。慣性モーメントが大きいことが、プラスに働くゴルファーには、数発打っただけで、はっきりとわかるはずです。
『TEN S パター』と『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』は、ロングパットがオーバーしてしまうクセがあるゴルファーにオススメします。ロングパットをしっかりしたタッチで打っても、転がり過ぎない機能を使えるからです。
『TEN S パター』と『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』で、共通して良いと思った部分を最後にもう1つ紹介します。
明確なブレード感です。
ピン型やL字やT字などの小さなヘッドのパターのことをひっくるめて、ブレード型と呼ぶようになったのは最近のことですが、フェースの動きがパターの動きと直結するような感覚を感じられるのが、ブレード型の特徴の1つです。
共通して、フェースの位置と向きを感じられるのです。
マレット型のパターの場合、それは不要なものなのかもしれませんが、個人的にはパターにブレード感がなくなったら終わりだと思っているので、とても気持ちが良いものでした。
『TEN S パター』も、『2-BALL TEN S トリプルトラック パター』も、見事なパターです。
最先端と伝統を妥協することなく、上手く合わせたパターです。
好き嫌いはあると思いますが、少しでも興味があったら試してみるべきです。本当に良いパターは、結果を出すことで、その存在を主張するものだからです。
オデッセイというパターメーカーがある時代に、ゴルフをしていたことに感謝しながら試打ラウンドをしたのでした。