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軟鉄鍛造とは? ステンレス鋳造とは? アイアンの選び方教えます!

アイアンとは、パー4やパー5のホールの2打目以降や、パー3のティーショットなどでよく使われるゴルフクラブです。打つ距離やシチュエーションに応じて複数本を使い分けます。

また、アイアンと一言に言ってもいろいろな種類があります。

ここでは、軟鉄鍛造やステンレス鋳造と呼ばれるような、素材と製法の違い、マッスルバック、キャビティなどの形状の違いなどから、それぞれのアイアンのメリットやデメリットを解説していきます。

アイアンは、ラウンド中非常に使用機会の多いクラブです。自分に合ったアイアンを選ぶことがスコアアップの近道となるので、正しい知識を身に着け、間違いのないアイアン選びをしましょう!

軟鉄鍛造アイアンとは? そのメリットとデメリットは?

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軟鉄鍛造アイアンとは、素材を表す「軟鉄」と、製法を表す「鍛造」がいっしょになった言葉で、「軟鉄という素材を使って鍛造製法で作られたアイアン」という意味です。

一つ一つ見ていきましょう。

軟鉄とは、文字通り「軟らかい鉄」です。具体的には「S20C」「S25C」などが軟鉄製のアイアンではよく使用されています。

Sは「steel(鉄)」の略、Cは「carbon(炭素)」の略となっており、「20C」とは、「0.2%の炭素を含んだ鉄」という意味です。

鉄は炭素の含有量が少ないほど軟らかくなるため、S20CはS25Cよりも軟らかいということになります。

ただし、軟らか過ぎると耐久性が失われてしまうので、ゴルフクラブのアイアンに使用されるのは、S20Cくらいまでとなっています。

鍛造とは、英語で「forged(フォージド)」とも呼ばれる製法で、鉄の塊を熱して叩いて圧力を加えることで、素材中の微細な空間を埋め、結晶を細かくして向きを揃えるなどして強度を増しながら成形していく製法です。

アイアンクラブ以外でも、日本刀がこの鍛造製法で作られることで有名です。

ほとんどの鍛造製のアイアンは軟鉄を使用していますが、一部ステンレスを使った鍛造アイアンも存在します。

鍛造製のアイアンは、ほとんどの場合クラブのどこかに「forged」という刻印が入れられているのですぐにわかるでしょう。

この軟鉄鍛造製のアイアンのメリットは、素材が軟らかいので、ロフト角やライ角を調整できる点です。

特に、身長やスイングのクセに合わせてライ角を調整できることで、アイアンの打感や方向性を良くすることができるため、多くのプロや上級者は、軟鉄鍛造製のアイアンを使用しています。

また、科学的に証明されているわけではないですが、軟鉄鍛造製のアイアンは、一般的に打感が軟らかく、打った時のフィーリングがいいと言われています。

一方デメリットとしては、使用しているうちにライ角やロフト角がずれてきてしまうことや、素材の都合で大きなものや複雑な形状のものを作ることが難しいことなどが挙げられます。

ただし、ライ角やロフト角のずれはそれほど頻繁に起こるわけではないので、使用頻度にもよりますが、半年~1年に1回程度チェックすれば問題ないでしょう。

また、製造技術の進歩により、最近では複雑な形の軟鉄鍛造アイアンや複合素材を使ったアイアンなども作られるようになってきています。

ステンレス鋳造アイアンとは? そのメリットとデメリットとは?

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ステンレス鋳造も、軟鉄鍛造と同様、素材と製法が一緒になった言葉です。

ステンレスは、文字通りステンレスという金属の名称です。「ステン(stain)=さび、レス(less)=~ない」ということから、「さびない金属」としても有名ですよね。

硬度的に鉄よりも硬い素材です。

鋳造とは、溶かした材料を鋳型(いがた)に流し込んで成形する製法のことで、キャスト(cast)とも呼ばれます。

メリットは、小さな製品誤差で大量生産ができることや、設計自由度が高く、鋳型次第で複雑な形状のものを作れること、それを生かして複合素材のモデルを作ることが比較的容易なことです。

デメリットは、素材が硬いため、ライ角やロフト角の調整ができないものがほとんど(一部可能なモデルもあります)なことです。

また、これも科学的に証明されているわけではありませんが、打感が硬いと評されることや、フィーリングがいいとあまり言われないことなどが挙げられます。

ちなみに、多くはないですが、軟鉄鋳造性のアイアンもあります(ウェッジなどでは比較的多くあります)。

マッスルバックアイアンとは?

