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トッププロのハングリー精神、世界と日本の違いを空港で見た

今から20年近く前のこと。

アメリカのある都市で開催された、全米オープンを観戦するために最寄の空港に到着した時のお話。

アライバル(到着)ゲートを出るところで、たまたま同じ機に同乗していた全米オープンに参戦予定の日本人ゴルファーを数名のスタッフがお出迎えするという場面に遭遇したことがあります。

スタッフの人たちはその日本人ゴルファーと顔見知りのようで、「お疲れ様でした」と笑顔で声を掛けると、お付きの人の荷物運びのお手伝いをしながら、運転手付きの専用車へスタッフと一緒に乗り込んでいきました。

レンタカーの受付カウンターにて

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VIP待遇の日本人ゴルファーは日本ではトッププロなので、お出迎えの人がいたことに対してはそれほど驚くこともなくその光景を眺めていました。

そして、筆者は予約していたレンタカーの手続きのため、受付カウンターに向かいました。

レンタカーの受付で筆者の前に1人の体格の良い男性がチェックインをしていました。

彼の横には大きなスーツケースとゴルフバッグを乗せたカートがありました。

鍵を受け取ってカートを押しながらレンタカーの駐車場へと向かう男性。

その男性は、筆者が最も大好きなゴルファーの1人、トム・レーマンでした。

トム・レーマン

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1996年。トム・レーマンは全英オープンでメジャー大会制覇を達成しています。

同年、レーマンはPGAツアーで賞金王と年間最優秀選手にも選ばれ、翌年の4月には世界ランキング1位となりました。

2006年のライダーカップでは、アメリカチーム代表のキャプテンも務めた、PGAツアーを代表するトッププロの1人です。

前出のある空港での出来事は2000年代前半なので、レーマン全盛期のエピソードとなります。

ハングリー精神の日米の違い

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当時、PGAツアーを牽引していたトップスター選手のトム・レーマンが、当たり前のように大きな荷物を自分で運び、レンタカーを自分で借りて移動していたことと、日本人プロゴルファーに対するVIP待遇のお出迎えのギャップにある意味衝撃を受けました。

大袈裟な出迎えなどはなくとも、その潔い立ち居振る舞い、鋭い視線などからトッププロの風格は十分に伝わってきました。

VIP待遇のお出迎えを受けていた日本人選手を非難するつもりはありませんが、空港での光景を目の当たりにして、世界と日本のハングリー精神に大きな格差のようなものを感じました。

まとめ

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自身の地位に胡坐(あぐら)をかくことなく謙虚な姿勢のトム・レーマンを見て、ますます彼のファンになりました。

そんなレーマンもいまや還暦を過ぎています。

現在はチャンピオンズツアー(PGAツアーが運営するシニアツアー)を主戦場に活躍しているだけではなく、社会貢献にも注力しており、まさにスポーツ選手のお手本のような生き方を精力的に歩み続けています。

日本人ゴルファーもトム・レーマンのように、謙虚で優しく、だれからも尊敬され、そして強いゴルファーを目標にしてほしいと切に願うばかりです。