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プロゴルファー松山英樹、輝かしい功績と強さの秘密

世界を舞台に戦っている松山英樹は、4歳からゴルフを始め、いまやゴルフをしない人でもその名前を知っている、日本屈指のプロゴルファーです。

彼の強さの秘密はどこにあるのでしょうか? 現在までの輝かしい功績と共に、まとめてみました。

松山英樹の、ゴルファーとしての才能を見ていきましょう。

2021年日本男子初マスターズ優勝で歴史に名が刻まれた

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2021年4月朝、日本中が歓喜に包まれました。

日本の男子プロゴルファー達が憧れ続けながらも達成できなかった、マスターズ・トーナメントの優勝者がついに日本から誕生したのです。

そのニュースは国内で大きく報道され、プロゴルファー松山英樹を知らしめることとなりました。

松山英樹の優勝したマスターズ・トーナメントは、ゴルフにおいて最も権威のある4つのトーナメント(4大メジャーとも呼ばれています)のうちの1つです。

4大メジャーとは

・マスターズ・トーナメント
・PGA(全米プロゴルフ)選手権
・全米オープン
・全英オープン(ジ・オープン)

を指し、これらの大会で優勝することは、ゴルファーにとって最高の名誉とされており、松山英樹の名前は、歴史に刻まれたと言っても過言ではないでしょう。

松山英樹は、マスターズ優勝以降も、2021年10月ZOZOチャンピオンシップ、2022年ソニー・オープン・イン・ハワイと、その後もPGAツアーで勝利を重ねています。

松山英樹の世界ランキング

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松山英樹の世界ランキングは、2022年6月第1週現在、12位です。

ゴルフの世界ランキングは、過去2年間にトーナメントで獲得したポイントを、出場試合数(40試合以下の場合は40、56試合以上の場合は56で計算される)で割った平均点で算出され、毎週変動しています。

トーナメントのポイントは各大会で違っており、松山英樹が優勝したマスターズ・トーナメントは、他のメジャー大会同様優勝で100ポイントが付与される、ポイント数の高い試合です。

※ポイント数の偏りをなくすため、4大メジャーとプレーヤーズ選手権以外の大会のポイントは、優勝ポイントの上限を80ポイントにする仕組み変更が2022年8月に行われると、運営委員会から発表されています。

日本人男子の世界ランキング最高位は、2017年、松山英樹が記録した2位。

今後着実に試合をこなし、1位の偉業達成を手にしてほしいものですね。

オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの名誉会員に

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マスターズ・トーナメントで優勝した松山英樹は、生涯のマスターズ・トーナメント出場権とともに、トーナメント開催コースのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの名誉会員の資格を与えられました。

オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは、すべてのゴルファーの憧れの地とも言われており、世界有数のとても高名なコース。

会員数およそ300人、年会費約4万ドル(約440万円)、入会金25万ドル〜50万ドル(2750万円〜5500万円)と言われ、会員権を手に入れるのは至難の業と言われています。

入会に関心があると口にするのも礼を欠く行為であると言われているオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの名誉会員になることは、日本人にとっても、とても栄誉なことなのです。

2011年には同大会のローアマチュアを獲得

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マスターズ・トーナメント優勝が話題になった松山英樹ですが、実は、彼のマスターズ・トーナメントでの栄誉は、これが初めてではありません。

2011年、まだプロゴルファーになる前の松山英樹は、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブに、初めて足を踏み入れました。

東京オリンピックゴルフ競技の会場にもなった、霞ヶ関カンツリー倶楽部で行われた「アジア・パシフィックアマチュア選手権」の優勝で、マスターズ・トーナメントへの出場権を得ていたのです。

