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ゴルフ場設計家・名匠「井上誠一」の難しさを味わう浜野GC!新ラウンド日記第24回

グリッジをご覧になっている方で、「井上誠一」の名前を知らない方は、ほぼ皆無だと思います。

井上誠一は、まさにゴルフ場設計の巨匠だと言えます。

その設計したコースは全国にあり、現在は名門コースと言われるゴルフ場が大半です。

私も、井上誠一設計のコースでプレーをしていますが、コースによってその難しさは異なります。それが、井上誠一の真髄だと思います。

今回は、その設計コースの一つである、千葉県の「浜野ゴルフクラブ」でプレーしました。

早速、ラウンド日記を始めましょう!

「浜野ゴルフクラブ」は、昨年から女子のパナソニックオープンレディースを開催しています。

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昨年から始まった新しいトーナメントで、その記念すべき第1回は、勝みなみが優勝しました。今年も開催の予定でしたが、新型コロナの影響で、他のトーナメントと同様に残念ながら中止になりました。

昨年のトーナメントをご覧になった方はわかると思いますが、距離はそれほど極端に長くはありませんが、様々なトラップが仕掛けられており、井上誠一の設計思想を随所に感じることができます!

しかし、スタートホールに立つと、不思議と井上誠一設計の難しさを感じることはあまりありません。逆に、このコースは本当に井上誠一設計のコースなんですか? との思いが強いと思います。

それが、井上誠一らしいと思うのです!

さあ、井上誠一の難しさをお伝えしていきましょう!

井上誠一の難しさを検証~その1「グリーン周りのバンカーの配置」

単にグリーン周りのバンカーの配置だけなら、バンカーで有名な我孫子ゴルフ倶楽部や東京ゴルフ倶楽部などのコースを挙げることができます。

しかし、それはバンカーからの脱出が難しい、ということで有名なのであって、井上誠一の設計思想でいう世界では、そのグリーン周りのバンカーの配置による難しさというのは、そのバンカーの見え方にあると思うのです。

「バンカーの見え方?」というのは、どういうことかわかりますか?

皆さんは普通にコースでラウンドしていると、グリーン周りのバンカーに痛めつけられることがあると思います。

入れてはいけないバンカーだと思うと、そのバンカーに入ってしまう!「バンカーは嫌だなぁ」思えば思うほど、そのバンカーに入ってしまうものです。

しかし、それは例えばセカンドショットでグリーンを狙う場合に、グリーンの手前ややや脇にバンカーが見えて、その幅や大きさなどを確認できる場合が大半でしょう。

バンカーショットで最も難しいのは、グリーン周りにあるバンカーが大きい場合と、バンカーとグリーンの間にラフがあり、グリーンまで距離がある場合です。

井上誠一設計のこのコースのグリーン周りのバンカーは、2打目地点からはそのバンカーの幅が見通せないホールが多く、わずかにバンカーがあるという程度にしか認識できないバンカーだということです。

これが井上誠一がプレーヤーの目の錯覚を利用して、難しくしている特徴です。

さらに、バンカーとグリーンの間のラフの距離は、もちろん見通せません。

そんなバンカーに入れてしまうと、ピンまで距離のあるバンカーショットを求められます。これは上級者でも、難易度が高いバンカーショットになります。

井上誠一の難しさの検証・その2「花道を狭めて、左右に深いラフ」

一般的に、グリーンに対して花道があり、その花道はコースにより狭い、広いがあるでしょう。また、花道がフェアウェイに対して正対していることは少なく、脇に逸れていることも少なくありません。

井上誠一設計の場合も同様に、花道が狭く少し脇に逸れていることが多いのですが、それ以上に厄介なのは、この花道の脇のラフが異常に深いことです。

これも一般論としては、ラフも花道の側は短いラフで、少しずつ深くなるというのが通常のコースの造りだと思いますが、このコースはいきなり深いラフになっているため、狭い花道を狙って少しでも逸れると、深いラフにすっぽりと入ってしまいます。

このラフからのアプローチは難しく、場合によってはシャンクする原因にもなります。距離感も難しく、場所的には寄せワンを狙いたいところですが、簡単にパーを取らせてくれない造りになっています。

グリーン周りのラフの深さには、とても苦労しました。いきなり、この深いラフはアプローチの技術を試されます!

井上誠一の難しさの検証・その3「真っすぐなホールなのにラフの設定に妙!」

ホールの造り方もまた妙があると思います。

ティーグラウンドに立つと真っすぐなホールに見えますが、何となくドッグレッグのホールのようにも見えるという造りです。

フェアウェイの造りが少しうねった造りになっていることが原因かもしれません。

さらに、平坦なホールなのに、フェアウェイに微妙な傾斜をつけて、ショットした球が見えなくなります。これも、距離感という意味では、遠近感を惑わす造りの一つでしょう。

決して、ティーグラウンドに立っただけで、「平坦なやさしいコースだ」などと誤解しないことです!

各ホールには、たくさんの井上誠一の世界があり、目の錯覚を多用した造りが待っています。

井上誠一設計のコースを攻略するための考え方とは!

今回のラウンドに備えて考えた攻め方は、以下の通りです。

★できる限りバンカーを避けて花道狙いで手前から攻めて行くこと

★距離を欲張らずに寄せワンでパーを拾っていくゴルフを展開すること

これを心がけてスタートしました。

幸いにも、この日はショットの精度が高く、花道から大きくブレることなく狙っていくことができました。

これで、何とか80台でラウンドを終えることができましたが、ショットが少しでもブレれば、こうはいかなかったでしょう。

手強いコースであることには変わりなく、同伴者のため息が聞こえていました。

「恐るべし、名匠・井上誠一」でした!