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振り切れる範囲で重いクラブ!?

雑誌やWebには「振り切れる範囲で重いクラブを選びましょう」と書いてありますが、果たして本当にそうなのか?

今回は物理的視点から見ていくこととしましょう。

一般的にはオーバースペックが多いんです。

BoseIronFactoryには年間2,000本近いクラブが入庫してきますが、その中の7割位がオーバースペックと思われるクラブです。

シャフトの硬さも、クラブの総重量も、ロフトや長さ、クラブMOIに至るまで、7割位はご自身の体力や体型、ゴルフのスキルからするとオーバースペックとなっています。

オーバースペックのクラブを使いたい気持ちも分かりますが、上達することを見込んでオーバースペックのクラブを買うより、ご自身の体力や体型に合わせたクラブを選択することが何よりも上達への早道といえるでしょう。

振り切れる重さだと実は振り切れない。

本当に振り切れる範囲で重いクラブが良いのか、アイアンの場合で考えてみましょう。

一般的な試打クラブの場合、7番アイアンがほとんどです。

7番アイアンでいろいろなヘッドシャフトを試打してみて、NS-PRO950GHと言うシャフトを選んだとします。

7番アイアンで選んだので当然7番アイアンは買った後も調子は良いと思うのですが、セットで買った5番アイアンは全く打てず、6番アイアンもイマイチ右に行くということがよくあります。

これは番手が長くなるに従ってクラブMOI=クラブ慣性モーメントが高くなるからで、大体の場合1番手で10kg-cm2程度クラブMOIが上昇しますから、7番アイアンプラス20kg-cm2高い慣性モーメントのクラブを振っていることとなります。

この20kg-cm2の差はNS-PRO950GHとダイナミックゴールドくらいの差になります。

クラブMOI高い=振るのに力が必要ということになりますから、7番アイアン基準で選んだ場合は5番アイアンを打つのにより一層のチカラを入れて打たないとちゃんと飛びません=右に行く。

総重量は5番のほうが軽いのに、長くなることで軽くなった以上に慣性モーメントは増大するのです。

でもショートアイアンはひっかける・・・。

振り切れる範囲で重いクラブ(シャフト)を選んでも、長くなることで慣性モーメントは増大します。

逆に言えば短くなるとクラブの慣性モーメントは減少するので、7番アイアンを試打して選んだとしても9番アイアンやピッチングウェッジ(PW)ではクラブ慣性モーメント=クラブMOIが減少することとなります。

結果、振りやすいのだけど逆に振りすぎてしまいます。

そうなると図のAの位置でボールに当たることとなりますから左にひっかけると言うことになります(5番アイアンの場合はCの位置で当たります)。

ロングアイアンの球が上がらない理由

ロングアイアンの球が上がらない理由も実はクラブMOIが関係しています。

ロングアイアン=クラブMOIが高い=振るのにチカラが必要=振り遅れると言う形になるので、1の位置でボールに当たります。

ロフトがたった状態でボールコンタクトを迎えるので、ボールが上がらないのは当然のことと言えますね。

逆にショートアイアンでは、クラブMOIが低い=振るのにチカラはいらない=チカラをコントロールできずに振りすぎてしまう=3の位置でボールコンタクトを迎える=球が上がりすぎる。

ということになります。

ではどのようなクラブを選べば良いのでしょうか?

少し軽めのシャフトが正解。

正解は少し軽めのシャフトなのです。

ロングアイアンを軽くすることは一般ゴルファーには出来ませんが、ショートアイアンに鉛を貼って調整することは可能です。

ですので少し軽めのシャフトを選んで、5~6番はそのまま、7番アイアンに1グラム、8番アイアンに2グラム~PWには4グラム位の鉛を貼ってやることでおおよそのクラブMOIは揃いますし、球筋も劇的に変わってきます。

一番いいのはクラブMOIマッチングをすることですし、クラブMOIマッチングのために専用設計されたクラブを選ぶことですが、既存クラブでも鉛を貼って調整できるのであれば、そのほうが安上がりです。

その上で更に精度を高くしたいのであれば、専門店にMOIマッチングをお願いすることをおすすめしますよ(^^