当時19歳の彼は、アマチュアとは思えない安定したプレーで、見事27位タイ、日本人史上初のローアマチュアに輝きました。

かつてローアマチュアを獲得し、プロゴルファーになってからマスターズ・トーナメントでも優勝したゴルファーは松山英樹が7人目で、まさに快挙と言えるでしょう。

日本ツアーでは史上初のルーキーイヤーでの賞金王獲得

世界での活躍が印象的な松山英樹ですが、実は、日本でも”史上初”の実績を持っています。

それが、ルーキーイヤー賞金王。

2013年にアマチュアからプロ転向した彼は、この年4勝を挙げ、なんとデビューしたその年に賞金王に輝いたのです。しかも、その試合数、わずか13。

史上3人目となる賞金総額2億円を突破し、2位に差をつけ、最終戦を待たずに賞金王を確定させました。

松山英樹は、翌2014年から主戦場をアメリカに移していますので、日本ツアー参戦わずか1年という短い期間にもかかわらず、日本のゴルファーに「すごい化け物が出てきた」という印象を与えたのです。

松山英樹のスイングの特徴

松山英樹のスイングの特徴は、3点です。

1.上半身を止めたままダウンスイング
2.スイング中に頭が動かない
3.左手首の角度が変わらない

上半身を止めてダウンスイングをすると、左腕が横方向に動く形になり、そのままインパクトを迎えることで、つかまりの良いボールを打つことができます。

また、頭の動きを指摘されるアマチュアゴルファーも多いと思いますが、松山英樹は、とにかくスイング中に頭が動きません。フルスピードでショットしても、軸の安定が保たれています。

そして、左手首の角度を変えないでいると、クラブヘッドが、常に両腕の中心にくることがわかるでしょう。身体の回転でボールを打ち、適切なタイミングでコックをリリースすることで、ヘッドが加速する効果があります。

スイングというものは、ラウンド中に変化します。その変化は、良いものもあれば悪いものも。そのため、微調整は行われますが、全体的な特徴はこのようになっています。

松山英樹のドライバー平均飛距離

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松山英樹のドライバー飛距離は、米国男子平均飛距離ランキング(2020年−2021年)で、74位タイ。平均値は、298.9ヤード。

ただし、これはあくまでも平均値の話です。

マスターズ・トーナメント3日目には、327ヤードという記録を残しています。

ちなみに、2015年−2016年シーズンのPGAツアーにおける平均飛距離は294.5ヤードでした。

現状に甘んじることなく続けた鍛錬が実を結んでいることが、数字に表れていますね。

高速スイングでも軸がぶれることがない、粘り強い下半身。

これこそが、松山選手の爆発的な飛距離を実現する一因になっているようです。

松山英樹のヘッドスピード

ヘッドスピードとは、インパクトの瞬間の、クラブヘッド部分のスピードのことを指します。

ヘッドスピードが速いほどボールは飛距離が出て、遅いほど飛距離が出ません。

2020年のシーズンのPGAヘッドスピードランキングでは、松山英樹は46位の52.35メートル/秒(m/s)でした。

ちなみに、平均飛距離をヘッドスピードで割った数値(ミート率)は、世界トップクラスの水準を維持しており、効率良くボールを飛ばしています。

ちなみに、アマチュア一般男性ゴルファーの平均ヘッドスピードは35〜44m/sと言われています。まさに“雲の上”の存在ですね。

飛距離を支える! マスターズ優勝時のクラブセッティングは?

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松山英樹選手は、他のプロ選手同様、使用するゴルフクラブのセッティングをたびたび変更します。

基本的なものはありますが、コースやその時の調子に応じて最適な14本を選び出しています。

マスターズ優勝時のセッティングは以下の通りです。

・ドライバー:ダンロップ スリクソン ZX5(ロフト9.5度)
・シャフト:グラファイトデザイン ツアーAD DI-8(X、45.25cm)
・フェアウェイウッド:テーラーメイドSIM2(3番15度)
・ユーティリティ:テーラーメイドSIM UDI ユーティリティ(3番19度)
・アイアン:ダンロップ スリクソン Z-フォージドアイアン(4番〜PW)
・ウェッジ:クリーブランド RTX4 フォージドウェッジ(52,56,60度)
・パター:スコッティキャメロンニューポート2 プロトタイプ

