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「自分の一番の夢のために」渡邉彩香~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#94
今週、個人的に最も注目している競技は国外、しかもツアートーナメントではなく、来季米女子ツアーの出場権を争う二次予選会(クオリファイイング・トーナメント・ステージII)です。
最終的に出場権(ツアーカード取得)が決まるのは、この後、10月末~11月にかけて実施される三次予選会(Qスクール)ですが、この二次予選会には、「自分の一番の夢のために、挑戦するのは今しかない」と大きな困難とリスクを覚悟で日本ツアーから挑戦する、シード選手の渡邉彩香がいるからです。
夢は2020東京オリンピック出場
米女子ツアーの二次予選会は10月15日(月)~18日(木)に72ホールで争われ、出場予定195人のうちの(現状では少なくとも)25位タイまでが、次の最終ステージである三次予選会(Qスクール)に進出することになります。
そして、その三次予選会は10月24日(水)~27日(土)の72ホールと、翌週10月31日(水)~11月3日(土)の72ホール、計144ホール(予選落ちなし)で争われ、45位タイまでの選手に来季のツアーカードが与えられます。
ここに世界中から若い選手を中心に、たくさんのプレーヤーが挑戦するのですから、勝ち抜くのは大変です。
それでも、渡邉が敢えて挑戦するのは、幼いころからの“自分の夢”であるオリンピック出場を目指し、そのために高いワールドランキングポイントが得られる米ツアーでプレーする機会を得るためです。
渡邉は自身のSNSで、
「今の自分の現状を考えたら、いろんな意見があると思います。 でも自分の一番の夢のために、挑戦するのは今しかないと思いました。 この挑戦を理解して応援してくださる、スポンサーの皆様、ファンの方々、家族に感謝して、頑張ってきたいと思います! 行ってきます!」
と意気込みを語っています。
2年前、渡邊の夢は一度ついえた
渡邉の五輪出場の夢は、2年前、すんでのところで無情にも手からこぼれ落ちました。
2016リオ五輪の代表を決めるワールドランキングポイント対象競技の最終戦=全米女子オープン。
日本から出場した渡邉は30位前後の成績を収めれば、日本選手の2番手として代表になるはずでした。
そして、20位タイで迎えた最終日。渡邉は終盤まで堅調なプレーを続けていました。
ところが、29位タイで迎えた最終18番パー5で、バーディ狙いで放った第3打のアプローチがショート。
ボールはグリーン手前の傾斜に落ちて、無情にもそのまま池へ。このホールをダブルボギーとし、結果は38位タイ。
終わってみれば、五輪代表にわずか1打及ばず涙を飲んだのです。
渡邊は号泣。そして、
「終わりました。最後のホールでリオを意識してしまい、一打一打に集中できなかった。(最終ホールは)パーだったとしても、ちょっとの差で(順位が)上に行ったり、下に行ったりするから、バーディが欲しかった。いままでにない緊張だったのでうまくいかなかった」
と悔しい胸の内を語ったのです。
今回は、その無念を晴らす再挑戦でもあります。これは、応援するしかありません。
他にも注目の選手たちが出場
この二次予選会には、他にも先月ここで取り上げた「プラチナ世代(2000年生まれの高校3年生)」の有力選手ふたり=山口すず夏(写真上)と長野未祈(写真下)が挑戦します(下記、リンク先をご覧ください)。
ともに大舞台の経験があり、そこで確かな実績を挙げているプレーヤーです。
2年前には、彼女たちと同じ当時高校3年の畑岡奈紗が最終予選会を見事通過(ツアー出場順位18位)してますから、彼女たちにも十分にそのチャンスはあるはずです。
若手の人気プロ、村田理沙も挑戦
同二次予選会には、若手・人気プロの村田理沙も一次予選会を突破し、出場します。
村田は、ツアートーナメントでの優勝経験はありませんが、3年前、19歳のときに若手の登竜門と言われる「グアム知事杯女子ゴルフトーナメント」で優勝。
高い素質を示すと、その後もプレー機会を求め、海外へもどん欲に挑戦しています。
今回の結果がどうあれ、彼女たちのチャレンジ精神には拍手を送りつつ、注目したいと思います。