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マッスルバックアイアンとは、アイアンクラブのヘッドが1枚板のような構造になっているアイアンのことです。ブレードアイアンなどと呼ばれることもあります。

ほとんどのマッスルバックアイアンは、軟鉄鍛造でできていることが多く、構造的にヘッドを大きくすることができないため、ヘッドスピードの速いプロや上級者が好んで使用することの多いアイアンです。

キャビティアイアンとは?

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キャビティ(cavity)とは、「くぼみ」という意味で、アイアンクラブのバックフェースの構造が、中央部がくぼんでいて、周縁部が膨らんでいてヘッドの周辺に重量配分されている設計のものをキャビティアイアンと呼んでいます。

キャビティアイアンの中でも、フルキャビティアイアンと呼ばれるものと、セミ(ハーフ)キャビティアイアンと呼ばれるものがあります。

フルキャビティアイアンとは、ヘッド全体が大きく、周縁の膨らみが大きいアイアンのことを言います。周辺に重量を配分することにより、スイートエリアが広くなり、ミスヒットに強くなる効果があります。

フルキャビティアイアンは、ステンレス鋳造や、複合素材で作られていることが多く、やさしさ(球の上がりやすさ、ミスヒットに対する強さ)を強調した初心者・初級者用モデルが多くなっています。

また、複合素材を生かした作り方で、樹脂などをバックフェースに貼ったり中に埋め込んだりすることで打感を改善しようとしているモデルもあります。

一方セミキャビティアイアンは、マッスルバックアイアンとフルキャビティアイアンの中間に位置するモデルで、軟鉄鍛造製のものもステンレス鋳造製のものも存在します。

マッスルバックアイアンほど難しくはないけど、フルキャビティアイアンよりは難しく、プロや上級者の中にも多くの愛用者がいます。

ヘッドの大きさは、マッスルバックが一番小さく、ハーフキャビティ、キャビティとなるにつれて大きくなるのが一般的で、やさしさも、マッスルバックが一番難しく、ハーフキャビティ、フルキャビティとなるにつれてやさしくなっていきます。

中空アイアンとは?

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見た目はマッスルバックアイアンに似ていますが、アイアンヘッドが中空構造になっているため、ヘッドが少し大きくなっているアイアンです。

ステンレス鋳造製のモデルが多いです。

性能的には、キャビティアイアンやハーフキャビティアイアンと同程度のヘッドの大きさで、やさしさも同様です。

ただし、中空構造のため、打感が特殊なモデルが多くなっています。

アスリート向けアイアンとアベレージ向けアイアンの違いとは?

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これまで見てきた通り、アイアンクラブは、その形状・構造により、アスリート向けかアベレージ向けか分けることができます。

アスリート向けアイアン:マッスルバック、ハーフキャビティ、中空
アベレージ向けアイアン:キャビティ、中空

また、上記のような形状や構造の違い以外にも、アスリート向けとアベレージ向けではロフト角が違います。

アスリート向けアイアン:ロフトが寝ている(7番アイアンで30~35度前後)
アベレージ向けアイアン:ロフトが立っている(7番アイアンで25~30度前後)

特に7番アイアンのロフトが27度以下のものに関しては「飛び系アイアン」と呼ばれ、飛距離性能に特化したモデルと言えます。

アイアン選びの際のシャフトの選び方とは?

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アイアンを選ぶ際は、シャフト選びが重要です。シャフト選びは、ドライバーの総重量を目安に考えるといいでしょう(ドライバーの重さが合っている場合)。

具体的には、ドライバーの重さ+85~100グラムが、5番アイアンの適正な重量の目安と言われています。

例えば、以下のような組み合わせが考えられます(アイアンは5番アイアン)。

ドライバーの重さ:280グラム→アイアンの重さ:365~380グラム(カーボンシャフト)
ドライバーの重さ:300グラム→アイアンの重さ:385~400グラム(軽量スチールシャフト)
ドライバーの重さ:320グラム→アイアンの重さ:405~420グラム(重量級スチールシャフト)

※最近では、重いカーボンシャフトや、軽いスチールシャフトも販売されていますが、同じ重さでもカーボンシャフトのほうが体感的に10~20グラム重く感じるので注意が必要です。例えば、100グラムのスチールシャフトと80~90グラムのカーボンシャフトが振った時に感じる重さが近くなりますので、軽いスチールシャフトや重いカーボンシャフトを選択する時は参考にしてください。

逆に、アイアンの重さがちょうどいいと感じられる場合は、ドライバーの重さを見直してみましょう。

オススメ軟鉄鍛造アイアン(1):タイトリスト T100 アイアン

ツアープレーヤーたちから絶大な支持を受けている軟鉄鍛造アイアンといえば、タイトリストです。

その中でも、最新技術が詰め込まれたT100アイアンは、精密鍛造ながら、ロングからミドルアイアンにはタングステンを配置し、番手ごとの最適な重心位置を設計しています。

