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Gridge編集部

【MSD42外伝】我こそはアスリートゴルファー!という人に使ってほしいヤマハ RMX VD for アスリート

こんにちは、自称アスリートゴルファーのじゅんやあくです。

アスリートゴルファーの定義はさておき、そんなアスリート向けを銘打ったクラブがヤマハから発表されました。

その名も『RMX(リミックス)VD for アスリート』。

早速使用した契約プロの神谷そらが日本女子プロ選手権で優勝するなど、その実力を早くも証明しています(神谷プロ使用モデルはVD/M ドライバー、VD/R アイアン)。

私も試打をしてきましたので、その感想をお届けします。

ドライバー、アイアンは各3機種登場

通常1つのシリーズで3モデルの展開となると、中・上級者向け、初心者・スライサー向け、ハードヒッター向けという感じでそれぞれ性格付けがなされ、同モデル内でもまったく性格が異なったりします。

しかし、今回はモデル全体が“アスリート向け”をうたっています。そのため、もちろん特徴は三者三様なのですが、意外とその違いを微妙な部分で設定しているように感じました。

逆に言うと、“アスリート”の大枠の中で外れていなければ、より細かい部分で自分に合うクラブが選べる可能性があるわけです。

一方、フェアウェイウッド、ユーティリティに関しては1機種ずつ。

つまり、こちらは1機種あればカバーできるようなスタンダードな設計になっていると言えます。

全モデルに共通して言えるのは、スッキリと構えやすいルックスと手にしっくりくる打感で、その辺りはヤマハらしさ全開です。

一番飛ぶ場所に当てやすくなっているフェース

というわけで、まずはドライバーから。

3モデル共通で「Bull’s-eye Face(ブルズアイフェース)」という新テクノロジーを打ち出しています。

通常、ドライバーのフェースで最も反発が高いのは真ん中付近です(トランポリンを想像したらわかりますよね?)。

一方、“一番飛ぶ”と言われているのは、フェースの真ん中よりちょっと上と言われています。

これはなぜかと言うと、バックスピン量の関係です。フェース面上の重心点より少し上で打つことでバックスピン量が減って、飛距離が伸びるというメカニズムなっています。

そこで、フェースの肉厚を設計し直し、フェース中心の少し上の部分が最も反発が大きくなるようにするのと同時に、アドレスした時にその場所に当てやすくデザインされているとのことです。

さてその3モデル。VD/R、VD/M、VD/Xの3機種となっています。

重心角と重心深度でプロットすると、最も重心角が小さくて重心深度が浅いのがVD/R。

ソールのフェース寄り部分にスライドウェイトが設定され、重心距離を調整できるようになっています。

逆に、最も重心角が大きくて重心深度が深いのがVD/X。

こちらは4つのウェイトポートをソール後方外周部に備え、重心角と重心深度を調整できるようになっています。

この2モデルの間に位置するのが、VD/M。

こちらは、ソールのフェース側から後方にスライドするウェイトを備えており、重心深度を調整できるようになっています。

いずれも“アスリート向け”ではあるものの、最も寛容性が高く調整幅が大きいのがVD/X。

最も操作性が高く、一発の飛距離性能を感じさせたのがVD/Rでした。

その中間がVD/Mです。

VD/Xは、ヘッドスピードが40メートル/秒(m/s)以上でさえあれば、シングルハンデからハンデ36くらいまで、幅広い人が使えそうなドライバーだと思いました。直進性が高く、とにかく曲がらない。

VD/Mも適正な技術レベルとしてはVD/Xと同等ですが、左右の曲がりを抑制する機能はないので、極端なスライサーやフッカーは手が出しにくいかもしれません。個人的にはやさしさと操作性のバランスがちょうど良く感じました。

VD/Rはヘッドスピード42m/s以上でハンデ15以下くらいの人から使いこなせそうな印象。445ccとやや小ぶりなのですが、性格はそこまでピーキーではなく、意外と寛容性もありました。

