ゴルフクラブ
Gridge編集部
【MSD42外伝】ヘッドスピード42m/sに歩み寄ってきた!?インプレス ドライブスターシリーズで“補助輪”卒業!
こんにちは、じゅんやあくです。自転車は、補助輪が地面に付かないように乗っていたらいつの間に補助輪なしで乗れるようになっていました。
さて、ヤマハの人気シリーズ「インプレス」がモデルチェンジしました。その名も「インプレス ドライブスター」。
前作のインプレス UD+2 シリーズは、その爆発的な飛距離とつかまりの良さで人気を博していましたが、何やら今回、様子が違うようです。
早速試打した印象をレポートしたいと思います。
ドローバイアスは“補助輪”
モデルチェンジというと、性能アップをうたうのはもちろんですが、想定する対象ユーザーをそれほど変えないことが一般的だと思います。
長い時間をかけてブランドイメージを醸成しているので、企業としては、それはある意味当然のマーケティング戦略と言えます。
インプレスの場合、おそらくメインターゲットとしていたのは“ヘッドスピード40メートル/秒(m/s)以下のスライサー”です。
実際に、その飛距離性能やつかまりの良さがその層に刺さっていました。
しかし、ゴルフスイングが上達していくということは、球をつかまえられるようになることという言い方もできます。
つまり、スイングが習熟していくと、クラブヘッドの余計なつかまり機能はかえって邪魔になってしまうのです。
この辺り、ドライバーのドローバイアス機能は、自転車の補助輪と関係が似ているかもしれません。
そして同時に、スイングが習熟していくと、自然とヘッドスピードがアップします。
つまり、これまでのインプレスは、上達したら手放さざるを得ないクラブだったと言えるのかもしれません。
「ブーストリング」+「スピードボックス」=「ブーストボックス」
と、いうわけで、新しいインプレス ドライブスター ドライバーを打ってみました(全然関係ありませんが、“ドライブスター ドライバー”って“バイクカワサキバイク”みたいで、声に出して読むと楽しい言葉だと思いませんか?)。
実際に打ってみると、明らかに前作UD+2とは性格が違います。
まず、見た目からしてスクエアフェースのイケメンです。
ほどよいつかまりの良さはあるものの、極端なつかまりの良さはなく、スイングの結果が自然と弾道に現れます。
と言っても、シビアで難しいドライバーというわけではありません。顔の良さから来るスイングのしやすさはありますが、多少のミスヒットではそれほど曲がりません。
それもそのはず、聞いてみると5570g・cm2というルール規制内ギリギリの横慣性モーメント値を誇っていて、ミスヒットに対する強さを担保しています。
一方、飛距離性能に関しては、“2番手飛ぶ”と評判だった前作を踏襲しています。
前作でその飛距離性能に一役買った技術「ブーストリング」と「スピードボックス」を一体化した「ブーストボックス」構造により、初速性能をさらに高めています。
上写真右のUD+2のクラウンフェース寄りにあるスピードボックスが、ブーストボックスとなることで外から視認できなくなっています。
これも、イケメン化に一役買っていそうです。
……ところで、ヘッドスピード40m/s以下の従来のインプレスのターゲットユーザーが切り捨てられたかの印象ですが、そうではありません。
今回、シャフトのフレックスに合わせて重量幅を大きく取ることで、ヘッドスピード35~45m/sと、幅広いレンジのゴルファーに合うように設計されているとのことです。
総重量にすると、Rが277グラム、SRが283グラム、Sが294グラムとなっています。
アイアンもイケメンに!
ドライバーが対象ユーザーを変更したのに呼応するように、他のクラブもイメージを一新しています。
まずは、アイアン。
前作のUD+2は、飛び系アイアンの代表的なモデルと言っていいモデルで、いかにも飛び系らしい、ボテっとした見た目が特徴的でした。
しかし今回は、ドライバー同様のルックスの変更がアイアンにも施されていました。
いわゆるイケメンな、シュッとした顔付きになりました。
とは言え、そこはインプレス。飛距離性能は犠牲にしていません。
同社の説明によると、フェース面上の重心位置と打点に、フェースが最もたわみやすい点“図心(ずしん)”をできるだけ近づけることで、初速効率を上げているとのこと。
つまり、「図心にズシンと当たりやすい!」わけですね(赤面)。
ちなみに採用されるスチールシャフトは、対象ヘッドスピードが上がったことを受けて、前作の70グラム台のゼロス7から、80グラム台のN.S.PRO 850GH neoに変更されています。
最後に、フェアウェイウッドについて。
前作が低ヘッドスピーダー向けモデルだったこともあり、3番ウッドでも高弾道な球を打つことができましたが、今回は、ある程度のヘッドスピードを持った、スキルフルなゴルファーを対象としていることもあり、そこまで球が上がりやすくはなっていませんでした。
ヘッドスピード42m/sの私が打って、中弾道の強弾道な球になったので、おそらくこの辺りが3番ウッドが使える下限のヘッドスピードかと思われます。
初速性能や高慣性モーメントによる寛容性は、ドライバー同様です。
まとめます。
ドライバー、アイアン、フェアウェイウッド(ここでは触れていませんがユーティリティも)のいずれも、とてもニュートラルな性格の、素性の良いクラブだと思いました。
なので、ドローバイアスのドライバーを使ってきたけど最近左のミスが増えてきたんだよなぁ……なんていう、いわゆる“補助輪を卒業”した人に、ぜひともおすすめしたいと思います。
また、球をつかまえる技術はあるけど、最近飛距離が落ちてきたんだよなぁ……なんていう方にも同様におすすめです。
前作UD+2の技術を踏襲した飛距離性能はそのままに、幅広いターゲットに訴求するクラブへと変貌した、インプレスドライブスター シリーズ、ぜひ試打してみてください。