オススメ軟鉄鍛造アイアン(2):ミズノ Mizuno Pro 120 アイアン

国産メーカーながら、世界的に名器と呼ばれるアイアンを作り続けているメーカーが、ミズノです。

その最新作となるマッスルバックアイアンが、カスタム専用モデルとなるMizuno Pro 120アイアンです。

ミズノ独自の鍛造技術、グレインフローフォージド製法がさらに進化した、グレインフローフォージドHD(High Density)製法を採用。ヘッド内部の鍛流線を打球部に密集させることに成功し、銅下メッキ処理と相まってさらなる打感の向上に貢献しています。

オススメ軟鉄鍛造アイアン(3):ダンロップ スリクソン Zフォージド アイアン

日本が誇る最強ゴルファーであり、世界屈指のショットメーカー松山英樹が信頼するアイアンが、ダンロップのスリクソン Zフォージドアイアンです。

軟鉄の中でも最も軟らかいといわれるS20Cを採用し、繊細な打感とフィーリングを約束。

鋭角なダウンブローに応え、抜けの良さも得られるようにフェース側とバックフェース側でバウンス角を変えたV形状のソールが、思い通りのコントロールショットを可能にし、番手別の彫刻溝を採用することで、抜群のスピン性能を発揮します。

オススメ軟鉄鍛造アイアン(4)ブリヂストン ツアーB JGR HF3 アイアン

軟鉄鍛造ならではの打感や構えやすさといった感性領域に訴える機能と、ヘッド内部に充填したSP-COR(サスペンションコア)と呼ばれるポリマーなど、複合素材を使った構造やストロングロフト設計で、飛距離性能も実現している高機能アイアン。

見た目はアスリート向けアイアンのように見えながら、アベレージ向けアイアンのようなやさしさや飛距離も欲しいという人にはうってつけのアイアンです。

オススメステンレス鋳造アイアン(1):キャロウェイ MAVRIK(マーベリック)アイアン

ドライバーで多くの支持を得たAIフェースの技術をアイアンにも採用した、FLASHフェースカップは、モデルごとにも番手別にも最適化されています。

このFLASHフェースカップと、キャロウェイ独自のタングステン・エナジー・コアにより、より最適な重量配分を可能にし、ロング、ミドル、ショートのそれぞれの領域で求められる役割、パフォーマンスを実現しています。

オススメ中空アイアン(1)ピン G710 アイアン

マレージングC300フェースと中空構造が、フェースの大きなたわみを生み、飛距離と高弾道を生み出します。
精悍なブラック仕上げながら、同社史上最大のMOI(慣性モーメント)を実現しており、ミスしてもブレずに飛んで曲がらない弾道を実現しています。

グリップには、ラウンド中の全ショットを自動的に記録するアーコスキャディを標準装着。AI機能がラウンドデータの統計を分析するだけでなく、キャディのようにラウンド中にアドバイスをしてくれます。

オススメ中空アイアン(2)テーラーメイド P790 アイアン

中空構造と、より薄くなったクロームモリブデン鋼の1.6mm L型ICTフォージドフェース構造により高い飛距離性能を実現しています。

また、番手別に設計されたL型ICTフォージドフェースが、ミスヒット時のボール初速の減少を抑え、飛距離のばらつきを抑えます。

同社独自の貫通型スピードポケットとヘッド内部のタングステンウェイトにより、低重心化と高い寛容性を実現しています。

まとめ

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アイアンの素材や製法、形状による違いやオススメのアイアンを見てきました。

アイアンを購入する際は、アイアンに求める性能(見た目や構えやすさなのか、飛距離なのか、球の上がりやすさなのか、ミスヒットに対する強さなのかなど)をはっきりさせてから選ぶようにしましょう。

また、アイアン選びではライ角が合っていることも重要です。

軟鉄製で後からライ角調整ができるクラブを選ぶか、ステンレス製でも最初からライ角が合っているモデルを選ぶかするなど、必ずライ角が合っているアイアンを選ぶことが上達の秘訣です。

ちなみに、ピンのように、最初からライ角が異なるモデルを複数用意しているメーカーもありますので、同社が行っているようなフィッティングサービスを利用してもいいでしょう。

自分に合っているアイアンが選べれば、ショット時の打感も良くなり、コントロールも良くなって、スコアアップに貢献するはずです。

ぜひこの記事を参考にして、最高の“相棒”を見つけてください!