ゴルフスイング
Taddy Bear
メーカーにも聞いてみた!冬場はボールを温めたほうが飛ぶって本当?
冬場は確かに飛距離が落ちます。
その理由としては、空気密度が濃くなって空気抵抗が増えること、厚着になるのでヘッドスピードが落ちることが上げられます。
そしてもうひとつ、ボールが低温度のため硬くなって反発性能が落ちる、という理由。
だから冬場はボールを温めたほうが飛距離は伸びるといったアドバイスが定説のように語られています。
でも、本当にボールを温めると飛距離が伸びるのでしょうか?
ボールを温めるのはルール違反
最初にルールの説明から。
規則4-2aには「故意に性能を変えた球をプレーしてはならない」と明記してあります。
したがってボールを温め、それによって飛距離が伸びた場合は明らかに性能を変えたことになるのでルール違反、公式競技の場合は失格処分となります。
では、性能が変わるかどうか分からないけれど、とりあえず温めてみるといった場合はどうなるでしょうか?
じつはこれもルール違反となる場合があります。
規則4-2aに「(2)故意に性能を変えた球をプレーしてはならない。」とあり、その中で、温めたボールでストロークすることを禁止しており、これもまた競技失格の罰則を受けます。
寒い冬、使い切りカイロでボールを包んで温めている人を見かけますが、使い切りカイロはもちろんのこと、手を温めるハンドウォーマーの中にボールを入れておくことも違反対象。
ただし、ラウンド前に温めておいたり、予備のボールをポケットに入れておくことに関しては問題ありません。
インプレーではボールの交換ができない!
でも、どれほどラウンド前に温めようとポケットに入れておこうと、ティーの上にボールを置いて準備している間にボールはすっかり外気温で冷めてしまいますよね。
インプレー(ティーイングエリアから第1打のストロークを終えた状態)ではボールがプレーに影響を及ぼす状態でない限りホールアウトまで交換することができません。
たとえポケットで温めているボールがあったとしても、そのボールは次のホールまで使えず、第2打以降はすっかり冷え切ったままのボールを打つことになります(救済措置を受ける場合は無罰で交換可)。
ルールに則っている限りプレー中に温かいボールを使い続けるのは、ほぼ不可能。
仮に、ボールを熱く温めたことによって飛距離が伸びるとしても、それはドライバーのスイートスポットにきちんと当たった時の話。
「温まっているうちに早く打とう!」なんて考えれば、スイングリズムが崩れるのは必至ですね。
各メーカーの最新技術が投入されているゴルフボール
もちろん規則は遵守すべきですが、非公式で仲の良い友人同士の場合、公平性を保てる範囲内で全員が同意すれば解釈の範囲を広げても問題ないでしょう。
ボールを温める件に関しても事前に同伴者全員が共通認識を持てば、その組、そのラウンドに限り可能になります。
では、同伴者全員の了解を得た、という前提で改めて「温めたボールは飛ぶのか?」というテーマに移りましょう。
各メーカーに電話をしてこのテーマの質問をしたところ、すべてのメーカーの答えが「ボールを温めることはルール違反になります」でした。
当然ですね。
次に「同一ボールで冬場と夏場で飛距離は変わるか?」と質問しましたが、各メーカーとも「ほとんど変わらない」という回答。
確かに糸巻きボールの時代は糸ゴムを多く使用していたので温める分、反発性能は若干伸びる可能性がありました。
しかし最近のボールは各メーカーとも最新の素材と技術で作られており、「内軟外硬」の構造が主流で、気温による影響はほとんど見られません。
たとえ仲間内のゲームであっても、飛距離を伸ばすためにボールを温めるというのは無駄な労力と思ったほうが賢明です。
寒い冬だからボールを選ぶ
冬場、飛距離を伸ばそうとするならボールを温めるよりも他の効果的な方法を選択しましょう。
空気密度による抵抗に逆らうことはできませんが、冬場は芝が弱いのでフェアウェイだけでなくラフでも転がります。
キャリーが落ちる分、ランが伸びるので低い球筋を打つようにすればドライビングディスタンスは夏場と変わらない結果を出すことができます。
厚着によるヘッドスピードの低下は最新のウォームアップウェアを着用することで若干の改善が望めますし、使っているボールをヘッドスピードに合わせて変えるというのも方法のひとつ。
たとえばブリヂストンの『TOUR B』を例に取ると、「X」はプロも使用するモデルでフィーリングはかなりしっかりとしており、ヘッドスピードは概ね45メートル/秒以上が推奨とされています。
しかし「XS」、「JGR」はともに「X」よりも軟らかい設計で、とくに「JGR」はヘッドスピード40メートル/秒が推奨となっています。
「ファイズ」や「エクストラソフト」などの軟らかいボールもあり、ブリヂストンに限らず各メーカーとも硬軟のボールを揃えています。
冬用ボールとしていろいろ試し打ちをして、自分に最適なボールを見つけるというのも冬場のプレーを楽しくする要素になりますね。
わずかばかりの可能性でボールを温めよう、なんて考えるよりも練習を重ねてスイートスポットに当てる確率を高めたほうが、平均的な飛距離は確実に伸びますよ。