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脱おやじスポーツ宣言【インタビュー】株式会社グラビティー 佐藤まゆ美さん

地シャフトメーカー・グラビティーが注力する『ワクチンコンポ』は、力がなくても飛距離を出せると評判のカスタムシャフト。

同社は現在、社員7名で、最近パターを上市するなど、次々と製品を送り出す。

そんな中、創業初期から働いているのが佐藤まゆ美さん。

昨年社長から「試打会担当」への異動を命じられ、戸惑っているという噂を耳にしたので、本人に直撃取材。

佐藤さんの現在の心境に迫る。

人生の8割は嫌なこと。苦手分野を克服すべく奮闘中!

―試打会担当と伺っています。いつ頃から担当に?

「デビューは昨年7月で、ひとりで行くようになったのは9月から。
練習場での試打会をメインに担当しています。
でも、もともと営業って苦手な職種だったので、社長からいきなり『試打会に行ってくれ』と言われたときは、気がおかしくなりそうでした」

―ぶっちゃけ、泣きました?

「1回目の現場に行く前に一度だけ泣きましたね。何でわたしが?辞めさせたいの?パワハラ?とかいろんなことを考えてしまって。
社長なりの意図はあったと思いますが、受け入れるまでが大変でした」

―どうやって克服したのでしょう?

「居心地は自分で作るって自分に言い聞かせてます。
どうしてもゴルフって男の世界のイメージが強くて。
実際にとあるゴルフ場では試打会スタッフも、〝女性NG〞と言われ、男性スタッフが担当しているくらいですから(苦笑)。
未だにそういう男社会なので、試打会場でご挨拶をしても『ひとりですか?』って聞かれることも多い。
だから自分からその男社会に切り込まなければいけません。その手段のひとつとして、ひたすら挨拶しています」

とにかく挨拶

―効果はありますか?

「はい。最初は陰口を言われている雰囲気を感じていたのですが、誰にでも積極的に挨拶をしたり、車も一番遠いところに停めて試打クラブを何往復もしながら運んで‥‥。

そういう姿勢を見せていくことで『試打会やってます』というノボリを立ててくれたり、寒い時期はヒーターの前の席にしてくれたり、ショップやお客さまの態度や姿勢が、明らかに変化しているのを感じています。

そうやってお客さまを味方につけて、少しずつ慣れてきたところかな」

―とは言え、今でも営業は苦手?

「えぇ。今は営業成績を気にしていないので、わたしのやっていることは会社の方針と合わないかも(苦笑)。

コミュニケーションを取るのは苦ではないので、営業要素はできるだけ排除したいかな。

実際には目標販売本数や試打会の開催数なども設定されていますが、押し売りをしたくないですし、気分がいい取引をしていきたいので‥‥」

知名度をあげたい

―試打会に参加されるのはどのような方が多いですか?

「ゴルフ場と練習場では異なると思いますがメインは60~70代。
女性は1割弱でしょうか。ただ、女性の方が試打後に購入する割合が高いですし、決断も早いんです。
ぱっと来て、ちょっと打って、気に入れば頼んでいくという具合」

―女性が担当しているメーカーは少ないので、話しかけやすいのかも。

「それはあると思います。まだまだ〝シャフトを変えたら良くなる〞と認識している人は2割いるかどうかですし、『ワクチン』の知名度も低いので、ブランド名で試打会ができません。

だからこそ、女性だからというきっかけや練習場の常連さんから紹介してもらうことで、少しずつブランドの知名度をあげなくちゃと思っています」

―現状の知名度はどれくらい?

「う~ん、残念ながら一般ゴルファーの1%も知らないんじゃないかな。

とりあえず当面は1割の知名度を目指します。
それから、『ワクチン』って1本8万円もするから、高いというイメージがついてしまっているようなので、
『ゴルフが変わった』とか『使って楽しくなった』とか、ポジティブなイメージに変えていきたいです」

―意欲的ですね!シャフトに関する知識もかなりついたのでは?

「日々勉強です。子供が生まれてからゴルフをやっていなかったので、メーカーや商品名はわかるけど、マニアックな質問をされても答えられない。

今はお客様から教えてもらったり、わからないことを聞かれたら、素直に『知識不足ですみません』って謝った上で、すぐにわかる人と連絡をとって確認しています。

知識がない分、細かいところでフォローしながら補っていかないと。

中には、自分より知っていることを嫌がる方もいらっしゃるので、理想は知識があって、知識を見せない人ですね」

レディスクラブも用意

―そのほか、今年予定していることはありますか?

「一番は『買わされちゃったけど、やっぱり合わない』と思われない試打会の開催です。
それから女性向けのクラブも用意したい」

―例えばどんな?

「現在はメンズクラブで対応しているのですが、例えば長さ44インチで総重量300g以内の、柔らかいシャフトラインアップを用意すれば、もっと幅が広がっていくと思うんです。

女性の方がリシャフトの効果を感じやすいと思いますし、18ホール回っても疲れにくいとか、打っていて気持ちがいいとかメリットはたくさんありますから」

―是非、実現させてレディスゴルファーを助けてください!この仕事、やっていけそうですか?

「人生8割は嫌なことと思っていますし、その分いいことがあると信じてます。

自分次第の部分も大きいと思いますから、自然体で頑張っていきたいです。

試打会のバッグはすごく重いし、暑かったり寒かったり、天候にも左右されるので、体調に気をつけながら少しずつでも『ワクチン』の魅力を伝えていきたいです」

【今回のインタビュー】

株式会社グラビティー 営業部営業3課 佐藤まゆ美さん

東京都出身。大学卒業後、ゴルフショップに10年ほど勤務し、経理等を経験。
その後、実家の魚屋を手伝う。大学時代からの友人である同社の原田安浩社長に声をかけられ、2012年に入社。
受発注業務や問い合わせ対応、請求書の発行などを行う。15年7月に試打会担当となり、現在に至る。