イップスとは何?ゴルフでもしかしてと思った時の原因と対策

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今まで意識せずできていた何気ない動きが、突然できなくなってしまうことを、「イップス」と呼びます。

ゴルフに限らず、野球やテニスなど、どのスポーツでも起こりうるイップスですが、甘く考えてはいけません。

イップスにかかったことで、現役引退を余儀なくされたプロゴルファーも実際にいるのです。

●イップスとは?
●イップスの症状
●イップスの原因
●もしもイップスになってしまったら?

今回は、これらを中心に見ていきましょう。

イップスとは?

イップスとは?

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イップスとは、「特定の状況に応じて発生する運動障害」のことです。

ゴルフでイップスにかかると、体が震えたり、硬直したりして、普段はしないようなミスショットを誘発します。

イップスは、初心者よりも、ある程度経験を積んだ中級者以上のゴルファーに多く見られると言われていますが、これも一概には言えません。

練習やラウンド回数が多く、初心者であっても既にさまざまなシーンを経験したという人もイップスにかかる可能性が十分にあります。

イップスは、ゴルフに限ったことではありません。

【野球】
●ボールが投げられない
●暴投してしまう
●簡単なゴロが処理できない

【サッカー】
●シュートチャンスに足が動かない
●シュートをしても枠に入らない
●パスが出せない

【テニス】
●サーブが入らない
●フォアハンドが打てない
●ボールを上手く返せない

ほかのスポーツにおいても、これらの症状はイップスと呼ばれます。

イップスの症状

イップスの症状
イップスの症状は、精神的症状と身体的症状の2つに分かれます。

1.精神的症状

1.精神的症状
●ショットを行うことに不安を感じる
●ミスを想像し、恐れを感じる
●過度な緊張を感じる

2.身体的症状

2.身体的症状
●構えてから打つ動作に移行することができない
●スイングが途中で止まってしまう
●本番のコースで、練習通りに身体が動かない
●ショートパットを大きくオーバーしてしまう
●ロングパットを大きくショートしてしまう

イップスである時、精神面・身体面において、これらの症状が確認されます。

精神が身体に及ぼす影響は多大であるため、精神的症状の不安や恐れに対して、挙げた以外の身体的症状が出ることも多いにあると言えます。

イップスの原因

イップスの原因
イップスの原因として考えられているのは、「心因性動作失調」と言われる、心理的な原因です。

イップスの精神的症状に、不安や恐れがありまますが、この精神的(心理的)症状が、身体を支配し、身体的な症状(イップス)を生み出す原因となります。

ゴルフをはじめてからこれまでのすべての動作が上手くいっていれば、不安や恐れを抱く人はいません。それらを知らないからです。けれど、そんな人は世界中のゴルファーを探しても、いないと断言できるでしょう。

誰しもが、何らかのミスをしたことがあります。それがOBであったり、アプローチのザックリやトップであったり、パッティングのミスであったり、ミスの種類はさまざまです。多くの人は、いま挙げたすべてのミスを経験していることでしょう。

小さなミスですが、それらが精神的症状の“芽”となり、成長し、いずれ身体的な症状を生み出すと言われています。

「しなければならない」が身体を固くする

「しなければならない」が身体を固くする
競技会だけではなく、プライベートのゴルフでも、今日はいくつのスコアで回る、と目標を立てる人は多いでしょう。

はじめのうちはミスをしてスコアを落としても、まだ残りのホールで挽回できると、気楽に構えられるかもしれません。

けれど、残りホールが少なくなるにつれて、1つ1つの動作に、プレッシャーがかかりはじめます。

●フェアウェイキープをしなければならない
●このアプローチを寄せなければならない
●1パットで入れなければならない

この、「しなければならない」と自分を縛ることで、理想と現実のギャップが生まれ、心と身体の関係に問題が起きていると言われています。

「しなければならない」は、裏返すと、「ミスしたくない」という、ミスへの不安や恐れの現れなのです。

脳に障害はないの?

