ゴルフスイング
Nick Jagger
上級者に突然「引っ掛け」が出るのはなぜでしょう?
スライスボールを卒業すると、今度はフックボールに悩まされます。
これはゴルフのレベルが上がるにつれて、ほとんどのゴルファーがたどる道です。
同じ左に曲がるボールでも、ターゲットよりもわずかに右に出て、落ち際に少し左に切れる品の良いドローボールならいいのですが、これが真っすぐ飛び出し、10ヤード以上左に曲がると、それはフックボールなのです。
目次
フックの原因は基本的にスライスの反対
フックボールでもフェアウェイの幅を上手く使えれば、ランも出ますし、飛距離も伸びますけど、少しでも曲がりが多いと、左のラフや左サイドのOBゾーンまで転がってしまいます。
これが左に出て、途中からさらに左に曲がるいわゆるダッグフック(チーピン)になってしまうと、OBも含めてまずトラブルショットになってしまうことは確実です。
とにかく、左に曲がるボールは危険がいっぱいなのです。
フックボールの原因は、基本的にはスライスボールの原因の反対を考えればいいでしょう。
つまり、インパクトの瞬間、クラブフェースが閉じているか、スイング軌道がインサイドアウトになっているということです。
前者の場合、原因はバックスイングにあることが多いです。
スイングを始動して、クラブヘッドが腰の高さにくるまで、クラブフェースの向きをシャット気味にキープすることはいいのですが、そこからトップまでは右ひじを畳みながら、クラブフェースは自然に少しずつ開いていくべきです。
ところが、クラブフェースをできるだけターゲットの方向に向けておこうと意識してしまうと、右ひじが上手く畳めず、トップでもフェースはクローズになってしまいます。
その状態からダウンスイングに入れば、フェースは閉じたままボールをヒットしてしまうので、フックボールが出てしまうというわけです。
フェースローテーションは意識せずに自然に行う
反対に、ボールをつかまえようとして、クラブフェースの向きをあえてオープンにセットし、インパクトの瞬間にリストを返すことで、ドローボールを打とうとしているゴルファーもいます。
しかし、このスイングではインパクトでフェースがスクエアに戻るのは一瞬しかなく、少しでもタイミングが狂ってしまえば、ボールはフックもすればスライスもしてしまいます。
フェースローテーションは、意識してリストを返すのではなく、体の回転と同調して自然に行われるべきものなのです。
そのためには、やはりクラブフェースはスクエアにセットして、常に左手甲とフェースの向きが同じであるようスイングするべきなのです。
アマチュアの実に8割が右を向いて構えている
もう1つ、アドレスで右を向いていることが原因で、フックボールが出てしまうというケースもあります。
一説によると、アマチュアゴルファーの実に8割の人がターゲットよりも右を向いていると言います。
本人はそうとは知らずに、ターゲット方向にボールを飛ばそうとすれば、左に引っ張り込むような打ち方をするしかありません。
この打ち方で最も多いのが、右肩をターゲット方向に突っ込むというものです。
そうなると、両肩を結んだラインはターゲットの左を向きますから、クラブヘッドは外から下りてきます。
つまり、アウトサイドインの軌道になるわけですが、当人は左に引っ張ろうとしていますから、ボールはそのまま左に飛び出しスライスせずに、さらに左に切れていってしまうのです。
インテンショナルフックを打つ時は、確かにクローズドスタンスに構えますが、真っすぐ打ちたいのにアドレスで右を向いていては、ボールは想定以上にフックして当然なのです。
プロでも大事な場面で引っ掛けてしまう理由
プロゴルファーやシングルハンデのゴルファーでも、ここ一番という大事な場面でフックボールが出てOBなんてシーンをしばしば見ることがあります
こうしたフックボールは「引っ掛け」と呼ばれますが、前述のようなアドレスやスイング軌道が原因というケースは少ないのです。
多いのは「体が止まった」というものです。
ゴルフのスイングというのは、テークバックからフィニッシュまで、体、特に下半身は回転し続けていなければなりません。ところが、インパクトの瞬間に、一瞬でも体が止まってしまうと、クラブヘッドが早く返ってしまい、フックボールが出てしまうのです。
もちろん、現実には体が止まってしまうわけではありません。
ただ、いつものスイングよりも体の回転が遅くなってしまいますと、インパクトの瞬間、右手が左手の上にかぶさるような形になってしまい、クラブヘッドが返ってしまうのです。
つまり、こうして出る引っ掛けボールも、手打ちによるミスであることがおわかりでしょう。
突然の引っ掛け防止はリラックスすること
では、どうしてプロやシングルハンデのゴルファーなどゴルフ巧者たちであっても、こうしたミスをやらかしてしまうのでしょうか?
それは、狭いホールでのティーショットや優勝がかかった大事な1打など、ここ一番という場面になると、いつも以上に真っすぐ飛ばしたいという意識が強く働くからです。
慎重にラインを出したい、そのような気持ちが強く出てしまうほど、どうしても体が止まりやすくなってしまうのです。
このようなミスをしないためには、狭いホールであろうとも、勝負のかかった大事な1打であろうとも、「だからこそいつも通りの自分のスイングに徹しよう」という意識が大切なのです。
いつも通りのスイングとは、テークバックでしっかり肩を回すこと。ダウンスイングで右手に余計な力を入れないこと。スムーズに体を回転させること。
突然の引っ掛けを防止するには、結局のところ、何よりリラックスすることが一番大切なのです。
まだ、スライスボールに悩んでいるビギナーの皆さん、次に待っているのはフックボールですよ。