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プロゴルファー

こせきよういち

なるか?フィルのグランドスラム制覇~世界のゴルフ界の面白情報を拾い読み#124

今週はメジャーの第3戦「全米オープン」です。

注目ポイントはいくつもありますが、フィル・ミケルソンの優勝もそのひとつ。

なぜなら、このタイトルを獲得すれば、史上6人目のグランドスラム制覇(=4大メジャー優勝)となるからです。

しかも、今年の舞台はフィルが得意とするべブルビーチ・ゴルフリンクス。

海外のゴルフメディアも、このところ「フィルと全米オープン」に関する様々な物語やデータを熱く紹介しています。

今週はフィルを応援する意味で、彼の惜敗の過去を振り返ってみます。

惜敗の歴史は1999年から始まった

メジャー通算5勝のフィルですが、全米オープンはこれまで何度か手が届きそうになりながら、惜敗を繰り返してきました。

6度の2位を含む、10度のトップ10。

このなかで最も惜しく、また多くのファンの記憶に残っているのが、上掲画像の1999年大会でしょう。

パインハーストで開催されたこの大会、フィルはエイミー夫人との第一子出産が迫り、夫人の陣痛が始まったらすぐに試合を投げ出し、産院に駆けつけられるよう、連絡用のポケットベルを携帯していました。

結局、ポケットベルは鳴らなかったのですが、フィルにとってはゲームに集中できないトーナメントだったのかも知れません。

それでも最終日は、優勝したペイン・スチュワートと最終組をラウンド。

最後は、スチュワートが外せば翌日18ホールのプレーオフとなる、5メートルほどのタフなクラッチパットを沈め、右手を前方に大きく突き出すあの有名なポーズを決めて、逃げ切ったのでした。

そして、両手でフィルの顔を挟むようにして、「フィル、君はまだ若い。この先、チャンスは何度もある」と励ましたのでした。

その後、5度の2位

確かに、その後はチャンスが何度もありました(02年、04年、06年、09年、13年で2位=タイ含む)。

06年大会は最終ホールを1打リードで迎えながら、ティーショットを大きく左に曲げ、ボールはホスピタリティテントを直撃。結果、ダブルボギーとなり、プレーオフに持ち込むこともできず、ジェフ・オギルビーに逆転優勝をさらわれたのでした。

14年以降は28位タイ、64位タイ、予選落ち、欠場(娘の高校の卒業式に出席するため)、そして昨年は48位タイ。このところは優勝争いにも絡めずにいます。

実は、フィルは以前から主催の全米ゴルフ協会のコースセッティングに対し、「アンフェア」と不信感を募らせていたようです。

そして、その思いが爆発したのが、昨年のシネコックヒルズで見せた、グリーン上でまだ転がっているボールをパターで打ち返すという、前代未聞の違反行為でした(上掲動画)。

今年のぺブルビーチのセッティングが注目されるところですが、昨年のようなツルツルでカチカチのグリーンにはならないのでは?

大会最終日16日は49回目の誕生日

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繰り返しになりますが、ぺブルビーチは彼が得意とするコース。

毎年2月に開催される「AT&Tぺブルビーチ・プロアマ」は、今年を含めこれまで5勝。2位にも2度なっています。

ただし、ショットが乱れ、フェアウェイを大きく外れると、ボールは粘り気の強い深いラフにすっぽりと埋まることになります。

さらに曲げると、岩だらけの海岸へ。

フィルは過去、ボールを探しに海岸まで降り、ちょっと痛い目にあったことも(下記の動画をご覧ください)。

奇しくも大会最終日=7月16日は彼の49回目の誕生日。

ファンとしては、その日に「グランドスラム達成」というドラマチックな結末を期待しています。