脳に障害はないの?
筋肉や骨に異常がないにもかかわらず、自分の身体が思い通りに動かないため、脳の障害を疑い、脳神経外科の受診を考える人も多いです。

しかし、イップスになったから脳を検査したという人で、脳に異常が見られる人はいないでしょう。

脳には「右脳」と「左脳」の2つの大脳があり、それぞれの脳は日常の中で役割分担をして、スポーツや仕事などの生活を送っています。

●右脳……物事を感覚的にとらえ、何かをひらめいたり、イメージしたりといった命令を司る。スポーツや芸能に深く関わっていると言われる。

●左脳……言語を扱う脳で、論理的思考と計算が得意。仕事や日常生活などは左脳が司っていると言われています。

ゴルフはスポーツに当たりますので、通常であれば右脳が働きを多くしますが、イップスになっている時は左脳が活発に動き、失敗のイメージや、強迫観念や不安を強くしているのです。

ゆえに、イップスになった時に脳の障害を疑う必要はありませんが、右脳の働きを正常に戻す働きかけをすることが、解決への糸口となることでしょう。

イップスになりやすい人

イップスになりやすい人
イップスになりやすい人はいるのでしょうか?

誰でも発症する可能性があるイップスですが、

●真面目・完璧主義の人
●イメージ力が高い人

特にこのような傾向の人が、イップスになりやすいと言われています。

真面目・完璧主義の人

真面目・完璧主義の人
真面目な人、さらに、完璧主義者の方は、「こうしなければならない」「こうあるべきだ」という考え方を強く持ち過ぎる傾向があります。

結果に向かって思考が一直線のため、ミスなどのエラーに対してそれを柔軟に考えることができず、臨機応変に自分の気持ちをコントロールするということが苦手です。

特に、周りからの期待が大きいという人は、「その期待に応えなければ」と思うあまり、ミスへの不安や恐れが増幅し、イップスを発症してしまうことも。

自分自身がその性格に当てはまるのか疑問を持つ人でも、1つのことにこだわりを持つなど意思が強固な一面がある人も、同じようにイップスになりやすいと言われています。

イメージ力が強い人

イメージ力が強い人
性格のほかにも、イメージ力が高い人も、イップスになりやすいです。

たとえば、「ダフってはいけない」と強い思いを持ってアプローチをした時に、ダフってしまった、という経験はありませんか?

脳は否定形を認識できない、と言われています。

「ダフってはいけない」と思えば思うほど、無意識的に、脳はダフる自分をイメージし、身体を動かしてしまうのです。

パターでも同じです。「ショートしなければいけない」と思うと、ショートするように、無意識に身体が動きます。

イメージが脳に伝わり、そのように身体を動かすことで、現実化してしまうのです。

そして次に同じような場面を迎えた時、「グリーンに乗せる」というイメージよりも、先に自分がダフった映像が思い浮かび、同じようなミスをしてしまいます。

このような仕組みで、イメージ力が高い人ほど、イップスは発症しやすいのです。

もしもイップスになってしまったら? 試してみたい5つの対策法

もしもイップスになってしまったら? 試してみたい5つの対策法
ここまで読んで、自分はイップスかもと思った時、試してみたい5つの対策法があります。

程度に差はありますが、イップスは、そのスポーツの生命にも関わる重大出来事です。

けれど、諦めるには早いです。

1.結果にこだわらずプレーをする
2.グリップを変えてみる
3.ラウンド中にゴルフ以外のことを考える
4.過程に目を向ける
5.ルーティンを作る

下記にご紹介する方法を、長い目で見て取り組んでみてください。詳しく見ていきましょう。

1.結果にこだわらずプレーをする

1.結果にこだわらずプレーをする

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イップスの克服法として有効だと言われることの1つに、“結果を重要視し過ぎない”ことがあります。

プレー中、イップスにより、ミスが続いてしまった場合は、思い切って気持ちを切り替えて、“どんなスコアでもいいからテンポとリズムを崩さずプレーする”ことに集中してみてください。