2021年ZOZOチャンピオンシップ、2022年ソニー・オープン・イン・ハワイ優勝時は、ZX7 ドライバーを使用しています。

コーチの存在

長年、コーチをつけず、言わば「自己流」で練習を積んでいた松山英樹。

その彼が、女子プロゴルファー・河本結を指導する目澤秀憲氏とコーチ契約を結んだとの知らせは、大きな驚きをもたらしました。

松山レベルのトッププロとなると、技術的には、他のトッププロとそこまで絶対的な差はありません。

そうなると、勝敗を左右するのは、メンタル面。

目澤氏は基本的にはスイングコーチですが、松山のメンタル面にも大きく関わりました。

マスターズ・トーナメントのプレー時、松山に笑顔が増えたと感じる人は多かったと思います。

ミスをしてしまった後は、どんなプレーヤーでも身体に力が入り、それがさらなるミスショットにつながる可能性は小さくありません。

松山は目澤氏をコーチとして迎え、メンタル面をコントロールし、自分を客観的に見つめることで、気持ちの切り替えに成功したのかもしれませんね。

松山英樹の身体の変化

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松山英樹は、プロに転向した時点では身長180センチ、体重80キロでした。

世界の名だたるプレーヤーと肩を並べて戦うためにウエイトトレーニングを強化したことによって、体重が90キロに増えています。

2014年からはフィジカルトレーナーの飯田光輝氏のサポートの下で身体のメンテナンスに努め、日本人離れした肉体を手に入れることに成功、まだまだ進化を続けています。

特に下半身の強化に重点を置き、トレーニング量は上半身のなんと3倍!

実際、太腿は競輪選手と同等の太さがあり、下半身が安定している点は外国人選手の間でも話題です。

強靱な肉体が、グッドパフォーマンスを生み出す大きな要因となっています。

一時は選手生命の危機……左手親指痛に苦しむ

アマチュアからプロに転向、そしてマスターズ・トーナメントを優勝した松山英樹ですが、その道は、決して平坦ではありませんでした。

特に大きな出来事と言えば、一時は選手生命も危ぶまれた、左手親指の痛みです。

2013年、プロ転向デビューの年、賞金王を確定させた松山は、中国で開催される「ザ・ロイヤルトロフィ」を、左手親指痛により棄権。

2018年、大会3連覇に挑んだ「フェニックス・オープン」の2日目にも、左手親指痛が再発し、棄権を余儀なくされました。

松山と同じく左手親指痛に悩むゴルファーは多く、過去にも、丸山茂樹や田中秀道らが同様のケガに泣いています。

ヘッドスピードが速いことでヘッドが加速し過ぎ、シャフトを支えている左手親指にフォローで大きな負担がかかってしまうことが原因と言われている左手親指痛。

2021年3月にも、アーノルド・パーマー招待第2日目で、痛みが再発したことで、ショットの安定性を欠く結果となりました。

そこから約1ヶ月後に開催されたマスターズ・トーナメントで優勝を飾ったものの、ケガによってプロゴルファーの道を諦めてしまう人も少なくありません。

グリップにも原因があると言われている左手親指痛ですが、対策をしっかりと取り、ほかの身体的ケアもしっかりと行って、長く選手を続けていってほしいと願うばかりです。

フロリダ州オーランドを拠点に世界で戦う

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最後に、ゴルフから離れて、彼の個人的なことを少し。

松山英樹は現在、フロリダ州オーランドを拠点に、世界中で熱戦を繰り広げています。

気候変動が少なく、ゴルフに打ち込みやすい環境の整ったこの場所には、PGAのツアー本部が設置されており、タイガー・ウッズやロリー・マキロイも自宅を構えていることで有名です。

アメリカツアー参戦の2年後、2015年には現在の自宅を購入したという松山。

多くのトレーニング器具や使用していたゴルフクラブ、試合での記念品が飾られている、一言でまとめると、その自宅は豪邸です。

自宅敷地内をカートで移動するというくらいの敷地面積の広さがあるそうです。

ちなみに、松山の年収は、2020年で15億円程度。

2021年は、マスターズ・トーナメント優勝の功績もあり、その額は40億円に上ったとも言われています。

まとめ

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マスターズ・トーナメント優勝という日本人史上初の偉業を達成した、松山英樹の功績と強さの秘密について、ご紹介しました。

彼には、特別な才能があったかもしれません。

しかし、身体を作り、メンタルをコントロールし、技を磨くことを継続し、特別な場所に行ったのです。

これからも、プロゴルファー松山英樹を応援していきましょう。