Gride

gettyimages/900967956
getty

ライフスタイル

Gridge編集部

スティンプメーターでグリーンの速さの測り方は?芝の長さや平均値も

ゴルフ場でクラブハウスから外に出た時に、マスター室の近く、看板などに大きく書かれている「スティンプメーター」の文字。

「本日のグリーンコンディション」などの案内がされているため、なんとなくグリーンの何かであることは推測がつくと思いますが、実際この数字が表す意味を知っていますか?

また、知ってはいたけれど、その測り方を知らないという人も多いのではないでしょうか?

今回は気になっていたけど、詳しく知らなかったという人のために、スティンプメーターについてご紹介したいと思います。

スティンプメーターとは?

getty

スティンプメーターとは、グリーンの速度を計測するアイテムです。

グリーンは日々刻々と成長を続ける生き物であるため、たとえ同じコースのグリーンであっても、天候や季節によって、パッティングをした際の転がるスピードが変化します。

そんな、グリーンの転がり具合を統一した指標で測るために開発されたのがスティンプメーターです。

名称は、開発者のエドワード・スティンプソン氏に由来します。

このスティンプメーターで計測された数値は「フィート」という単位で表されます。

1フィートは30.48センチ、3フィートで1ヤードを示します。

フィート数が多くなればなるほどそのグリーンは「速く」、少なくなれば「遅い」と言われます。

例えば11フィートと8フィートでは、同じようにパッティングしたとき、11フィートのほうが遠くまで転がりますので、11フィートは「速い」と言われます。

スティンプメーターの素材や形状は? 画像でチェック

getty

スティンプメーターは市場で販売されていますが、アルミ素材のものやステンレス素材を使ったものが多いです。

上記の画像のように、「樋(とい)」のように、V字に凹みを持たせた形状をしています。

「樋」とは、屋根上に溜まった雨水を地上、または下水へ流す役割を持つ装置です。この樋状のレールから転がしたボールがこぼれないように、わざとへこみを持たせています。

その大きさは、ボールの直径くらいで、USGAにの公式サイトに記載されている長さは36インチ(91.44センチ)です。

使い方は以下で紹介しますが、このスティンプメーターは、角度をつけてボールを転がし、その転がした距離の平均値を測るものです。

平均で3メートル転がれば、3.28フィート×3メートルの計算式に当てはめ、スティンプメーターは9.84フィートとなります。

スティンプメーターは、ボールを転がすだけではなく、物差し代わりにして、ボールの転がった距離を計測するのにも使われます。

以下の動画は英語ですが、スティンプメーターが使われるようになった理由や、使い方をわかりやすく解説しています。

スティンプメーターは自作もできる

getty

スティンプメーターは、製品として販売されていますが、中にはスティンプメーターを自作してしまう方もいるようです。

スティンプメーターは公認されていないものでも使用することが可能なので、マニアックな方は自分専用のメーターをお持ちの方もいるようです。

販売されているスティンプメーターを見てみると、その価格帯は、前述したUSGAの公式のもので、税込みで約5万円。

ポチッと購入するには、躊躇(ちゅうちょ)してしまいそうな値段ですよね。

ホームセンターで販売されている、アルミの板「アングル材」というものが代用しやすい形状のようです。

他にもスポンジや木材などが必要になりますが、それらを使って上手く接着すれば、なんと1000円前後の値段という、お値打ちな材料費で作れてしまうのです。


↓Gridge編集長・じゅんやあくさんによる、スティンプメーターを自作する記事です。

スティンプメーターを使ったグリーンの速さの測り方は?

getty

さて、このスティンプメーター、実際にどのように使ってグリーンの速さを測るのでしょうか?

スティンプメーターはゴルフボールを転がしてグリーンの速度を測るため、斜めにして使用します。

スティンプメーターを斜めにしたら、上部からゴルフボールを転がして測定します。スティンプメーターと地面の接地部分を始点としてそこから転がった距離を計測します。

斜めにする時は、ゆっくりと持ち上げていきます。

USGAの公式のスティンプメーターでは、水平に対して22度の角度がつく高さまで手前を持ち上げると、ボールが地面に向かって転がっていきます。

これを勢いよくしてしまうと、ボールにも勢いがついてしまい、余計に転がってしまいますので、距離が明確になりません。

この作業を3回繰り返し、その平均値を出します。この距離が皆さんがいつも見ている数字なのです。

グリーンの速さの平均はどれくらい?

getty

みなさんがよく行くゴルフ場のグリーンは、どれくらいの速さを表していますか?

これはコースによって決まっているわけではなく、まちまちです。また、同じコースでも、日によってまちまちです。

通常アマチュアがプライベートでプレーするゴルフコースでは8〜10フィートくらい、プロトーナメントの場合11〜12フィートくらいが目安となっています。

ちなみに、マスターズの開催されるオーガスタナショナルゴルフクラブのグリーンは「鏡のグリーン」と称され、そのスピードは14フィート! 短い距離のパッティングでも気を抜けません。

いつも8フィートのグリーンでプレーをしている人が、いきなり12フィートのグリーンでプレーをすると、その転がりの速さに驚くことでしょう。

月例競技や3大競技など、各ゴルフ場で開催される倶楽部競技や、連盟主催の大会などでコースが使用される場合、その日をいつも以上に速くするということも珍しくありません。

速ければ難しく、遅ければ簡単というわけではありませんが、どれくらいの速さかをチェックし、一日一日、感覚を育てていくことが大切です。

パターマットの速さはどれくらい?

getty

パッティングの上達を願って、自宅でパターマットを使い、練習に励んでいるという人もいるでしょう。

ゴルフ場のグリーンは日によって違ってきますが、パターマットは変化がありません。

常にパターマットの練習に慣れておき、その速さを基準に他のゴルフ場で力を発揮するという方法も良いですね。

パターマットは、「パター練習用マット」として売られているもののほかに、ホームセンターで売られている「人工芝」を使っているという人も多く見られます。

ほかにも、短い毛足の「ラグマット」を始め、「ござ」を使っている人や、なにも敷かずにフローリングでそのまま転がす、という強者も!

