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こせきよういち

米ツアー初優勝の歓喜のリアクション集 〜世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#18

先週の米ツアー戦「バレロ・テキサスオープン」は、3日目にトップに立ったケビン・チャッペルが2位との差=1打を守り抜き、逃げ切りでツアー初優勝をおさめました。

勝利のパットを沈めた瞬間、チャッペルは歓喜に大興奮。両手でガッツポーズをつくりながら、叫び、そしてキャディと力強いハグ。まるで、サッカーの大一番でゴールを決めたフォワードプレーヤーのよう。

米ツアーでも珍しいほどエキサイティングな優勝シーンになりましたが、それにはそれなりの理由がありました。

これまで2位になること6回の“残念男”の初栄冠

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現在30歳のチャッペルは2008年にプロ転向。

11年からツアーにフル参戦したのですが、その年の本大会(バレロ・テキサスオープン)でトップに1打及ばない2位になったのを皮切りに、13年に1試合、そして昨シーズン(15年/16年シーズン)は、なんと4試合で2位。

なかでも最終戦のツアーチャンピオンシップでは、ロリー・マキロイとのプレーオフにまで駒を進めたのですが、そこで力尽きて惜敗。ツアータイトルになかなか手が届きませんでした。

そして、やっと掴んだのが今回の栄冠だったのです。興奮を抑えられないのもうなづけます。

ところで、ツアー初優勝でこれほどの歓喜のリアクションが見られるのは、意外に珍しいのです。

前週もウェズリー・ブライアンがツアー初優勝を遂げましたが、最終組でなかったためか、リアクションは控えめでした。

では、今回のような爆発的なリアクションの初優勝は、他に?

(動画は下記リンク先でご覧ください)

2年後に年間王者になるビリー・ホーシェルのツアー初優勝

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その興奮ぶりがとても印象的な初優勝シーンがあります。

それは2012年のチューリヒクラシックでのビリー・ホーシェルのリアクションですが、(初優勝に限らず)米ツアーでも最も印象的な優勝シーンのひとつに数えられています。

ボールがカップに吸い込まれ、勝利が決まった瞬間、端正な顔が歓喜にゆがみ、吠える。何度も、何度も。

ホーシェルはこの2年後、2014年シーズンの年間王者(フェデックスカップチャンピオン)になったトッププロですが、やはり初優勝の感激はひとしおだったのです。

ちなみに彼はツアーでも屈指のナイスガイ。14年に年間王者になった際には、それで得た賞金=約12億円の1割、約1億2000万円をいつもバッグを担いでくれるキャディのミカ・フジットさんにプレゼントしたと伝えられています。

(動画は下記リンク先でご覧ください)

丸山茂樹の初優勝は笑顔あふれるプレーオフ勝利

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日本選手の米ツアー優勝者は現在まで4人。

青木功(初優勝は1983年ハワイアンオープン)、丸山茂樹(同、2001年グレーター・ミルウォーキーオープン)、今田竜二(同、2008年AT&Aクラシック)、松山英樹(同、2014年メモリアルトーナメント)ですが、このうち青木功を除く3人の初優勝はいずれもプレーオフでの決着でした。

プレーオフでの優勝は、目の前に敗者がいるためでしょう。一般的にリアクションは控えめです。

でも、このなかで丸山茂樹の初優勝シーンは“マルちゃんスマイル”と呼ばれる笑顔あふれる、そしてギャラリーからも笑顔で祝福されるホットな優勝でした。

(動画は下記リンク先でご覧ください)

青木功の初優勝はいまもツアーの語り草の劇的すぎる幕切れ

最後はやっぱり、青木功の劇的すぎる優勝シーンを見ておきましょう。

今さらですが、青木の初優勝は1983年のハワイアンオープン(現・ソニーオープン)です。

彼は最終日を最終組でスタート、そのまま最終18番ホール(パー5)をトップタイで迎えました。

ところが、ひとつ前の組を回っていたジャック・レナーが最後のホールでバーディを奪い、一足先に通算19アンダーの単独首位で競技を終えたのです。

追いかける立場になった青木ですが、第2打をミスし、ボールは左のラフへ。

残り128ヤード。硬いグリーンであることを考える、そこからは3オン1パットでバーディを奪って、プレーオフに持ち込むしかありません。

誰もがそう考える状況で放たれた青木の第3打は、なんと、ピン手前で1バウンドすると、そのままカップに吸い込まれたのでした。

あまりにも劇的すぎる、逆転イーグルでの米ツアー初優勝。

両手を挙げ、狂喜乱舞、小躍りしながらグリーンに歩を進める青木。

このシーンは、日本のゴルフファンのみならず、米ツアー史上いまも語り継がれる劇的な名シーンなのです。