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ゴルフスイング

風と草の大地

ドライバーにおける打ち出し角とバックスピンの関係をシミュレーション!

もはやゴルファーなら誰でも聞いたことがある飛ばしの3大要素【ボール初速・打ち出し角・バックスピン量】。

ちょっと計測器を使ったことのある人であれば、自分のボール初速くらいなら把握しているかもしれません。

しかしそのボール初速に対する適正な打ち出し角とバックスピンは把握できてますか?

人によっては「飛距離は最終的にはバックスピンで決まる」という人もいますが本当にそうでしょうか?

最適な打ち出し角とバックスピンを両方手に入れるのが理想ですが、実際は練習に割ける時間等の関係でなかなか難しいと思います。

ケース別に飛距離を伸ばす数値を追ってみましょう。

一般的に認知されている適正値とは?

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まずは、一般的に広く認知されている適正な打ち出し角とバックスピンの数値はどれくらいか確認してみましょう。

大体、打ち出し角が13~15度、バックスピンが2000~2500回転くらいでしょうか?

多少の前後はあると思いますが、大多数の方がこの範囲内の数値を適正値と認識していると思います。

高弾道低スピンの数値を明確化したテーラーメイド

時は2013年(SLDRが発表になった時)、テーラーメイド提唱したのが「17/1700」。打ち出し角17度でバックスピン1700回転が理想であるというもの。

しかしなかなか広まらず、結局先述の13~15度、2000~2500回転の数値が現在でも理想とされているようです。

実際理想とされる数値でシミュレーションしてみる

弾道測定器メーカーであるフライトスコープのページでは、全英語ですが簡易的なシミュレーションができます(※2023年4月現在、画面の仕様等に変更があります)。

簡易と言っても、ボール初速、バックスピン、打ち出し角、左右打ち出し角、スピン軸、標高、地面の硬さを自由自在に設定できるのでかなり優れもの。

おおよそ一般的であるヘッドスピード40メートル/秒(以下m/s)でナイスショットの数値であるボール初速60m/sで計算します(この条件でミート率1.5です)。

※海外サイトである関係上表示が「マイル/時(mph)」ですので先に補足します。

1m/s=2.23694mphなので今回のシミュレーションではボール初速が「134mph」となります。

また、スピン軸、左右打ち出し角、標高は今回は除外したいため0とします。

一般的適正の中間値、打ち出し角14度バックスピン2300回転の結果は?

キャリーが208.7ヤード、トータル飛距離で218.9ヤードでした。

よく「ヘッドスピード×6の数値が理想的な飛距離だ」と聞くのですが、このシミュレーションからは結構無理のある数値ですね。

ヘッドスピード×5.5くらいの数値が理想なイメージですね。

結構当てはまる人もいる数値かと思います。とりあえず基準の数値としましょう。

同じボール初速でも飛距離をロスしてる人はどんな数値?

飛距離をロスしているモデルとするイメージは、ドライバーもアイアンのようにダウンブローに打ち込みバックスピンも多い人。

今回は打ち出し角7度、バックスピン3500回転でシミュレーションします。

結果はキャリーが188.7ヤード、トータル飛距離が200.1ヤード。

なんと先ほどの一般的理想値に比べてキャリー、トータルともに20ヤードほどロスしているんです。

このモデルさんが打ち出しを高くしたらどうなるか?

ちょっと無理があるかもしれませんが、先のモデルさんが徹底的に高打ち出しの練習だけをしたと仮定しましょう。

練習の甲斐あってか15度の打ち出し角度をゲットした場合の飛距離がコレ(バックスピンは3500回転のまま)。

キャリーが205.7ヤード、トータル飛距離が210.6ヤード

意外と打ち出し角を改善しただけでも、シミュレーション上では理想値に結構近づきました。

逆に徹底的にスピンを減らすクラブに買い替えたと仮定しましょう

モデルさん、バックスピンが多く意を決しバックスピンが少なくなるクラブに買い替えました(打ち出し角7度、バックスピン2000回転)。

結果はこうなります。

キャリー175.8ヤード、トータル飛距離202.9ヤード

最も飛距離をロスしている時に比べるとトータル飛距離がちょっとだけ伸びてますが、キャリーが175.8ヤードと極端に落ちてます。

これが一般的に「ドロップしてキャリーが足りていない」状態と見ていただければと思います。

2種類のケースを見てみましたが実際どうでしょう?

