ゴルフスイング
Nick Jagger
パッティングではどこを見るべきなのでしょう?
どっしりと下半身を固め、土台をしっかりさせたら、アドレスはOK。
手を使わず、肩でストロークすることもできた……。
それなのに、パターヘッドが自然な軌道から外れることがあります。
この原因は、あなたの目にあるのです。これは、ある意味最も厄介な邪魔者かもしれません。
カップを見てしまうから、ヘッドの軌道が狂う
目が邪魔をするケースで最も多いのは、インパクトの瞬間にカップを見てしまうというものです。
特にショートパット、距離が短くなるほど「入れて当たり前」、「だけど、やっぱり不安」という気持ちから、ついカップを見てしまうアマチュアゴルファーは実に多いのです。
カップを見れば、左肩が上がってしまったり、上半身が起き上がったりします。そうなると、パターヘッドは右に出ます。
その結果、ボールは右に押し出してしまいます。
このミスは、特に短いスライスラインの時に多く見られる傾向があります。
距離の短いスライスラインというのは、視野の左上隅にカップが見えています。
そのために、このカップを見ようとしますと、どうしてもパターヘッドを右に押し出してしまうというわけです。
これがフックラインになりますと、カップは視野の左下隅にありますので、このカップを見ようとすれば、それにつられて右肩が前に出て、引っ掛けてしまうというわけです。
フックラインのケースでは、カップが視野の外にあることもあって、そうなると、ますますボールの行方が気になってしまいますから、左を向いてしまうことも多いのです。
このように、人間の目というものは、目の向く方向に体が向かうようにできているのです。
体が向かってしまえば、肩も同じ方向に向かい、それに合わせるように腕も、そしてパターヘッドも同じ方向に向かってしまうのです。
パターの目印を目で追わない
まあ、カップを見てしまうのは人間の本能かもしれませんので、当たり前といえば当たり前の話で、バスケットボールプレーヤーのノールックパスみたいに右を見ながら左にパスをするなんて芸当は、普通の人間にはできません。
目が犯してしまう罪は、これだけではありません。
ここ十数年、オデッセイの「2ボール」やテーラーメイドの「スパイダー」といったパターが、プロアマを問わず、人気を博しています。
これらのモデルは、「真っすぐ引いて、真っすぐ打ち出せる」という特徴を売りにした慣性モーメントの高いパターです。
多くの皆さんも、そうしたパターを愛用していると思いますが、このタイプのパターというのは、パターフェースの芯でヒットしやすいように、パターヘッドの真ん中にラインなどが引いてあったり、パターヘッドの芯がイメージしやすい形状だったりするものが多いかと思います。
ところがです、この真ん中を意識させる目印や形状が、曲者なのです。
目印があったり、ヘッドの形状が特徴的だったりしますと、どうしてもそれらを目で追いたくなってしまうのが、人間の習性なのです。
特に、このタイプのパターを使っているゴルファーは、真っすぐパターヘッドを引くということを意識している人が多いでしょうから、なおのことバックストロークでのパターヘッドの行方が気になってしまうのです。
そこに、目で追うにはおあつらえ向きの目印があるものですから、バックストロークでいよいよパターヘッドを目で追ってしまうというわけです。
ボールはぼんやり見るくらいでちょうどいい
バックストロークを行う時に、目でパターヘッドを追ってしまえば、どうしたってストロークの軌道は狂ってしまいます。
軌道が狂っていることを自分の目で見てしまえば、「あっ、ヤバい。真っすぐパターヘッドが引けていないぞ」となってしまい、ストロークを修正させようとしてしまいますから、今度はダウンストロークが乱れてしまうということになります。
仮に、バックストロークの軌道が正しく真っすぐ引けたとしても、目でパターヘッドを追ってしまえば、ボールをヒットしたインパクト後もまたパターヘッドを目で追ってしまいます。
そうなってしまいますと、冒頭で紹介したようなミスが起こりやすくなってしまいます。
とにかく、目はこれからヒットするボールだけを見ていることです。
使っているパターというのは、オートマティックに真っすぐ引けるように設計されているのですから、心配は無用なのです。
ただし、ボールだけを見るとはいっても、過度な「目力」はまったく必要ありません。
カッと目を見開いたり、ボールを凝視してしまいますと、それだけで上半身、特に肩や腕に無駄な力が入ってしまうのです。
ドライバーショットやアイアンショットなど、すべてのショットに言えることですが、ボールというのは、ぼんやり見るくらいでちょうどいいのです。
ぼんやり見ていることで、ボールをヒットしたインパクト後もボールのあった場所を見続けていられるのです。
ということで、結果的にはヘッドアップをしないのですから、カップインの確率もグンと高まるはずです。