RMX VD/R ドライバー

RMX VD/M ドライバー

RMX VD/X ドライバー

最近のトレンドを踏襲してきたアイアン

アイアンも3機種。フェースの小さい順番にVD/R、VD/M、VD/Xです。

ヤマハのアイアンと言えば、契約プロの影響か、これまでは短重心距離の操作性のいいアイアンという印象が強かったのですが……。

世界的な流れとして、フェース開閉の少ないスイングが主流になってきています。

それに伴い、アイアンの重心距離もシャットフェースを維持しやすいように長くなってきています。

今作ではその流れを受け、VD/R、VD/Mとも同社従来モデルよりも重心をフェースセンターに近づけ、最新のスイングトレンドに追従した設計となっています。

また、これまでのヤマハの最上級者向けモデルは、構えた瞬間「お前に打てるのか?」という威圧感を感じさせるような、バターナイフを構えているかのような恐ろしさがあったのですが、今回のVD/Rにはそこまでの圧は感じませんでした。

実際に打ってみても、意外と寛容性が高く、いわゆるブレードアイアンで先っぽに当たったときに起きる“右ペラ”のような球も出ませんでした。

性能的に“真ん中”のVD/Mは、パッと見はVD/Rにそっくりです。性格も似ているのですが、こちらはロフトがVD/Rと比べて7番で2度(33度→31度)、ピッチングウェッジで1度(45度→44度)立っています。

しかし、それでいて球も上がりやすく、飛距離と操作性のバランスは最も良く感じました。

VD/Xは、前作VD-40で驚かせたヒールの膨らみを踏襲。キャディバッグに差さっているところを見ると明らかに“異形”なのに、構えるとその膨らみがまったく見えないこの形状は、“発明”と言ってもいいです。

とはいえVD-40では構えたときに、アベレージモデルのアイアン特有の“もっさり感”があったのですが、VD/Xは、非常にすっきりとした面構えになっています。

見た目がはっきりと性能に現れていて、ミスヒットにはメチャクチャ強いです。飛距離性能も高く、自身の7番アイアンより15ヤードくらい飛びました。そして、この種のアイアンらしくないソリッドでしっとりとした打感も好印象でした。

RMX VD/R アイアン

RMX VD/M アイアン

RMX VD/X アイアン

基本に立ち返った設計のフェアウェイウッド、ユーティリティ

最後に、RMX VD フェアウェイウッドとRMX VD ユーティリティ。

フェアウェイウッドやユーティリティにおいても、多くのモデルがその飛距離性能をうたっています。

しかし、本来ゴルフは狙った距離を打って狙った場所にボールを止めるスポーツ。

その基本に立ち返り、フェアウェイウッドとユーティリティは、しっかりとスピンが入る設計にして、常に一定の飛距離が出るようにしたとのことで、個人的には大変好感を持ちました。

ただし、3番ウッドに関しては、地面から打つクラブで最も飛距離を求めるという役割から、飛距離性能を重視した設計が施されているとのことです。

実際に打ってみても、3番ウッドは低スピンで飛びましたが、5番ウッドやユーティリティに関してはしっかりスピンが入り、飛距離のバラつきが少なかったです。

そして、フェアウェイウッドとユーティリティで特筆したいのが、純正シャフトの重量設定。

ドライバーやアイアンと比べて“軽過ぎる”標準シャフトの多いフェアウェイウッドとユーティリティですが、このシリーズでは60グラム台と70グラム台が用意されており、しっかりと自身のドライバーやアイアンのセッティングで重量フローを上手く作れるようになっています。

重さだけでなく、硬さや振り心地もしっかりしており、リシャフトしないでそのまま使いたい純正シャフトだと思いました。

さて、今回のヤマハの新シリーズ“RMX VD for アスリート”。

その名の通りアスリート向けで、そこまで顕著に“上がりやすい”、“つかまる”といったお助け機能を持った初心者向けモデルとはなっていません。

とはいえ、そこまで難しいモデルかと言えば決してそうではなく、むしろ適度なやさしさと寛容性を持つクラブに仕上がっていました。

「初心者は卒業したけど、これからもっと練習してどんどん上達したい!」そんな気持ちを持つ“アスリート”ゴルファーにピッタリなんじゃないかと思いました。

あなたがアスリートかどうかは、あなた自身で決めることができるのです!