Gride

ゴルフクラブ

ファルコンまつばら

スライスが無くなり全米が泣いた!!??

物理的な視点からゴルフクラブを見てみると、いろいろと面白いことが分かります。

曲げようと思っても曲げられない!!捕まる!!と言われているクラブが、物理的に見ると曲がりやすいドライバーだったり、捕まるはずも無いドライバーだったり。。。

ゴルフはボールとクラブが衝突することによってボールが飛んで行く物理のスポーツ。

クラブの常識は実は非常識だったりするので、「Gridge」でおなじみのよっしーの分かりやすいイラストと共に少し突っ込んで見ていくこととしましょう。

スライスで悩んでいませんか?

ファルコンのいる北海道のド田舎ではまだまだラウンドは出来ませんから、この時期は練習場に行くこと(仕事でですが)が多いのですが、練習場でいろいろな方の練習を見ていると思うことがあります。

そ・れ・は、「ほとんどの方がスライスで悩んでいるんだろうなぁ」ってことです。

多くの方がドライバーの練習をされていますが、その球筋を見るとスライスばかり。

そしてそのドライバーを見ると捕まる“はず”のドライバーのヘッドと捕まる“はず”のシャフトなのになぜか皆さんスライスです。

スライスの原因はいくつもあるのですが、あえて暴論的に言うとインパクトの瞬間にフェースが開いて当たることが原因です。

フェースが開いて当たることで、右に出てにサイドスピンもスライス回転になるのです。

でも捕まる“はず”のドライバーでなぜそんなことになるのでしょうか?

捕まる“はず”なのに!!

各社から発売される捕まる!!クラブの数々。

捕まる!!と言う言葉はゴルフ業界に於けるマジックワードとして多くのクラブで使われていますが、実は「捕まる」とか「飛ぶ」とかには基準がありません。

映画でよく「全米興収No.1」とか見ると思いますが、No.1と言うからにはその証拠を提示しないと新聞広告では載せてもらえませんが、ゴルフに関して言うと「捕まる/捕まらない」「飛ぶ/飛ばない」はゴルファーによって変わってくるので証拠を提示する必要が無いのです。

最近は映画でも「全米が泣いた!!」と言った抽象的な広告になってきているのは、映画の広告担当者が広告を打つ段階で証拠を提示する必要が無いから(全米国民がその映画を見て泣いたと言う証拠は提出不可能ですから)。

ここも暴論になってしまいますが、クラブの「飛ぶ」とか「捕まる」とかは実際にメーカーの試打マシンや試打する人にとっての「飛びやすい」「捕まりやすい」ということであって、一般的なゴルファーにとっては「全米が泣いた!!」くらいに思っていたほうが良いと思います。

四角いドライバーは真っ直ぐしか行かないはずでしたが・・・

10年ほど前に四角いドライバーが各社から発売されました。

いち早く四角いドライバーを作ったナイキのドライバーを試打したプロや試打を生業とする人たちは皆さん「まっすぐにしか飛ばない!」とか「曲げようと思っても曲がらない!!」と言っていたために四角いドライバーは大ヒットとなり、練習場には「カッコーン!!」と言う音が響きまくっていた時期もありました。

それだけ“曲がらない”はずのドライバーでしたが、実際に練習場で球筋を見ていると右に出て更に右に行くと言う球筋ばかり・・・。

10年の時は経ちましたが、今も圧倒的に右曲がりなダンディーが多いですよね。

そんなスライサーだらけな状況は今も昔も変わらないことから「スライス撲滅!!」と言ったWeb広告などをよく見ます。

でも「フック撲滅!!」とかはあまり見ませんよね。

これだけ「クラブの進歩」とか「優しい」と言われるゴルフギアですが、なぜ一向にスライスが減らないのでしょうか?

物理的視点(クラブMOI)から見ると原因が!!

捕まるはずのクラブでなぜ捕まらないばかりかスライスまでするのか?

そこにはメーカーもほとんどのゴルフ工房もよく知らない点に原因があるのです。

その“知らない点”とは、クラブMOI(クラブ全体の慣性モーメント)です。

タイヤで例えましょう、自転車のホイールであれば比較的ラクに回したり止めたり出来ますが、同じ直径のホイールでもトラックやダンプのホイールは回したり止めたりするのは大変ですよね?

ゴルフクラブの場合、回転する半径が長くなる=クラブが長いと総重量が軽くなっていきますが、この軽くなるフローの割合が問題となってきます。

D0ならD0でスイングバランスを合わせないと精度が低い!!と言われてしまうことから、長さによってクラブMOIが高くなる率よりも軽くなる量のほうが少なくなっているんです。

つまり、クラブが長くなるに連れてクラブMOIは高くなる傾向にあるということです。

クラブMOIが高いと・・・

クラブMOIが高いと自転車のホイールからトラックのホイールになりますから、振るのにより一層のチカラが必要になります。

そのチカラを出せない場合は振り遅れてフェースはCの位置でボールコンタクトを迎えます。

そうなると右に出て、しかもスライス回転がかかることになります。

結果、捕まるはずのクラブでも捕まることはなくスライスになります。

試打を多くするプロなどは、ワッグルしたり数球打っただけで、クラブMOIの高低に慣れ、クラブMOIの高低に関する修正能力自体も高いので、Bの適正な位置でのボールコンタクトが可能です。

試打マシンは鋼鉄のアームだけでも100キロ以上あり、そのアームを楽々振り回せるパワーがあるので、高いクラブMOIでも関係なくBの位置でボールコンタクトを迎えることが可能です。

試打結果では、その上で「捕まる!」とかの感想を言います。

もちろん本当のことなのですが、一般的なアマチュアが額面通りに捉えると失敗する原因にもなりますから注意が必要です。

ドライバーの平均的クラブMOIは?

2015~2016シーズンに発売されたドライバーのクラブMOI(クラブ全体の慣性モーメント)を計測してみると、平均で2830kg-cm2のクラブMOIがありました。

一方昨年1年間でBoseIronFactoryがMOIマッチングしたアイアンのクラブMOI平均値は2620kg-cm2。

BoseIronFactoryに入庫してくる7割くらいがアスリート系のゴルファーですから、一般的な平均値からするともう少し低いと思われます。

仮に2600kg-cm2位が平均とすると2830kg-cm2との差は230kg-cm2。

アイアンとウッドというヘッド(中空で重心距離や重心位置などが違う)やシャフト(重量帯や素材などが違う)、使い方(ティーアップするとか)の違いを考慮すると100~150kg-cm2の差があっても良いのですが、230kg-cm2は高すぎると言って良いでしょう。

振り心地を揃えることで球筋も揃う。

ドライバーに限らず、アイアンセットやフェアウェイウッド、ユーティリティなども適正なクラブMOIにしていけば、高いMOIによる振り遅れや低すぎるMOIによる振り過ぎを防ぐことが出来ますから、得意クラブを同じようなボールコンタクトにしていくことが可能です。

得意クラブと同じボールコンタクトの状態を迎えることが出来れば、球筋も自ずと得意番手と同じ、真っ直ぐだったりドロー気味の球筋にすることが出来ます。

スイングバランスでは振り心地は揃いませんが、クラブMOIマッチングという物理的・力学的な視点でクラブとボールの関係を考えていけば全てのクラブの振り心地が揃うだけでなく、球筋までもコントロール出来るのです。

そのスライス、スイングのせいだけではありませんよ!!

クラブMOIマッチングでスイングを変えずにスライスを修正できる場合も多いので、スライスに悩んでいる方はクラブMOIマッチングが出来る工房に相談してみてはいかがでしょうか?


イラスト:よっしー