一番よく使われているパター練習用マットにも順目と逆目があるものもあり、順目で約12フィートほど、逆目で約9フィートくらいが一般的なようです。

これは上記例の中での「ラグマット」(毛を寝かせた状態)の次に速く、「人工芝」、「ござ」、「フローリング」といった順で、速くなっていきます。

スティンプメーターに影響を与えるものは芝の長さ

getty

上記で速い順で並べましたが、スティンプメーターに影響を与えるものは、いったい何でしょう?

それは、芝の長さです。

芝の長さが長ければ長いほどグリーンは遅くなり、短ければ短いほど、グリーンは速くなります。

大体通常のプレー日で3.5~4.5ミリくらい、大会などが開催される場合は、3.0ミリ程度になるとも言われています。

芝が長ければ、その分ボールの転がりの「抵抗」となります。短ければその「抵抗」が少なくなりますので、ボールは遠くまで転がっていきます。

前項の例で言うと、ラグマットは寝かせていると言っても毛が存在し、ボールの転がりに影響を与えます。

フローリングはボールの転がりにほとんど影響を与えませんので、コツンと触れるくらいのタッチでも、驚くほど遠くまで転がっていってしまいます。

グリーンに砂が撒かれているとどうなる?

getty

ところで春先になると、グリーンの上に白っぽいものが撒かれていることに気付いた人もいると思います。

近づいてよく見るとそれは砂であることがわかるでしょう。

これは、グリーンの成長に欠かせない手入れのひとつなのです。

グリーンは芝でできていますので、毎日成長していきます。

そのまま成長が進むと、土の中に新たな根が生えるスペースがなくなってしまいます。

そのため、「エアレーション」と言ってグリーンに細かい穴を空ける作業をして、その穴から砂を流し込み、その砂に新たな根を張らせます。この作業で、芝生の育成が進みます。

また、砂を撒くだけではなく、芝の1本1本の間に砂を入れ、マットで表面を均す作業も行われます。

これらは芝の育成に関して、手を抜けない、とても大切な作業になります。

エアレーションが行われている期間中は、砂がグリーン上にある場合が多いため、転がるボールに対して抵抗を与えてしまいます。

それにより、エアレーション中はグリーンは遅くなると言えます。

パッティングはスティンプメーター以外にコンパクションにも注目を

getty

また、グリーンの速さには、芝の長さのほかに、「コンパクション」も影響を与えます。

「コンパクション」とは、グリーンの硬さを示す数値です。

多くのゴルフ場で、スティンプメーターの数値と共に、看板で示してある値です。

コンパクションは、「土壌硬度計」という計測器の鉄でできた針を地面に挿し、その反発の強さをバネで測ります。

地面が硬くなるほどコンパクションの数値は高く、高ければ高いほど、グリーンにボールが落ちた時にボールマークが付きにくくなります。

同じ土壌であっても、コンパクションは天気によっても左右され、晴れの日が続くと乾燥して硬度が増し、雨が降った後は柔らかくなります。

スティンプメーターとコンパクションを見てアプローチの注意点を考えよう

getty

グリーンの速さと硬さはパッティングにも影響を与えますが、パッティングを打つ前の、ボールをグリーンに乗せる際のアプローチにも大きく影響を与えます。

土壌が硬くて芝が短く速いグリーンは、アプローチショットを打ってボールがグリーンに落ちてからの転がりがどれだけになるのか、判断付き辛いです。

ボールを浮かしたアプローチを打つほどその傾向は強くなるため、その日のグリーンが硬くて速いと思った段階で、転がしのアプローチを多用していきましょう。

ボールを足の中心~右側に寄せ、パターのように転がすイメージでアプローチをするだけ。

グリーンまでの間にバンカーや深いラフがあればこの技は使えませんが、障害物が何もなければ、とても有効です。

「本日のグリーン」の数値を見て、硬くて速いと思ったら、プレー前にアプローチ練習場で、転がすアプローチの練習をしておくと良いでしょう。

スティンプメーターを使ってカップインを狙いましょう!

getty

ここまでスティンプメーターのことを解説しましたが、いかがだったでしょうか?

スティンプメーターの数値を気にして見ておけば違ったコースに行ってもいつも同じ指標でパッティングをすることができるようになってきます。

合わせて、コンパクションや、さらには芝目を読む技術を身に着けていけば、速いグリーンであっても、恐れることなく、カップを狙っていくことができるでしょう。

スコアの半分はパッティングです。どれだけ近くに近づいても、それを外してしまえば、1打は1打、目標スコアから遠ざかる結果となってしまうでしょう。

これを機会に、パット数を減らして、ベストスコア更新をしていきましょう!