そうしていくと、だんだんと力も抜け、良いプレーが出るようになります。

寄せなくても乗ればOK、入らなくても寄ればOK、最悪前に飛べばOK……と、自分のミスを許容する器をどんどん広げていきましょう。

イップスの状態にある間はベストなショットはできません。その状態で、結果を出すことはできません。

それならば、考え過ぎずのびのびと楽しくプレーするほうが心も身体も楽になり、いつの間にかプレッシャーも少なくなっていることでしょう。

結果にこだわらず、少しでも良いプレーが出たら、自分を褒めてあげてください。

2.グリップを変えてみる

2.グリップを変えてみる
より具体的で物理的なイップス克服法として、“グリップを変えてみる”という方法があります。

オーバーラッピングをインターロッキングに変えてみたり、テンフィンガーにしてみたり、いままでにしていたグリップとかけ離れたタイプにすればするほど、効果的です。

グリップを変えると、必ず違和感が生まれます。グリップが違うことで、上手く打てないこともあるでしょう。

上手くなりたいのになぜわざわざ違和感を作らなければならないのか、疑問に思うかもしれません。けれど、わざと違和感を作ることで、不安やプレッシャーから意識が自然と逸れることが考えられます。

インスタントで子どもだましのように感じられる方法かも知れませんが、プロゴルファーの中にも実践する人がいるほど、効果が期待できる方法です。

3.ラウンド中にゴルフ以外のことを考える

3.ラウンド中にゴルフ以外のことを考える

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ラウンド中に“ゴルフとはまったく別のことを考える”というのも、イップスの克服に効果があると言われています。

ミスが続き、自分を客観視してみた時、「しなければならない」と無意識に考え、余計な力が入ってしまっている自分がいるはずです。

そんな時は、一度力を抜き、別のことを考えましょう。

例えば、昼休憩での食事メニューや、ラウンド後のスイーツタイム。全然関係のないところで、好きな人やモノのことをあれこれと想像する……。

こうすることで、ゴルフのことで思い詰めた気持ちをゴルフから切り離すことができるため、落ち着いてショットできる心理状態を作れます。

あれやこれやの空想が、次のショットや陥るかもしれない苦手な状況のことばかりが頭をぐるぐる回っている状態を、クリーンにしてくれます。

4.過程に目を向ける

4.過程に目を向ける
結果ばかりに固執してしまうと、精神的に追い込まれやすくなります。

良いスコアで回りたいと思って、ラウンドをするまでに、多くの練習を重ねてきたことでしょう。

本番でミスを繰り返してしまうと、あの練習はなんだったのか、間違っていたのかと、さらに自分を追い込んでしまう結果となります。

けれど、そんな時こそ、結果は自分だけでコントロールできないものということを思い出してください。

当日の天気やグリーンのカップ位置、ボールが着弾したあとのキックの方向など、ゴルフの結果には、当人だけではなく、多くの要因が絡んできます。「結果オーライ」もあれば、逆もあるのです。

そのため、結果だけでなく、これまでの過程にも目を向けてください。いままで気づけなかった、自分の良い面に気づくことができ、感情がポジティブになるため、イップスが出にくくなります。

5.ルーティンを作る

5.ルーティンを作る
近年聞かれるようになった「ルーティン」という言葉。日課、習慣、という意味合いで使われます。

スイングを行う前のルーティンのことを「プレショット・ルーティン」と呼び、スイング前に決まった動作を行うことで、集中力が高まる効果が認められているため、イップスの有無にかかわらず、取り入れているゴルファーは大変多いです。

どんなルーティンを取り入れるかは、自由です。好きなプロゴルファーと同じ所作をしても良いですし、自分で作り上げることもできます。

自分がしっくり来て、どのような環境下でも、同じように行える動作を取り入れてください。

毎回ルーティンを行うことで、心の隙間に恐れや不安などが入り込むことをなくし、いつも通りのスイングを行えることが期待できます。

イップスは克服できる

イップスは克服できる
ドライバーで上げたクラブを下ろせない、パターで思ったような距離が打てない。このような動作障害のことをイップスと呼び、元のように打てるようになるのか、非常に不安を感じてしまうという人も少なくありません。

けれど、いろいろな対策で、イップスは克服できます。

イップスの原因や程度により、克服する期間は変わってきますが、自分を信じて、取り組んでいきましょう。
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