飛距離は最終的にはバックスピンで決まるとも言われることもありますが、打ち出し角が低い人はそこを改善するだけでも結構飛距離アップが望めるかもしれません。

しっかり振れる人のシミュレーションもしてみましょう

仲間内では一番飛ばすと言われるレベルのヘッドスピード48m/s、ボール初速72m/s(161mph)、打ち出し角13度でシミュレーションします。

キャリー263.6ヤード、トータル飛距離271.7ヤード

いやはや立派な数値です。

さっきと同じモデルさんに登場してもらいます

さっきのモデルと同じで、ダウンブローで打ち出しが低く、バックスピン過多だとこんな数値になります(打ち出し角7度、バックスピン3500回転)。

キャリー246.6ヤード、トータル飛距離253.6ヤード

やっぱりキャリー、トータルともに20ヤード近くロスする計算になりますね。

打ち出し角を上げてみました

バックスピンを3500回転のままで、打ち出し角を15度にしてみます。さっきもこれだけで結構伸びたんだから一緒でしょ?

ところがそうでもないんです。キャリー254.1ヤード、トータル飛距離257.6ヤードとほとんど変わっていないと言ってもいいでしょう!

キャリーが少し伸びましたがランがほとんどないのがわかります。吹け上がって飛距離をロスしている状態です。

バックスピンを減らすと?

バックスピンを2000回転に減らしてみました(打ち出し角は7度)。

キャリー243.7ヤード、トータル飛距離が261.2ヤード

低打ち出し、スピン過多の時のキャリーとほとんど差がないのにランが結構稼げて飛距離を得てます。

この弾道は低く伸びていく球なので、実際に見るとかなりカッコいい弾道です。

ヘッドスピードが40m/sくらいの人に比べて、打ち出し角とバックスピンによる飛距離の因果関係はいかがでしょうか?

ヘッドスピード40m/sの人は、バックスピンがある程度多くても打ち出し角を確保すれば飛距離が得られますが、ヘッドスピードが速いとそうもいきません。

最初に述べた「飛距離は最終的にはバックスピンで決まる」というのは、ヘッドスピードが速い人には少し当てはまりそうですね。

お待ちかね17/1700でシミュレーションしましょう

まずはヘッドスピード40m/sの17/1700。

キャリー215.2ヤード、トータル飛距離226.2ヤードになりました。

一般的な適正値で打ったデータが、キャリー208.7ヤード、トータル飛距離218.9ヤードだったので、キャリー、トータル飛距離ともしっかり伸びてます。

ヘッドスピード48m/sでも17/1700

キャリー271.9ヤード、トータル飛距離279.9ヤードになりました。

一般的適正値でのデータが、キャリー263.6ヤード、トータル飛距離271.7ヤードだったので、こちらもしっかり飛距離が伸びています。

それぞれが目指す適正値とは?

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シミュレーション上での結果ですが、テーラーメイドが提唱した「17/1700」が結果的に最も飛距離を伸ばせる数値になりました!

しかし、これはあくまでもシミュレーションなので絶対的な「正解」と言うつもりはありません。

それでもヘッドスピードの違いによって打ち出しを適正にするか、バックスピンを適正にするか指針ができると思います。

ヘッドスピードが40m/s前後の人は打ち出し角の確保(13~15度以上)、ヘッドスピードが50m/sに届くような人はバックスピンの軽減(2500回転以下)。

このあたりの数値を目指すとさらなる飛距離が手に入るかもしれません。

まずは自分のショットのデータを知ろう!

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最近大手量販店やドライビングレンジでも高性能弾道測定器(トラックマン、GC4、GC2、スカイトラック等)が設置してある場所も増えてきています。

クラブフィッティングや練習だけでなく、自分のショットデータを分析してさらなる飛距離を目指しましょう!