ゴルフスイング
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本気のフルスイング、できますか?
主人公・沖田圭介(おきたけいすけ)が、素人同然の研修生から世界で戦うプロとして活躍していくまでの物語を描いた『風の大地』というゴルフ漫画があります。
いまなお連載中で69巻にもおよぶ大作です。
その中で、まだプロテストにも合格していない沖田の人並みはずれた飛距離を見て、コース職員が質問します。
職員「どうしたらそんなに飛ぶの?」
沖田「振れば飛びます」
振れば、飛ぶ。
ここでいう『振る』とは、気迫をもって思いっきり振り回す、いわゆる『マン振り』に近いスイングを指しています。
「いやいや、そんなに振り回したらスイングが崩れるし、まともに当たらなくなるよ」
いま、そう思いませんでしたか?
私は練習場やゴルフ場で、おそらく1000人以上のスイングを眺めてきましたが、
「うわ、すごい振り回してるなぁ」
なんて思ったことはほとんどありません。
皆おとなしく、フォームをチェックするように丁寧にスイングします。
まるでルールブックに『きれいなフォームで打たなければ2打罰』とでも書いてあるかのようです。
そのくせ「もっと飛ばしたい」がゴルファーの合言葉。
「だったらもっと振れば?」そんなふうに思ってしまうスイングが多いのです。
空振りしたっていい
例えば、初めて野球のバットを握ったとき、向かってくるボールをどう打ち返そうとしましたか?
バットの通り道や右脇の締め方や手首の返し方を習って、理想の軌道を追い求めよう、丁寧に振るんだ! なんて思っていなかったですよね。
来た球を打つ、しかも思いっきり打ち返そうとして、何度か空振りするのがフツウではないでしょうか。
何度も何度もフルスイングしながら、だんだんと当たる軌道を見つけ出していく。
やがて、ミートさせること、入射角、打ち出し方向、下半身の使い方、回転、さまざまな要素についての「わかった!」を繰り返しながら、再現性の高いスイングを身につけていきます。
形に惑わされない
野球はただ強く打ち返して遠くへ飛ばすものだから、ゴルフとは違う、という意見があるかもしれません。
けれど、ゴルフも速く強く打てるほうが結果を伴いやすく、さほど曲がらない限りは遠くへ飛んだほうが有利です。
ゴルフはヘンテコな道具を使って止まっているボールを打つため、特別な方法=正しいスイングでなければいけないと思いがちですが、斧を使って大木を一発で切り倒すイメージ…でもなんでもいいので、とにかく渾身のパワーで振ってみてください。
自分らしいパワーの出し方
特に初心者は「どれほど思いきり叩くことができるか」を一度追求してみてから、上達への道をたどったほうがいいと思います。
思い切りスイングすることで初めて見えてくるもの、感じるものがあります。
それは、いったい自分はカラダのどこをどう使ってパワーを出しているのか、ということ。
自分が好きなようにカラダを動かしたときの、その運動の仕方を、筋肉の動きを、注意深く感じ取ることが大事です。
やがて、ムダな動きを排除し、過ぎたるパワーを制御していけばいいだけです。
野球のときに、テニスのときに、ボウリングのときに、そうしていたように。
プロだってユニーク
よく見ればプロのスイングだって千差万別、ユニークなフォームのプロもたくさんいます。
バッバ・ワトソン選手のフォームをご存知ですか? かなり独特ですが、マスターズを2度も制したスイングです。
私たちも、せっかくの自己流をすべて直す必要はありません。ミスを怖がる必要もありません。
そこには、自分らしく上達するためのヒントがあるのですから。
たまには、自己流スイングで好きなように振り回してしてみてください。
そして、もしも飛ぶようになったら、ライバルに教えてあげましょう。
「振れば飛ぶよ」