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ゴルフスイング

おっ3

小柄でも飛ばせるゴルファーの共通点はどこにある?

2019シーズンの平均飛距離、249.60ヤードで堂々のベスト10入り!(9位)身長157センチの勝みなみは、押しも押されぬ『飛ばし屋』です。

一方、身長170センチで体重65キロのささきしょうこは、同じく2019シーズンの平均飛距離223.37ヤードです。

計測した97人中で96位と、ささきしょうこは大柄(レディーに失礼ですが)ではありますが飛距離は出ません。

小柄でも飛ばせる秘訣、大きくても飛ばない(飛ばさない)理由はどこにあるのでしょうか?

小柄な飛ばし屋!カート・北山

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身長170センチ体重77キロのカート・北山は、アメリカ人の父と和歌山県出身の母との間に生まれた日系二世です。

身長170センチという体格は、大男揃いのPGAツアーにあっては、とても小柄です。しかし、その飛距離たるや、平均で315.1ヤードと堂々4位の飛ばし屋です(トラベラーズ選手権終了時点)。

『おっ3』の拙い英語力で本人のブログを覗いて見ました。自己申告によると、ヘッドスピードは54メートル/秒のようです。

このヘッドスピードで平均315ヤードを叩き出すのですから、『効率』としては我々アマチュアが参考にするべきものがあるように思います。

173センチ66キロで平均飛距離300.3ヤード!

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タイ出身のジャズ・ジェーンワタナノンドは、173センチ66キロと一般的なアジア人男性の体型と言ってもいいと思います。

しかし、平均飛距離300.3ヤードと『飛ばし屋』であるのに加えて、フェアウェイキープ率も66.45%を誇り、トータルドライビングでは堂々の5位タイとなっています(トラベラーズ選手権終了時点)。

まさに『飛んで曲がらない!』を代表するようなトッププロです。

昨年のゴルフ日本シリーズJTカップの際は体調不良のために苦しんだと関係者から聞きましたが、体格やパワーに頼らないスイングは参考になると思います。

小柄でも飛ぶプロの特徴とは?

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ローリー・マキロイも、175センチ73キロと、PGAツアーの中では小柄な部類に入ると思います。しかし、あの上半身の盛り上がった筋肉を見ていると、参考にするためには相当な筋力トレーニングが前提となると思うので、今回は割愛します。

我々アマチュアが取り入れられるポイントを見出して行きましょう。

今回注目の勝みなみ、カート・北山、ジャズ・ジェーンワタナノンドに共通する部分を次の段落では分析してみようと思います。

シャットフェース!

勝みなみのスロー動画をご覧いただくと良くおわかりいただけると思いますが、バックスイングから一貫してフェースはクローズのままで管理されています。

バックスイング開始直後、クラブヘッドが動き始めてからシャフトが地面と平行になるハーフウェイまでの間、まるでクラブフェースがボールを見ているかのように動いています。

不動の右膝、右股関節でしっかりと上体の重みを受け止めながらトップに向かっています。

特徴的なのは、切り返し直後に左手のひら側に手首が屈曲してさらにフェースを閉じる動きです。このまま体を回転させてハンドファーストなインパクトを迎えます。

この動きは、カート北山やジャズ・ジェーンワタナノンドにも共通しています。

強烈な左足の踏み込み!

ジャズ・ジェーンワタナノンドの切り返し直後からの強烈な左足の踏み込みに注目しましょう。

インパクト直後には踏み込んだ反動でジャンプするような形になっています。この動きもカート・北山、勝みなみに共通しています。

ちょっと意外かもしれませんが『韓国の虎さん』こと、チェ・ホソンもタイミングと踏み込み後の処理は違っても、やはり強烈に左足を踏み込んで飛距離を出しています。

この強烈な左足の踏み込みと、その反動によるジャンプするような動作は、タイミングを間違うとブレにつながります。

しかし、今回注目のプロはそれぞれの方法でブレを防いでいます。

勝みなみは、不動の右膝。カート・北山は、強い体幹。ジャズ・ジェーンワタナノンドは、ダウンで体側に沿う右ひじと右サイドの屈曲です。

いずれの動作も、小柄なほうがブレを最小限にしやすい特徴があると思います。

大柄でも飛距離が出ない(出さない)

ささきしょうこのスイング動画からは、ボールを置きに行くような感じはなく、しっかりと振り切っているように見えます。

しかし、分解してみるとこのスイングが現代風の飛距離を求めるスイングではないことがわかります。

ささきしょうこは、飛距離は出ないにも関わらず「得意クラブはドライバー!」と言い切っています。

彼女にとってドライバーは、『キャディバッグに入っているクラブの中では一番飛ぶクラブ』というだけで、狙ったポイントにボールをコントロールするクラブなのでしょう。

そのため、飛ぶスイングではなく曲がりにくいスイングを選択しているのだと思います。

曲げないことを重視する!

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前出の小柄なプロとは違い、ささきしょうこには強烈な踏み込みの反動による動作はなく、左ひざは適度に曲がったままで静かにスイングしています。

腕の動きを見てもアームローテーションを抑えた動きで曲がる要素を排除しています。

長い手足を持つ大柄なゴルファーが強く踏み込んだり、アームローテーションを使うと曲がる危険が高まります。ささきしょうこはそれを排除したいのでしょう。

そんなささきしょうこは、昨シーズンは賞金ランク88位とシードを逃してしまいました。ツアー3勝しているとはいえ、勝みなみとは平均で25ヤード以上の飛距離の差があるので、プロとして活躍するためには、もう少し飛距離が欲しいところかもしれません。

しかし、我々アマチュアにはその考え方と曲がらないスイングは大いに参考になります。

大柄でも飛ばないことに嘆くよりも、曲がらない強みを身に着けるほうがゴルフはより楽しいものになると思います。

『小柄な飛ばし屋』を目指すも良し! 『大柄で正確なショットメーカー』を目指すも良し! と思います。