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Taddy Bear
リンクスに憧れたらコレがおすすめ!〜山口信吾の著書〜
生涯一度はプレーしたいゴルフ場はどこ?
この問いに対して多くはアメリカ派とリンクス派に分かれます。
ゲームの面白さを徹底的に追求したアメリカのコース、大地が設計者と言われるリンクス、どちらも甲乙つけがたい魅力ですね。
でも、もしリンクスに少しでも興味を持ったならば、『定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう』の一読をおすすめします。
年齢に関わらずリンクスが、グッと身近に感じられるはずです。
本書の焦点は「定年後」というよりも断然リンクス
中年になってゴルフを始めると大ハマリする人をよく見かけます。
しかも、そういう人ってたいていはアンチゴルフだったり。
『定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう』の著者、山口信吾氏もそんな1人でした。
氏がゴルフを始めたのは43歳の時。
それまでは、当時で言うなら企業戦士、今風には……ちょっと品がない言葉なので書くことはできませんが、とにかくそれくらい仕事に打ち込んでいたのに、ちょっとクラブを振っただけでプロジェクトも休んでしまうくらいにのめり込んでいくのですから、中年から始めるゴルフ、本当に怖いです。
挙げ句、リンクスに惚れ込んでさながら巡礼する教徒のように毎年、スコットランドを始めとしてイギリス連邦に渡り、その紀行文まで書き上げてしまうという熱気には畏れ入るものがあります。
この本は週刊ゴルフダイジェストに掲載された紀行文を加筆、亜紀書房の『定年後は〜』シリーズのタイトルに合わせる形で刊行されました。
したがって本文中には定年後のプランが一部おまけ程度に入っているものの、全体としてはリンクスの魅力に焦点を当て、年齢に関わらずリンクスに魅力を感じるゴルファーの水先案内を果たしています。
刊行は2003年とやや古いのですが、イギリスは日本と違って10年や20年で大きく変わることはありません。
とくにリンクスは。
等身大ゴルファーはいかにしてリンクスの巡礼者になったか?
本文は全5章で構成されていますが、概ね3部に分けることができます。
前半は氏がいかにしてゴルフにハマり、リンクスにハマり、そしてリンクス巡礼をするためにどのような準備を行ったか?
中盤は実際のリンクス巡礼でどのようなことが起き、そしてどのような精神的変化が訪れたのか?
後半は氏が回ったリンクスの解説と効率良くリンクスを回るプラン、つまりガイドブック的内容になっています。
中年ゴルファーの自叙伝には共感する読者も多いでしょう。
前半のリンクス巡礼の旅へ出かけるために妻をどのように説得するのか、とか“魔女の一撃(ぎっくり腰)”からどのように回復したのか、などは、面白くもあり同情する部分もあり、等身大ゴルファーのリアリティがあります。
後半はスコットランドで発行されているガイドブックに引けを取らないほど充実しており、日本でこれほどリンクスのガイドをしている本は見当たりません。
初めてリンクスへ行くなら、プラン1のセントアンドルーズ(本表記ママ)を起点にした「ファイフ」やエジンバラとグラスゴーを結ぶプラン2の「ローランド」などがおすすめです。
また、解説してあるゴルフ場へピンポイントで向かうのも旅の選択肢のひとつです。
リンクスは自分を開放して自然と一体になれる
前半と後半だけでも充実した内容になっていますが、何より面白いのは氏が1人でリンクス巡礼した時の体験談。
現地のゴルフ場でさまざまな人との出会いが氏のゴルフをいっそう愉しくしている雰囲気が伝わってきます。
そして、荒々しいリンクスが氏に与える精神的影響がこの本のハイライトとも言える部分。
リンクスでは、幼いころ野原で遊んだときのように、ぼくは自分を解放し、自然と一体になることができます。僕は自然と闘う意識はとっくに捨てました。強い風と雨の中では思考や計算は役に立たないのです。頼りになるのは感性や想像力です。自然を感じるのです
上記は「リンクスランド縦断」の一節を引用しました。
もちろん、これは氏の感想なので誰もが同じ体験をするとは限りませんし、ゴルフに思考や計算は欠かせません。
その上で、日本やアメリカのゴルフでは体験できない何かに惹かれたとしたら、この本を読んでもいいし、読まなくても構わないのでリンクスに行ってみてはいかがでしょう。
リンクスに魅力を感じ始めているあなた、ほら、リンクスが耳元で「おいでよ」と囁(ささや)いていますよ?